山本一力著『 桑港特急 』文藝春秋 2015.1.30 第1刷 1650円+tax
オススメ度: 星3つ
鎖国中の江戸時代に漁船が難破し、期せずして米国船籍の船に救助されアメリカ本土に渡ったという日本人は実際にいたようだ。
本作にも登場するジョン万次郎もその一人である。小説世界でも和歌山の鯨取り漁師がカナダのバンクーバーに渡ってから活躍するという作品もあったのを記憶するが、本作では遭難したのが漁師ではなく清水湊から船で江戸の花街に売られていく娘三人と、流れ着いた小笠原の父島で出会ったアメリカ人との間に生まれた二人の男の子が主人公である。
この父島でのジョン万次郎との出会いがその後二人がアメリカに渡るきっかけとなるのだが、父島での暮らしや彼らの周囲で関わる日米の人間模様が魅力的である。
一方この頃アメリカ西海岸では金が見つかり熱狂的なゴールドラッシュが始まっていた。砂金が採れた街の近くで暮らしていたリバティー・ジョーはサントス一味に最愛の妻と親友を殺されその復讐の執念に燃えていた。
更にゴールドラッシュで賑わうサンフランシスコで大陸間鉄道施設計画に一大ビジネスチャンスを見出そうとする中国人チャンタオは片腕のルーパンを連れ渡米する途中父島に寄り二人の日本人に兄弟と出会う。
ここに日本ーアメリカーちゅうごく、三ヶ国の男たちの命をかけた大勝負がアメリカ西海岸で繰り広げられる。
彼らの接点は何であったのだろうか、ここまでのストーリー展開は良かったのであるが、後半の銃撃戦を含める大活劇についてはかなりこの作者には荷が重すぎた感がある。
そもそも本作の舞台設定も登場するキャラクター造形も今までの山本一力作品から大きく逸脱している。着想はかなり面白いと思うのだが、最後は消化不良を起こし、尻切れトンボになってしまったのは残念だ。
オススメ度: 星3つ
鎖国中の江戸時代に漁船が難破し、期せずして米国船籍の船に救助されアメリカ本土に渡ったという日本人は実際にいたようだ。
本作にも登場するジョン万次郎もその一人である。小説世界でも和歌山の鯨取り漁師がカナダのバンクーバーに渡ってから活躍するという作品もあったのを記憶するが、本作では遭難したのが漁師ではなく清水湊から船で江戸の花街に売られていく娘三人と、流れ着いた小笠原の父島で出会ったアメリカ人との間に生まれた二人の男の子が主人公である。
この父島でのジョン万次郎との出会いがその後二人がアメリカに渡るきっかけとなるのだが、父島での暮らしや彼らの周囲で関わる日米の人間模様が魅力的である。
一方この頃アメリカ西海岸では金が見つかり熱狂的なゴールドラッシュが始まっていた。砂金が採れた街の近くで暮らしていたリバティー・ジョーはサントス一味に最愛の妻と親友を殺されその復讐の執念に燃えていた。
更にゴールドラッシュで賑わうサンフランシスコで大陸間鉄道施設計画に一大ビジネスチャンスを見出そうとする中国人チャンタオは片腕のルーパンを連れ渡米する途中父島に寄り二人の日本人に兄弟と出会う。
ここに日本ーアメリカーちゅうごく、三ヶ国の男たちの命をかけた大勝負がアメリカ西海岸で繰り広げられる。
彼らの接点は何であったのだろうか、ここまでのストーリー展開は良かったのであるが、後半の銃撃戦を含める大活劇についてはかなりこの作者には荷が重すぎた感がある。
そもそも本作の舞台設定も登場するキャラクター造形も今までの山本一力作品から大きく逸脱している。着想はかなり面白いと思うのだが、最後は消化不良を起こし、尻切れトンボになってしまったのは残念だ。