min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ジェフリーディーヴァー著・『ロードサイド・クロス』

2012-03-09 22:00:43 | 「タ行」の作家
ジェフリーディーヴァー著・『ロードサイド・クロス』文藝春秋 2010.10.30 第1刷 

おススメ度:★★★★☆

本編の主人公はあのキャサリン・ダンス。リンカーン・ライムシリーズのひとつ「ウオッチ・メーカー」においてゲスト捜査官として登場し、彼女の特殊技能“キネシクス”(一種の尋問テクニックで対象者のボディ・ランゲイジを読み取り瞬時にウソを発見する捜査法)を駆使し容疑者、証言者のウソを次々に暴いては捜査を進める専門家。
そんな彼女の本拠地であるカルフォルニア州モンテレー半島で発生した連続殺人事件を追う内容。
事件というのがこれまた妙なモノで、高校生男子が運転する車が事故を起こし同乗していた3人の女子高生のうち2人が死亡した。
この事件がある人物のブログにアップされ、運転していた男子高校生の個人情報がたちまち暴露され、ブログが炎上。いわゆる“ネット”いじめ”の状況が雪だるま式に拡大されていく。
そんな中、ブログのスレッドで男子高校生を叩いた女子高生が襲われ一命をとりとめた。彼女の証言により犯人はネットで叩かれた男子高校生トラヴィスであると証言。この犯行前には近くの路上に十字架とバラの花びらが置かれ事故・事件が起きる日時が記されていた。すわ!男子高生の予告殺人の反撃か!?とブログ上で大騒ぎとなる。
そのトラヴィスが姿を消し、十字架が置かれては次々と事件が発生しモンテレー半島に住む住人を震いあがらせた。

しかし、物語はこのトラヴィスの犯行を未然に防ぎ彼を逮捕する、といった単純なものであるわけがない。何故なら著者がJ.ディーヴァーであるからだ。
絶対に真犯人は別におり、その“どんでん返し”があることを我々読者は知っている。我々の想像する真犯人と著者が用意する真犯人の落差が大きければ大きいほど楽しいのだ。

ゲームおたくの連続殺人劇を本編の縦糸とするならば、ダンスの捜査を妨害しようとするカルフォルニア州司法局検事ハーパーの横槍が物語の横糸として織りなされる。その横槍はなんとダンスの母親を“安楽死犯”として検挙しようというものであった。
更にダンスの良き相棒でもある保安官事務所のマイケル・オニールとの「恋の行方」に立ちはだかるように登場するジョン・ボーリングというカ大教授の登場。この“恋の糸”がダンスに絡まって物語りは進行する。

さて、本編中で起こる“ネットいじめ”の状況はインターネットが全世界に普及された今、洋の東西を問わず陰湿、陰惨に繰り広げられる。SNSヤブログで不用意に発言する恐ろしさが胸に沁みる。
またゲーマーオタクと称されるゲーム中毒患者を全世界中に生み出した要因の大半が日本のゲームソフトにあり、アニメの浸透ぶりには呆れるばかりだ。



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