min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

中村安希著『インパラの朝』

2012-10-28 16:23:28 | ノンフィクション
中村安希著『インパラの朝』集英社 2009.11.8 第1刷 
1,500円+tax

おススメ度:★★★☆☆

いまどきまだこんな旅をしている日本人女子バックパッカーがいるのか?とちょっと意外な感じを抱いた。というのも昔ならこんな女の子を旅先でよく見かけたものだ。だが、団体旅行から裕福な個人旅行の時代へ移ったとはいえ、開発途上国をこのような長期の貧乏旅行を続ける女の子がまだいたとは!
彼女の旅立ち直前の様子が本のカバー裏に書かれている。

「私は45リットルのバックの底に980円のシュラフを詰めた。三日分の着替えと洗面用具、パブロンとバファリンと正露丸を入れた。それからタンポンとチョコラBB。
口紅とアイシャドウと交通安全のお守りを用意した。パソコンとマイクとビデオカメラを買いそろえ、小型のリュックに詰め込んだ。
果物ナイフや針金と一緒にミッキーマウスのプリントがついた覆面も忍ばせた。そして、ジムで鍛えた両腕に四本の予防注射を打ち、体重を三キロ増やして日本を離れた」

こうして彼女は26歳、47カ国、2年の旅に出かけた。この本はいわゆる「こんな開発途上国を何十カ国も回ったぞぉ」という旅行記ではない。訪れた国々でその時感じた事柄を断片的に脈絡がないまま彼女の感性で切り取った言葉で綴る旅行記である。
本編を読み進めて彼女は先に述べた出発直前の荷物の中で“果物ナイフや針金と一緒にミッキーマウスのプリントがついた覆面”を身を守る「武器」と考えて携行した節が伺われ、ちょっぴり苦笑してしまった。
とにかく旅の出だしは“身構えて”いるのが文章の端々に見られ、このまま旅行を続けられるのか?と危惧したものだが旅が180日を越えたあたりから彼女の肩から力が抜けたのを感じた。旅はどんな人間をも鍛えるものだ。とくにアフリカ諸国に入ってからの様々な人々との触れ合いや、強烈な異文化体験を通じて、彼女の中に「貧しさの意味」や「真の国際協力とは」という思考が生まれる。
だが僕もこの手の旅行を若い時分に経験したが、その場の触れあう時間が2、3週間ではあまりに浅い経験としかならない。中途半端な理解しか出来ないため、このような旅をいたずらに続けても意味がないように思えた。
彼女はこんな旅を続けるよりも、一番気になる場所でもっと掘り下げる作業が必要なのではないか、と読んでいて感じた。
だが彼女の感性は悪くないし、むしろ好ましい。表題の「インパラの朝」は草原にひとり立ちこちらを凝視する一頭のインパラとの体験からつけたようだが、彼女の凛とした眼差し、その風貌こそ平和ボケした日本人の中で、インパラのように美しく見える。




ダイアナ・ガバルドン著『時の彼方の再会Ⅰ』

2012-10-23 15:55:29 | 「カ行」の作家
ダイアナ・ガバルドン著『時の彼方の再会Ⅰ』ヴィレッジブックス 2005.1.20 第1刷 
780円+tax

おススメ度:★★★☆☆


アウトランダー・シリーズ7作目の作品。なんか前作『ジェイミーの墓標』のⅠを読み、その後のⅡとⅢを飛ばしてしまった。なんのことはない中古本で探せなかったせいだ。でもね、ほとんど物語の流れはつかめている。
クレアが妊娠したことを知ったジェイミーは再び彼女を20世紀の世界へ戻し、自身はやはりイングランド軍との壮絶な戦いとなった「カローデンの戦い」に参戦したのであった。この「カローデンの戦い」の歴史そのものを阻止すべく戦ったクレアとジェイミーであったが。やはり歴史を変えることは出来なかったようだ。
20世紀に戻ったクレアはフランクの庇護下、ジェイミーとの子を出産する。その後なんと医師の道を歩むのであった。
そのフランクも死去したことから、クレアは20才となった娘ブリアナを連れ、あのインヴァネスの地を訪れた。そして歴史学者であり牧師であるロジャーの助けで「カローデンの戦い」の後のジェイミーの消息を懸命に探った。
一方ジェイミーは戦いで死ぬことなくイングランド軍の捕虜となって生き延びた。だがその後のジェイミーに降りかかった運命はあまりにも過酷であった。
読者は今一度ジェイミーという男の生き様に感銘するとともに、ますます彼のキャラクターの魅力にハマってします。
そしてある日、クレアはとうとうジェイミーの存在を突き止めある重大な決心をするのだった。
もしも時の経過が20世紀と18世紀との間でパラレルに進行していると仮定するならば、20年経った今タイムトンネルの向こうで会えるのではないか!?
もしそうならば、娘を残してでもジェイミーに会いに行こう!という決断であった。
さて、二人は果たして再び邂逅出来るのか???




「最強のふたり」と「エクスペンダブルズ2」

2012-10-21 20:04:51 | 映画・DVD
映画「最強のふたり」と「エクスペンダブルズ2」を立て続けに劇場で観た。題名だけ取ると「最強のふたり」も何か戦争か活劇風なタイトルに思えるがそうではない。
「最強のふたり」は久方ぶりに観るフランス映画で題名(いつものことで原題から程遠い命名)からは想像出来ない身障者と介護人の友情の物語である。


内容は映画.COMから引用すると、
「パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した。」


主演のフィリップ役のフランソワ・クリュゼとドリス役のオマール・シー は本国フランスでこそ名が知れた役者のようであるが我が国では無名に等しい。
だが何故か順調にヒットしているようだ。
この映画で重要なポイントは現代フランスでの深刻な失業率の悪化でなかでもアラブ系及びアフリカ系の失業率は絶望的であること。
そもそも身体障害者と付き合うには不要な“同情心”を持ってはならない、ということ。互いに自分の殻に閉じ込まないで、相手の考えを尊重すること。これらの事が絡み合い、笑いながら涙を流して観る作品とあいなった。
フランス人のウィットとユーモアのセンス溢れる秀作である。


一方の「エクスペンダブルズ2」。一作目の「エクスペンダブルズ」をご覧になった方はとっくにおわかりかと思うが、金にあかせて作ったハリウッドの駄作。
だが今回は僕と同年代のかってはヒーローであったジジィが大挙して出演するという一点のみに注目して観てしまった。
だってスタローンをはじめ、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャン=クロード・バン・ダム、チャック・ノリスが出るんだもん。
彼らのB級作品のほとんどを観たような気がする。彼らも題名のように次々と消耗品のように登場してはいなくなってしまった。
大方が寄る年波に勝てない動きであったがひとりチャック・ノリスだけが往年のキレを残していたような気がする。
もうこんな“おバカ作品”は出て来ないと思うが、出てきても観ないかんねw

読書の秋

2012-10-18 23:34:15 | ノンジャンル
今年の夏は特別に酷暑となった。そのせいかすっかり読書ペースが落ち、気がつけばすっかり涼しさを通り過ぎて肌寒いくらいの秋が到来した。
先週北海道に行った折友人から本の寄贈を得たのを機会にちょっと読書ペースを上げようっと。頂いた本は添付画像の通り。

また図書館にリクエスト中のものとして

1.コーディ・マクファディン著   「遺棄上・下」


2.樋口明雄著           「 竜虎(ロンフー)」


3.百田尚樹著           「 海賊とよばれた男 上・下」


4.垣根涼介著           「勝ち逃げの女王 」


以上。う~ん、楽しみだ。


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