吉村龍一著『焔火』講談社 2012.1.5 第一刷 1,575円+tax
オススメ度 ★★★★☆
第6回小説現代長編新人賞受賞作。この作者の経歴が面白い。陸上自衛隊で橋の爆破なんかをやっていたそうだ。そのお方のデビュー作ということだが、最新作『光る牙』(人とヒグマとの壮絶な戦いを描く)の情報を聞きつけて、それじゃその前にデビュー作を読んでみよう、となったもの。
著者自身による本作の紹介は次に通り。
「ストーリーはですね、昭和初期の東北の寒村が舞台になっておりまして、そこで差別される青年がひとり登場してきます。その青年が、恋人と仲良く村で暮らしているんですが、ある日、その恋人が村の有力者に殺されてしまいまして、復讐のために相手を殺して彷徨するという、ロードノベル形式になっております。その逃亡の中で色んな人と関わり合いながら人間の尊厳を取り戻していくんですが、運命が次々に襲ってきて、安住の地を得られないまま、最後に悪と対決するという、400枚ちょっとの長編になっています。」
ある種マタギ的な生活に“サンカ”の“せぶり”なんかが語られる。鉄はそんな中、自然への畏怖、野生動物への慈しみを持った青年として育った。だが鉄にふりかかる運命はあまりにも過酷であり、時にすざまじいまでの憎悪と暴力が彼を襲う。その度に鉄の“生への渇望”が湧きあがり生き延びてゆく。
著者の、ぬるま湯につかった現代人に「生きるとは何か」を問いかける衝撃的な一編だ。
オススメ度 ★★★★☆
第6回小説現代長編新人賞受賞作。この作者の経歴が面白い。陸上自衛隊で橋の爆破なんかをやっていたそうだ。そのお方のデビュー作ということだが、最新作『光る牙』(人とヒグマとの壮絶な戦いを描く)の情報を聞きつけて、それじゃその前にデビュー作を読んでみよう、となったもの。
著者自身による本作の紹介は次に通り。
「ストーリーはですね、昭和初期の東北の寒村が舞台になっておりまして、そこで差別される青年がひとり登場してきます。その青年が、恋人と仲良く村で暮らしているんですが、ある日、その恋人が村の有力者に殺されてしまいまして、復讐のために相手を殺して彷徨するという、ロードノベル形式になっております。その逃亡の中で色んな人と関わり合いながら人間の尊厳を取り戻していくんですが、運命が次々に襲ってきて、安住の地を得られないまま、最後に悪と対決するという、400枚ちょっとの長編になっています。」
ある種マタギ的な生活に“サンカ”の“せぶり”なんかが語られる。鉄はそんな中、自然への畏怖、野生動物への慈しみを持った青年として育った。だが鉄にふりかかる運命はあまりにも過酷であり、時にすざまじいまでの憎悪と暴力が彼を襲う。その度に鉄の“生への渇望”が湧きあがり生き延びてゆく。
著者の、ぬるま湯につかった現代人に「生きるとは何か」を問いかける衝撃的な一編だ。