min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

映画「96時間 リベンジ」

2013-01-31 19:47:42 | 映画・DVD
仏映画『96時間・リベンジ (原題:Taken2)』

監督 オリヴィエ・メガトン
製作・脚本 リュック・ベッソン
キャスト:
リーアム・ニーソン (Bryan Mills)
マギー・グレイス (Kim)
ファムケ・ヤンセン (Lenore)


『96時間・リベンジ』の公式トレーラーを観て、これは明らかに第一作『96時間(原題:Taken)』を観てから劇場に行くべきかと判断した。さっそくTSUTAYAからDVDを借りてきて観てみた。
いやぁ、これがめっぽう面白い。物語は極めて単純明快。別れた妻との間にもうけた一人娘がパリ旅行で誘拐された。それを知った父親のブライアンは単身LAからパリに乗りこむ。ブライアンは元CIAエージェント。
CIAで培った人脈と殺人技術をもって、わずかな娘から得た手掛かりから犯人グループを割り出した。一見さもない中年親父の体型と風貌をもったオヤジがいざ敵に対峙したとたん豹変する。娘を救い出す為にはエッフェル塔だって壊してやる!と豪語するほどタフで凶暴なオヤジと化す。
誘拐犯グループはアルバニアの犯罪組織なのだが、このオヤジ、彼らを見つけ出すや片っ端から始末してしまう。娘の居場所を知るためには凄惨な拷問すら厭わない。
結果、たった一人でこの犯罪グループを壊滅させたあげく無事娘を救出してしまうのであった。
悪人には人権なぞ無く、その命に価値は無いとばかりにアルバニア人を虫けらのごとく殺す様はどちらが犯罪者か?と疑いたくなるほど。
よくアルバニア政府から抗議されなかったものだ(笑)だが、そういったヒューマニズムなんぞ考えずに観たらこんなに胸のすく作品はない。第一作を観て直ぐに思ったのはこんな仕打ちをアルバニア人にしたら絶対報復されるぞ!という思いがしたが、第二作はまさしくブライアンに対する犯罪組織からの報復であった。それもブライアンに電気による最も悲惨な拷問を受けて死んだ男の父親が今回のボスであった。

ということで、このアルバニアの犯罪組織のボスはブライアンが仕事でトルコのイスタンブールに現れるという情報をキャッチする。それも都合のよい事に元妻と娘が合流するという。
ボスは一族郎党を引き連れ車3台を連ねアルバニアからトルコに入境した。一味は用意周到ブライアンと妻を市内で捕獲し、更にひとりホテルに残った娘を捉えようとするのであったが。

今回もこの中年オヤジの強い事強い事。強さばかりではなく自分と妻が捕らわれた場所を特定する為に娘に手榴弾を投げさせ、音が伝わる速度で距離を測り三角測量で地点を探るなどアイデアいっぱい。オヤジの期待に沿うようけなげに努力する娘キムがなんとも素晴らしい。
かくして結論は言わずもがな。タイトルのリベンジは犯罪組織のリベンジとはとうていならなかった。リベンジされたアルバニア人が哀れに思えたくらいだ。
この一見“暴力至上主義”の映画に第三作目は要らんだろう。

佐伯 泰英著『木槿ノ賦-居眠り磐音江戸双紙(42)』

2013-01-29 10:07:43 | 「サ行」の作家
佐伯 泰英著『木槿ノ賦-居眠り磐音江戸双紙(42)』双葉文庫 2013.1.13 第一刷 各648円+tax

オススメ度 ★★☆☆☆

あらら、うっかりしていたら本作の前の40、41巻を飛ばしてしまったようです。佐伯先生いつの間に書き下ろしたのでしょう?
内容は豊後関前藩の内紛を描いたものであることから、大方の予測はつこうというもので遡って読むことはいたしません。
で、本作は内紛を処理した後日譚的なものであり、シリーズの本道?田沼意次との対決という命題からは脇道に外れた感がします。とは言いながらも田沼一派が関与している点を何とかこじつけてはおりますが。
本シリーズを少なくとも50巻まで引き延ばそうという著者の目論見?からなのか、更に次回は別れた奈緒を再びからめた物語へと脱線しそうな気配であります。そんなことより毒矢に射られて生死の境をさ迷う霧子ちゃんが気がかりでありんす。先生!よもや殺してしまうことはないですよね?田沼一派との最終戦には無くてはならない主要人物のひとりとなった霧子ですから。
あと2,3巻は脇道同道を強いられるのでしょうか??

