min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

米映画『スター・ウォーズ ローグワン』 ☆ネタバレ有り☆

2016-12-20 14:00:55 | 映画・DVD
米映画『スター・ウォーズ ローグワン』 原題:「Rogue One;A StarWars Story」2016年12月16日公開

おススメ度:★★★★☆+α

★ネタバレ有り注意!★

一切の前情報は要らない、という方は読まない方がいいかも。特に最後の場面はサプライズです。中身を知らずに劇場にて楽しんで下さい。


監督:ギャレス・エドワーズ

キャスト:フェリシティ・ジョーンズ(ジン・アーソ役)
     ディエゴ・ルナ(キャシアン・アンドー役)ほか

あらすじ:シリーズ最初の「スターウォーズ/新たなる希望」でルーク・スカイウォーカーらが乗ったスターファイターがデス・スターを攻撃するのだが、この作戦を敢行するにはデス・スターの設計図が必要であった。物語はいかにしてこの設計図を入手したのかを描く物語。本編はその知られざる壮絶な戦いを描くスピンオフ作品となっている。詳細は公式サイト等でお読み下さい。

シリーズ最初に制作、公開されたエピソード4は1977年であった。僕は20代の後半この映画を何の前情報も持たずにケニアの首都ナイロビで鑑賞した。その時の興奮は今も忘れない。それから40年後、スピンオフ映画とは言えまさかこの直前のストーリーを描いた作品を見られるとは予想だにしなかった。007シリーズと共に超ロングセラー作品となり、とても幸せに感じている。当時もこの映画の特撮技術に驚くとともに感動したのであるが、あれから40年を経た現在のCG技術は大いに発展し、帝国軍と抵抗軍の戦いも互いのスターファイター同士の空中戦から地上のジャングル戦に至るまで迫力満点である。
原題のRogue Oneであるが抵抗軍の貨物船(相手の帝国軍から奪ったもの)がそのコードネームを帝国軍の管制官から問われた時に咄嗟に思い付いて答えたネームで元々の英語の意味は、ならずものとかハグレものと言った意味を持つ。
デススター設計図を奪取に向かった特攻チームは正にハグレものたちであったのだが、その互いを想うチームワークは抜群で死をも恐れずに任務に志願した強者たちであった。
その一員である今回のヒロイン、ジン・アーソ役のフェシリティ・ジョーンズについては充分カワイイのではあるがちょっと線が細いのではなかろうか。
個人的には「ハンガー・ゲ^-ム」のヒロイン、カットニスを演じたジェニファー・ローレンスのような凛とした女性に惹かれる。
また反乱軍の情報将校キャシアン・アンドーを演じたディエゴ・ルナは文句なくハンサムで愁いを帯びた顔貌は多くの女性ファンを魅了すると思う。
また特筆すべきは二人の東洋系役者で一人はドニー・イェン。少林寺の坊主みたいで少林拳と棒術(座頭市をも彷彿させる)でもって帝国軍のストーム・トルーパーたちをバッタバッタとなぎ倒す。彼のそばには盟友チャン・ウェンがぴったり寄り添いふたりとも壮絶な最後をとげるのであった。
映画の最終10分間は特に目が離せない。けっこうなシーンで登場したダース・ベーダーがライトセイバーを振るい抵抗軍のの搭乗員を殺戮するシーンは圧巻だ。この時点では共和国側にはフォースを持ったジェダイがおらず、ひとりダース・ベイダーの独壇場となってしまった。
そしてあの懐かしいR2-D2とC-3PCが出てきてほっこりするのだが、最後の最後に設計図を受け取ったレイア姫が映って、エピソード4へと突入するわけだ。
このあたりシリーズのオールドファンをも唸らせる監督のサービス精神に拍手喝采!!!
とにかくシリーズ初めて観る若い世代から老人まで楽しめる作品と言えるだろう。



 


森詠著『燃える波濤第6部 烈日の朝』

2016-12-12 16:44:00 | 「マ行」の作家
森詠著『燃える波濤第6部 烈日の朝』徳間書店 1990.9.30
おススメ度:★★★★☆

第5部を再読したらやはり最後の第6部も読みたくなった。今回もアマゾンから購入。


本の帯には

〖第二維新〗を目論む日本は軍をフィリピンに侵攻させようとしていた。一方、国民抵抗戦線(NRF)と亡命政府からは日本軍への戦闘開始命令が出て、国内では北陸戦争が始まった・・・・・・。

