今日、娘が突然
「お父さん、高橋克彦の“天を衝く”って読んだことある?」と聞いてきたので、
「もちろんあるよ」と答えた。
「“天を衝く”以外読んだことあるのかい?」と娘に聞き返すと「これが初めて。どんな作家なの」と言うので、彼の作品群をちょっと紹介した。
「本当はね“火怨”から読んだほうがいいんだけどねぇ」と言うと
「そんな時代に興味ないもん」と一蹴された。
内心「何にも知らぬ未熟者めが」と毒づいたのは言うまでもない。だが、こんな作品を読むようになったかと、ちょっぴり嬉しくなったので過去の読書録を引っぱり出してみた。
以下、2002年の読書録から引用。
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『天を衝く(上)』★★★☆☆ 読了日9/29
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題名:天を衝く(上)
著者:高橋克彦
発行:講談社 2001年10月
価格:\2,000
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織田信長が活躍する戦国時代、北の果て南部藩は跡目争いに明け暮れていた。そんな南部藩をなんとか生き延びさせようと九戸党棟梁、政実はひとり苦闘するのであった。
現在の岩手県二戸を居城とする九戸党なのだが、個人的には何度かこの辺りにも行った事があり、多少土地鑑はあるものの、いかんせん南部藩やその周辺の津軽や秋田、岩手郡あたりの勢力図がピンとこない。
もともとこの辺りが歴史上ほとんど影響力がなかった為であるが、いまひとつ辺境の小競り合い、といった感がいなめず興味が湧かない。
しかし、辺境ではありながらも、やはり戦国時代、食うか食われるかの駆け引きは凄まじい。面白いのは面白いのだが権謀術数、深読みの応酬ばかりがちょっと鼻につかないでもない。でも後半いよいよ物語りも佳境に入る直前、といったところで後半が楽しみ。
『天を衝く(下)』★★★★☆ 読了日10/10
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題名:天を衝く(下)
著者:高橋克彦
発行:講談社 2001年10月
価格:\2,000+tax
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秀吉による天下取りが進行し、北の雄伊達正宗も恭順の意を呈すため上洛。九戸党の棟梁政実はついに秀吉に対し大喧嘩する決意を固める。
二戸城に立てこもる5千の九戸党に対し、他の南部藩兵力とそれを支援する秀吉勢は10万の兵をひきつれて城攻めする。
もとより勝ち目などない絶望的な戦いだ。ひとえに「南部武士の意地をみせるため」の戦い。当然、それは空しい結末を待つだけだ。ひとりのいわば天才肌を持った武人がその生まれた時と場所が違ったため、むなしくその能力を発揮できなんだ悲劇とも言えようか。
全般的なこの小説の印象としては九戸政実を初め、種々の人間の「読み」の部分の描写が多すぎ作者の性格のしつこさを感じてしまい、ちょっと興ざめ。
僕の内にある東北人のしつこさに対する偏見のなせるわざかも知れないが。
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「お父さん、高橋克彦の“天を衝く”って読んだことある?」と聞いてきたので、
「もちろんあるよ」と答えた。
「“天を衝く”以外読んだことあるのかい?」と娘に聞き返すと「これが初めて。どんな作家なの」と言うので、彼の作品群をちょっと紹介した。
「本当はね“火怨”から読んだほうがいいんだけどねぇ」と言うと
「そんな時代に興味ないもん」と一蹴された。
内心「何にも知らぬ未熟者めが」と毒づいたのは言うまでもない。だが、こんな作品を読むようになったかと、ちょっぴり嬉しくなったので過去の読書録を引っぱり出してみた。
以下、2002年の読書録から引用。
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『天を衝く(上)』★★★☆☆ 読了日9/29
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題名:天を衝く(上)
著者:高橋克彦
発行:講談社 2001年10月
価格:\2,000
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織田信長が活躍する戦国時代、北の果て南部藩は跡目争いに明け暮れていた。そんな南部藩をなんとか生き延びさせようと九戸党棟梁、政実はひとり苦闘するのであった。
現在の岩手県二戸を居城とする九戸党なのだが、個人的には何度かこの辺りにも行った事があり、多少土地鑑はあるものの、いかんせん南部藩やその周辺の津軽や秋田、岩手郡あたりの勢力図がピンとこない。
もともとこの辺りが歴史上ほとんど影響力がなかった為であるが、いまひとつ辺境の小競り合い、といった感がいなめず興味が湧かない。
しかし、辺境ではありながらも、やはり戦国時代、食うか食われるかの駆け引きは凄まじい。面白いのは面白いのだが権謀術数、深読みの応酬ばかりがちょっと鼻につかないでもない。でも後半いよいよ物語りも佳境に入る直前、といったところで後半が楽しみ。
『天を衝く(下)』★★★★☆ 読了日10/10
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題名:天を衝く(下)
著者:高橋克彦
発行:講談社 2001年10月
価格:\2,000+tax
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秀吉による天下取りが進行し、北の雄伊達正宗も恭順の意を呈すため上洛。九戸党の棟梁政実はついに秀吉に対し大喧嘩する決意を固める。
二戸城に立てこもる5千の九戸党に対し、他の南部藩兵力とそれを支援する秀吉勢は10万の兵をひきつれて城攻めする。
もとより勝ち目などない絶望的な戦いだ。ひとえに「南部武士の意地をみせるため」の戦い。当然、それは空しい結末を待つだけだ。ひとりのいわば天才肌を持った武人がその生まれた時と場所が違ったため、むなしくその能力を発揮できなんだ悲劇とも言えようか。
全般的なこの小説の印象としては九戸政実を初め、種々の人間の「読み」の部分の描写が多すぎ作者の性格のしつこさを感じてしまい、ちょっと興ざめ。
僕の内にある東北人のしつこさに対する偏見のなせるわざかも知れないが。
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