矢月秀作著『もぐら』

2013-01-11 00:36:12 | 「ヤ行」の作家
矢月秀作著『もぐら』中公文庫 2012.4.25 第一刷 各667円+tax

1998年C★NOVELS『もぐら』に加筆したもの

オススメ度 ★★★☆☆

いわゆるハリウッドB級アクション・ムービーを観ているごときの小説。これを読んだ時期、風邪にやられて熱っぽく食欲も全くないままふとんの中に臥せっていた。日中寝てばかりいたのだが、かと言って安っぽい芸人主体の正月オバカ番組をみる気もしないので、相当軽めに思えた本作を手にした。
こんな時にちょっと前に読了した『遺棄』みたいなホラー・サスペンスを読もうものなら死にそうな気分になったに違いない。
さて、本編はやめデカで今はトラブルシューターとなった男の物語であるが、デカを辞めても尚警察と深く関わり続けて活躍するところに他の警察小説とは違っている。
世に“警察小説”と称するジャンルの作品はあまたあるが、多くは公安警察と刑事警察との確執を描いたり、同じ警視庁でも本庁と県警間との縄張り争いを描いたりしており、極めて日本的な組織内部での確執を描く場合が多いような気がする。
本編の作者は敢えてその枠組みみたいなものを無視するかたちで、従来の警察小説からはみ出ている。というか作者自身が日本の警察機構をあまり知悉してないのじゃないかと思われる節が多々見られ、この点をつっこみたい気持ちを持つと本編は楽しめない。
とにかく元刑事である本編の主人公影野竜司(通称もぐら)のスーパー・バイオレントなキャラが魅力。僕を含めた一部の読者に潜む“破壊願望”をとことん追及してくれる。
実はこの『もぐら』はシリーズ化されており、5編くらい既に刊行されているようなのだが、2作目はパスしてよさそうなので現在3作目を読んでいる。一作目で収監されてしまった“もぐら”はどうなるんだろう?という単純な興味で読み進めているのだが、「ふふん、そういう手を使ったか」とニヤリとさせる手法でシャバに戻り、更にエスカレートしたハード・アクションを繰り広げる。
病気は気分が落ち込んだ時におすすめのシリーズかも。





コーディ・マクファーディン著『遺棄 上・下』

2013-01-08 01:54:04 | 「マ行」の作家
コーディ・マクファーディン著『遺棄 上・下』ヴィレッジブックス 2011.10.20 第一刷 各780円+tax

オススメ度 ★★★★☆

『傷跡』『戦慄』『暗闇』に続くFBI特別捜査官スモーキー・バレット・シリーズ第4弾である。
スモーキーは新しい恋人(既に同棲中)と共に、養女のボニーをアレン夫婦に預け、二人してのんびりとハワイ島で休暇を過ごしていた。過去のあの忌まわしい事件の後初めてのまとまった休暇と言えた。まるでハネムーンのようでもあった。
帰国したスモーキーは部下のキャリーの結婚式に出席したのだが、その式の真っ最中にホテルの駐車場に頭を丸められ白いガウンを着た女性が車から放り出された。ロス市警の警官やFBI関係者が集まる目の前で!
これが事件の発端で明らかに事件捜査機関へ対する挑戦状であった。女性の身元を調べると8年前に拉致され失踪したと思われる元ロス市警の女性刑事であったことから、この事件は一層関係者に緊張感をはしらせたのであった。
今回の犯人像は過去のシリーズで登場したモンスターとも呼べる犯罪者像とは一味もふた味も違った。というよりもスモーキー達の想像をはるかに超えた、まるで次元の違う世界に存在するモンスターに思えた。
実際、訳者のあとがきで、著者マクファーディンが今回の“悪役”から本作の構想を練った際、今までとは全く違った犯罪者を描きたかったと真情を吐露したことを紹介している。
果たして今までとは違った犯人像とは?これは読んでのお楽しみ!と言ったところであるが、個人的に確かにこれ以上恐ろしい犯罪者は聞いたことがない。
ここまで来ると極限の犯罪者=敵と言えるだろう。
そしてこの恐ろしくも切ない結末の果てにこのシリーズはどこへ行ってしまうのだろう???