Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです




 日本も世界も、まだまだ未知の土地だらけ。でも本当に気に入った場所であれば、何度でも行きたくなるのが人情ってものです。
 11月、鹿児島県の薩摩硫黄島への旅のお誘いを受けました。6月に行ったばかりではあるけれど、いいトコなのは確かだし、6月には見られなかった景色や場所もたくさんあります。二つ返事で、参加を決めました。

 さて硫黄島に渡るとなれば、まず鹿児島まで下らねばなりません。
 早い新幹線で行くか、安いバスで行くか迷うところですが、せっかくなので鹿児島までの往路には「おれんじ食堂」の夜便に乗ることにしました。4月に乗ってまた乗りたいと思っていたの列車で、これまたリピーターの旅と相成ることに。

 11月23日、「旅名人の九州満喫きっぷ」を手に、久留米駅から出発です。


 久留米から八代行きの普通電車に乗り継ぎ、815系のセパレートロングシートに耐えること約2時間半で、新八代着。クロスシートの817系なら、まだラクだったのですが…
 短い冬の陽、午後5時を前にして既に夕暮れの風情です。夕焼けに、八代の製紙工場の煙突が映えます。


 17時08分、川内から上ってきた「おれんじ食堂2号」が新八代に到着しました。下り3号の発車までは6分しかなく、なかなかタイトなダイヤです。
 5月に乗った際には下り線ホームから乗ったので、こちらに転線してくるのかと思いきや、その気配はなし。上りホームから乗るのだと気付き、いそいそと階段を上がりました。


 「おれんじ食堂」は、食事&お土産がパッケージの1号車と、座席指定のみで食事はオプションとなる2号車の2両連結。
 1号車の夜コースは14,600円という高値なので、1,600円の指定券と4,500円の食事オプションで乗れる2号車にしました。出てくる食事は同じなので、お得感があります。

 2号車は、海側は向い合せ、山側はソファの座席が展開。山側の席が指定されていましたが、この日、僕ら以外の乗客は3人だけでガラガラなので、海側の席に移りました。
 この日のFacebookでは「3号に若干の空席があり」と出ていたのですが、ガラガラやないかい!とツッコミを入れたくもなりました。

 ただ旅行会社による団体の直前キャンセルが、それもアジア圏からのツアーでは多いとのことで、図らずともガラガラになってしまう日があるようです。
 鉄道側の損害も小さくないと思われますが、団体さんは「いいお客様」だけに、痛し痒しでしょう。


 おれんじ食堂では、デコポンのフレッシュジュースとコーヒーがフリードリンク。さっそく客室乗務員…というかウエイターさんが、ウェルカムドリンクとして持ってきてくれました。
 4月に乗った時には、このあたりの段取りが不慣れな感じでしたが、運行開始から半年、だいぶスムーズになりました。接客も、フレンドリーさに磨きがかかったように感じます。

 飲み物とともに、有料ドリンクのメニューも置かれました。ソフトドリンク200円、グラスの焼酎300円と、なかなか良心的な値段に好感です。


 1号車のカウンターの前には、ズラリと酒瓶が並びます。居酒屋ではなく、揺れる列車内でのラインナップ。「呑み鉄」にはたまらない光景です。


 しかしこの日は、日頃見られないスペシャルメニューがありました。昨日「解禁」を迎えたばかりの、ボージョレ・ヌーボーが樽ごと積み込まれていたのです。
 1杯1,200円となかなかの高値ですが、せっかくなので1杯ずつオーダーしました。


 八代を出て球磨川を渡れば、不知火海の沿岸に飛び出します。陽は没した後でしたが、夕暮れの残る海に向かってカンパイです。
 グラス1杯とはいえかなりのボリュームで、ほろ酔いになってきました。


 18時過ぎ、津奈木を出る頃には、お待ちかねのディナータイムが始まります。
 まずは季節のスープから。カウンターの保温鍋から供されるスープはアツアツ、嬉しくなります。


 前菜プレートには、12品がラインナップ。
 テーブルに敷かれたオレンジ色のランチョンマットは、揺れる車内での すべり止めを兼ねます。


 サラダはバーニャカウダとして登場。地場産の野菜が、ずらりと並びます。
 こんな厚切りの大根…と思いかじってみれば、ほのかな甘みが広がる美味。新鮮な野菜ならではの味わい方です。


 ディナー中に出水着。3分間の停車です。漫然と停車しているわけではなく、1号車では食事の積み込みが行われます。
 おれんじ食堂は「食堂車」ながら調理室がなく、沿線のレストランからのケータリングに頼っています。乗客が優雅に過ごす間に、裏方では重労働が続いているのです。


 お待ちかねのメインディッシュは、この週末3日間限定の「熊本黒毛和牛のすね肉・ボジョレー煮込み」。偶然の喜びを感じられる、期間限定のメニューです。
 ケータリングなのでアツアツとはいきませんが、温かい料理に満足。ボリュームもかなりのものです。


 列車は阿久根到着。1号車では川内まで、ジャズピアノの生演奏が奏でられます。
 本来はリーズナブルな2号車の乗客は蚊帳の外になってしまうのですが、今日は1号車の乗客がいないため、特別に1号車に移ってよいことになりました。広々テーブルで開放的な1号車にはランチョンマットが準備され、なんだか申し訳ないほどです。


 ラストのパエリアは、小さなパンに載せられ何だか嬉しくなってしまいます。
 30代男子の僕でも、すべて平らげればお腹いっぱい。女性にはちょっと量が多い…というのは運行開始当初から指摘されてきましたが、満腹にさせる主義は今も貫かれているようです。


 パエリアに焼酎を傾けながら、ピアノの生演奏を聴ける列車だなんて、とんでもない贅沢。奏者さんもフレンドリーで、楽しい舞台でした。
 願わくば電子ピアノではなく、アップライトピアノだったらと思います。SLニセコ号のカフェカーで、客室乗務員が奏でたピアノの音色を思い出しました。


 デザートのケーキとコーヒーで、満足、満足。乗務員さんとの触れ合いに生演奏、席の移動もあって、3時間も乗っていたことが信じられないほどの充実したコースでした。
 コースの半分は闇の中でしたが、夏場であれば阿久根~川内間の海岸の車窓も楽しめそう。夏場の夕暮れ、冷たいビールもおいしそうだな…季節を変えて、また乗ってみたいものだと思いました。


 名残惜しく川内駅で下車して、乗り換えた鹿児島中央行きの普通電車は415系のロングシート。一気に「庶民」へと戻りました。
 しかしなにが嬉しいって、あれだけ満足した時間を過ごしたのに、まだまだ旅は序章ということ。鹿児島では新幹線で追い抜いた組と合流。0時過ぎまで薩摩焼酎を傾け、明日への期待を高めたのでした。

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