min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

月村了衛著『機龍警察 狼眼殺手』

2017-12-05 17:58:38 | 「タ行」の作家
月村了衛著『機龍警察 狼眼殺手』早川書房 2017.9.15 第一刷

おススメ度 ★★★★★


日本の通産省と香港のフォン・コーポレーションが進める「クイアコン」プロジェクトに一大疑獄があることが判明した。この「クイアコン」とは新世代量子情報通信システム(詳細は私には理解不能)なるもので、実現されればその影響は軍事、経済を含む全ての分野で絶大な影響を与えるであろう新技術となる。実はこの技術は特捜部が保有する3体の龍機兵(ドラグーン)にも既に使われているといわれ、この謎のシステムはより一層の謎を生むことになる。
「クイアコン」に群がる利権を求める金の亡者たちはあらゆる産業分野にまたがっている。この一大疑獄と並行してクイアコン・プロジェクトに係る役人、研究者が殺される事案が発生し、明確な繋がりは不明ながら連続殺人の様相を見せ始める。この事態を踏まえ警察側は捜査一課、二課に加え特捜部を入れた三者合同捜査を行うという異例の体制をひくこととなった。
しかも三者のとりまとめは特捜部の沖津部長となった。
捜査には更に国税や外事二まで関与し、互いのいがみ合いもあり、捜査は困難を極めた。
さて今回の最大の特徴は本シリーズの目玉とも言えるドラグーンが登場しないことだ、何故なら前述の連続殺人の犯人とおぼしき暗殺者が単身拳銃のみを持って殺戮を繰り返す元北アイルランドのテロリストであるらしいことが分分かっからだ。そこで3人の突入班もドラグーンに搭乗することなく、通常銃火器を持って対処することになった。本編の副題にある狼眼殺手とは「オオカミのような眼を持った殺し屋」を意味する中国語であるが、香港を主な舞台として暗躍し恐れられる殺し屋だそうであるがその国籍、性別、年齢などは一切不明である。だがラードナー警部だけは何故か不吉な予感に囚われた。それは狼の眼を持った一人の元IRFの女テロリストを思い浮かべていた。
本編ではこの狼眼殺手という暗殺者のクライアントが警察内部の<敵>ではないのか?というのが最大のポイントとなっている。
<敵>に関しては沖津部長がその存在を真っ先に指摘してきたが、未だにその黒幕は誰か、組織あるいはグループの実態は明かされていない。今回は遂にその真実が明かされるのか否か?という点も最大の関心ごととなる。
先に述べたが今回ドラグーンを駆使した戦闘こそないものの、狼眼殺手と迎えうつ特捜部の突撃班、特にラードナーとの白兵戦は見ものであろう。
本の帯にある「またしてもシリーズ最高傑作を更新した長編第5作、・・・」といううたい文句はウソではない気もする。とにかく最初から最後まで読者を惹きつけて離さない秀作である。






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1 コメント

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2017-12-07 20:51:28
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