ということで、今度は戦争だ!国民抵抗戦線は少ない武器と兵力にもかかわらず敢然と治安警察軍と対峙する。彼らはゲリラ戦の一環として能登の原発ほか数か所の原発を占拠したのであった。
維新政府内部にも二派に分かれて権力抗争が起きており、国内の抵抗勢力には明智首相派の治安警察軍のみが対処した。一方、国民党の幹事長である広川派が牛耳る日本軍はこの時フィリピンに派兵されていた。
原発が占拠されたことにより一気呵成に金沢を攻め落とす事が出来なくなった。結果、抵抗軍と治安警察軍の戦闘は膠着状態となって行った。
パリにある亡命政権はこんな日本国内の情勢をみて新たな戦略を立てる必要にせまられた。新たな戦略は天城たちの大きな犠牲を払った上で救出されたもの日本政府情報部の武田部長によって立案されたのであった。それはNRFは一度日本を出てアジア各地を転戦する「長征」であった。

本作が上梓された前年に中国で天安門事件が発生し、旧ソ連が崩壊する以前であった。したがって著者の世界情勢の分析にはげ現時点からみたらやや苦しいものがある。
顕著な例は当時想定できなかった中国の経済的発展の度合いとソ連の崩壊、更に湾岸戦争とそれ以降の中東情勢の激変ではなかろうか?

とにかく維新政府の目指すものはほぼ完全に明治憲法に則した過去の大日本帝国の復活を目論む反動政権でありその首班である明智首相は我が安倍総理にそっくりである。

とまれ本作はこの第6部でもって終わりになっているが、この結末を知るにはまだ数十年の月日が必要かも知れない。そしてリアル日本の行く末を考える良い機会を与えてくれる一作であると思う。

森詠著『燃える波濤第5部 冬の烈日』

2016-12-05 11:29:11 | 「マ行」の作家
森詠著『燃える波濤第5部 冬の烈日』徳間書店 1989.5.31 第一刷 1,200円


おススメ度:★★★★★

本の帯には次のような一文が記されている

「九州戦争から五年、右旋回を成し遂げた日本は、軍事大国を目指していた…。アジアに戦乱の暗雲が拡がる。そして、あの風戸大介が成田に降り立った。」

自衛隊内に組織された右派グループ「新桜会」の軍人たちによって敢行されたクーデターによって維新政府が樹立され、それに対抗するかたちでNRF(国民抵抗戦線)がつくられ日本は事実上内線状態になった。しかし、維新政府は見せかけの民主投票を行い自らの率いる国民党が圧勝した。
その後憲法第9条を廃棄し維新憲法を発布。
自衛隊は国防軍として正規な軍隊に昇格された。
また秘密保護法を成立させ戦前の治安維持法と同じ法案を可決し、治安警察(昔の憲兵隊に相当)を設置し、NRFを初めとした抵抗勢力を徹底弾圧した。
また国民に対しては秘密裏に核武装をもくろんでいた。核兵器なかでも中性子爆弾の研究開発に着手したのであった。維新政府の無敵は日本が核保有国の一員となり国際的プレゼンスを高め、東アジアにおいては米国に代わって覇権を持つ。要は昔の大東亜共栄圏の構築を目指すものであった。
ところでこの作品は四半世紀前に書かれたものであったのだが、著者森詠氏には今日の政治状況を的確にとらえていたようだ。
クーデターという極端な手段を取るわけではないものの、今や一党独裁に近い安倍自民政権が目指す日本の姿と本作品で描かれる近未来の日本の歩む姿が見事にシンクロしてくるではないか!
一方NRF内部でも国際派、国内派で微妙に軋轢を生じはじめ、今回風戸大介が帰国した目的のひとつは双方の関係改善であった。その中で喫緊の課題は維新政府による核兵器開発の阻止であった。風戸とNRFの特殊部隊はその開発研究拠点のある青森県六ケ所村に乗り込んだのであったが・・・
またパリの亡命政権の中枢にいる天城の元にある日かっての恋人であるシンガポール財閥の娘リーからある重要な情報がもたらされる。それはかって天城の上司であった武田情報部長が生きており、現在維新政府の秘密監獄に囚われているというものであった。
天城はリーの元夫の協力を得て彼の救出作戦に自らも参加志願したのであった。本編ではこれらの作戦を軸に息詰まるような物語展開となっている。




第一部から第三部の感想は拙ブログでも取り上げている。興味のある方は是非ご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/snapshot8823/e/0fb108705171cbcafac34caff0

本編の前に第4部「明日のパルチザン」があるのだが、これは九州における維新政府に反抗する若者たちと元フランス外人部隊出身の枚方俊治(このシリーズの3人の主人公のひとり。実は個人的には一番好きな人物である)の壮絶なゲリラ戦を描く作品なのだが敢えて申せばシリーズの中では番外編であり今回の再読では割愛した。