梁 石日著『異邦人の夜(上下)』幻冬舎文庫
梁 石日と言えば映画化された『血と骨』を想起される方が多いのではないだろうか。今や彼の代表作となった気がする。
梁 石日の著作に初めて出会ったのは1987年に刊行された『タクシー狂躁曲』という本であった。これは確か彼のデビュー作だったと思う。何の気なしに手にした本であったが、在日朝鮮人のタクシードライバーの目線から乗客を通して見た日本社会の様々なありように非常な新鮮さを感じたものであった。
その後映画化された『月はどっちに出ている』で原作者としての梁 石日が注目されることになる。
ところで梁 石日が東京でタクシー運転手になったのは破産して大阪から逃げてきた頃の話だ。これはその後『血と骨』を読んで経緯が分かった次第。
梁 石日の作品の中には「夜の河を渡れ」とか「夜を賭けて」とか、夜のつく題名が多いのに気が付く。いずれも在日朝鮮人を描いた作品であるが本編はフィリピン出身のマリアと在日韓国人の父と日本人のハーフとして生まれた貴子の二人の女性の生きざまがパラレルに語られる。
どうしても梁 石日としては在日朝鮮人の歴史的呪縛の世界に入り込む傾向が見られ本来はフィリピン人マリアの物語に絞ってもらいたかった感が強い。
このフィリピン人主人公を読んでいると前述の映画『月はどっちに出ている』のヒロイン役を演じたルビー・モレノのことをつい思い出すのであった。
なんか本の感想にならない感想となってしまったが、梁 石日の膂力はさすがで上下を一気読みしてしまった。非常に面白い本である。
梁 石日と言えば映画化された『血と骨』を想起される方が多いのではないだろうか。今や彼の代表作となった気がする。
梁 石日の著作に初めて出会ったのは1987年に刊行された『タクシー狂躁曲』という本であった。これは確か彼のデビュー作だったと思う。何の気なしに手にした本であったが、在日朝鮮人のタクシードライバーの目線から乗客を通して見た日本社会の様々なありように非常な新鮮さを感じたものであった。
その後映画化された『月はどっちに出ている』で原作者としての梁 石日が注目されることになる。
ところで梁 石日が東京でタクシー運転手になったのは破産して大阪から逃げてきた頃の話だ。これはその後『血と骨』を読んで経緯が分かった次第。
梁 石日の作品の中には「夜の河を渡れ」とか「夜を賭けて」とか、夜のつく題名が多いのに気が付く。いずれも在日朝鮮人を描いた作品であるが本編はフィリピン出身のマリアと在日韓国人の父と日本人のハーフとして生まれた貴子の二人の女性の生きざまがパラレルに語られる。
どうしても梁 石日としては在日朝鮮人の歴史的呪縛の世界に入り込む傾向が見られ本来はフィリピン人マリアの物語に絞ってもらいたかった感が強い。
このフィリピン人主人公を読んでいると前述の映画『月はどっちに出ている』のヒロイン役を演じたルビー・モレノのことをつい思い出すのであった。
なんか本の感想にならない感想となってしまったが、梁 石日の膂力はさすがで上下を一気読みしてしまった。非常に面白い本である。