長い。とみんな、まず言う。
美術館ドキュメンタリーは何本も見たけど、図書館ドキュメンタリーは初めてだし、
ドキュメンタリーってやや短めの尺が多いのにこれは200分超えという根性のいる映画だった。
かなり不思議な映画です。
この図書館の多岐にわたる活動をいろんな面から描くにしても、一件一件について
それぞれ内容にもかなり踏み込ませ長いわりに、
話者の肩書きや場面についての説明キャプションがなくて、
固有名詞のあまりない状態で見ることになります。
パンフの情報があれば理解できるけど無いと、ぼーっと見てたら半分も理解できそうにない…
それが狙いなのでしょうが、かなりじっくりと見ることを要求する映画だわ。
興味深い映画だけど、こういう作り方は観客に多くを要求しすぎなのでは?
普通のドキュメンタリーの作りで90分の尺で作って、
200分版はノーカット版として別に出す感じにした方が見る方も見やすいと思うけどなぁ。
90分でまとめても、これ結構ちゃんとこの図書館の全貌を俯瞰することはできると思うのです。
それぞれの話題の話の中身を延々聞かせるのではなく、エッセンスに刈り込んで、
取り組みの多様さにフォーカスさせて作ればいい。
それ以上にコミュニティの公共図書館の運営や問題を掘り下げたい人たちへの別物として
ノーカット版でしか伝わらないことはノーカット版200分でやればいいと思う。
その方が多くの人に届く気が、わたしはします。
映画を見てアメリカにも税金つぎ込んで作られてる歴史修正教科書が流通してるのを知って
ああ、何処も同じかと思ったりしました。
黒人文化保存センター?研究所?みたいなところの会合のシーンでしたが、
なんとかという会社(忘れた)の教科書が、
アフリカ系アメリカ人に関しては労働者として良き生活を求めてアメリカに来た、と
自由意志で来た移民労働者のように書く一方で、
ヨーロッパやオーストラリアからの移民に関しては重労働を課せられつらい使役に耐えた、
という同情的な書き方をしていることに怒っているシーンがあったのでした。
その教科書(9年生)はテキサスで採用されたようで、記述の間違いについて指摘しても、
問題になったら考えるみたいな姿勢で不誠実だと映画の中で言ってました。
映画には直接関係ない会話だったんだけど、日本でも起こっていることだったので気になった。
こういう歴史修正主義への批判のあと、でも我々には図書館がある、と続きました。
いつでもいつまでもここに来て集うことができる、みたいな言葉が続いてたと思う。
良心の拠り所としての図書館、黒人の、マイノリティの、コミュニティとしての図書館。
公共ということの果たせる役割に、どれだけいろんな可能性があるかじっくり描かれた映画でしたね。
珍しくパンフレット買いました。見るのは疲れたけど、公共を考える時には必ず見たい映画です。
アメリカには問題も多いけど、こういう良心が大きく深く健在なのは素晴らしいと思う。
1911年に建てられた図書館の建物も素敵です。
予告編にある言葉:
>図書館は本の置き場ではない。図書館は「人」なんです。
あと公式サイトにあった、映画公開記念パネルディスカッションの書き起こしもとてもいい内容です。
→ニューヨーク公共図書館と<図書館の未来>
この映画の翌年くらいに見た「パブリック 図書館の奇跡」というのも
アメリカの図書館を舞台にしたフィクションで、予想外に良かった。
こちらは物語がどんどん展開していくので楽しく気楽に見られるので
「ニューヨーク公共図書館」を見て良かった人はこちらも見てほしい。
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