渡辺裕之著『傭兵代理店』 祥伝社文庫
オススメ度★★★★☆
著者の名前を見て一瞬俳優の渡辺裕之(映画「オンザロード」で昔デビュー。古っ!)かと思ったのだが、全く関係の無い新人作家とのこと。
日本人傭兵を描いた作品といえば古くは大藪春彦の『傭兵たちの挽歌』や柘植久慶のいくつかの傭兵物があるのだが、やめ刑事の傭兵という設定は初めてである。本作の表題ともなっている「傭兵代理店」という発想も面白い。この代理店は日本国内で単に傭兵に仕事を斡旋するだけではなく、海外における彼らの活動をサポートするシステムも合わせて持っている。
更に世界中の同様の傭兵斡旋機関とも連携を取り最新の業界情報をも収集している。
ま、平和国家日本ではます考えられない設定ではあるが発想としては興味深い。
さて、このやめ刑事出身の傭兵である主人公藤堂浩志だが、15年前にある猟奇的一家殺人の容疑者として逮捕された。
何とかその冤罪をはらした後、真犯人を追ってフランス外人部隊に入隊し犯人のあとを追う。しかし15年を要すしても犯人の行方は分からず、イラクかどこかで戦死したという噂を聞いた。
15年ぶりに藤堂が帰国した後、彼を待っていたかのように再び異常な殺人事件が起きた。
彼は再び15年前の真実を求めて復讐の鬼となる。
藤堂はスーパーヒーロー的な存在ではなくなかなか渋い中年の、実力と経験に裏打ちされたベテラン傭兵として描かれる。
彼を取り巻くサイド・ストーリーも程よく用意されて新人とも思えないプロットの構成がなされている。
舞台も東南アジアの何カ国かにまたがって展開され、その国際感覚もバランスがある。
久々の骨太な冒険小説作家として第二弾を大いに期待したい。
オススメ度★★★★☆
著者の名前を見て一瞬俳優の渡辺裕之(映画「オンザロード」で昔デビュー。古っ!)かと思ったのだが、全く関係の無い新人作家とのこと。
日本人傭兵を描いた作品といえば古くは大藪春彦の『傭兵たちの挽歌』や柘植久慶のいくつかの傭兵物があるのだが、やめ刑事の傭兵という設定は初めてである。本作の表題ともなっている「傭兵代理店」という発想も面白い。この代理店は日本国内で単に傭兵に仕事を斡旋するだけではなく、海外における彼らの活動をサポートするシステムも合わせて持っている。
更に世界中の同様の傭兵斡旋機関とも連携を取り最新の業界情報をも収集している。
ま、平和国家日本ではます考えられない設定ではあるが発想としては興味深い。
さて、このやめ刑事出身の傭兵である主人公藤堂浩志だが、15年前にある猟奇的一家殺人の容疑者として逮捕された。
何とかその冤罪をはらした後、真犯人を追ってフランス外人部隊に入隊し犯人のあとを追う。しかし15年を要すしても犯人の行方は分からず、イラクかどこかで戦死したという噂を聞いた。
15年ぶりに藤堂が帰国した後、彼を待っていたかのように再び異常な殺人事件が起きた。
彼は再び15年前の真実を求めて復讐の鬼となる。
藤堂はスーパーヒーロー的な存在ではなくなかなか渋い中年の、実力と経験に裏打ちされたベテラン傭兵として描かれる。
彼を取り巻くサイド・ストーリーも程よく用意されて新人とも思えないプロットの構成がなされている。
舞台も東南アジアの何カ国かにまたがって展開され、その国際感覚もバランスがある。
久々の骨太な冒険小説作家として第二弾を大いに期待したい。