min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

池井戸潤著「下町ロケット2ガウディ計画」

2016-11-01 16:26:42 | 「ア行」の作家
池井戸潤著「下町ロケット2ガウディ計画」 小学館発行 2015.11.10第一刷 ¥1,

おススメ度:★★★★★

前作「下町ロケット」において国産ロケットのエンジン部分に使われるバルブシステムの採用を巡り大手企業帝国重工との激しい受注合戦の末、見事に勝利した東京下町の町工場・佃製作所の快挙に我々読者は大いに感動したのであった。
今度は「ロケットから人体へ」のキイワードの通りロケットエンジンから人工心臓へのバルブシステムへの転用を巡る熾烈な技術開発競争とその受注を巡り新たなライバルの出現を迎え、再び佃製作所の戦いが繰り広げられる。
冒頭物語は前作の流れをくみ帝国重工から新たに佃製作所製バルブシステムの試作品製作依頼があったのだが、試作品が完成し次の量産体制へ移行しようという段階になり、そこへNASAで培ったという技術を売りにサヤマ製作所なるライバルが割り込んできたのだ。この逆転劇の裏には前回佃製作所の持つ特許権で煮え湯を飲まされたと恨む帝国重工の調達部の一部の者たちの陰謀があった。
一端ロケットエンジンのバウブシステムの受注合戦に敗れたように思われる佃製作所に対し、同社が参入しよう試みる人工心臓「コアハート」のプロジェクトに対してもこのサヤマ製作所及びその上に立つ日本クラインそしてアジア医科大学の巧妙な陰謀が繰り広げられる。
更に福井の無名大学より要請のあった人工弁の開発に関してもアジア医科大学の金と権力に目がくらんだ貴船教授の妨害が始まり、佃製作所は会社の存続すら危うくなる窮地へと追いやられたのであった。
この医学界に於ける「白い巨塔」的な陰湿な権力闘争、大企業におけるあからさまな下請け企業への蔑視が行われる中、佃製作所は果たして反撃が可能なのであろうか?
ま、結果はある程度予測は立つものの、後半に描かれる「勧善懲悪」的物語の進行には思わず拍手喝采を叫びたくなるのであった。
下町企業の経営者およびその従業員が持つ技術者集団の矜持に対し心より感動した。皆さんに是非お勧めの一遍であります。


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3 コメント

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Unknown (神崎和幸)
2016-11-02 17:27:17
こんばんは。

自分も「下町ロケット2」読みましたよ。
感動できますよね。
本当に爽快でした。
そのうえ仕事を頑張ろうと思わせてくれる素晴らしい作品だと思いましたよ。
Re:Unknown (snapshot8823)
2016-11-03 09:47:45
神崎さん、コメントありがとうございます。全般的に目立たない存在だった技術開発部の立花くんの最終場面での勇姿に魅せられました。半沢直樹シリーズがちょっと超人的過ぎる嫌いがあり、こちらの人間像の方が素敵ですね。
Unknown (神崎和幸)
2016-11-04 08:13:03
確かに半沢直樹シリーズは超人的過ぎる嫌いがありますよね。
おっしゃるとおり下町ロケットシリーズの人間像の方が素敵だと思いますよ。

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