今更ですが、1999年くらいの映画「ファイトクラブ」を見て、誰かが
わたしが少し前に見たある映画と同じと言ってた意味がわかった。
それを書くと超ネタバレになるのでラストに書きます。
さすがにすごい映画なのはわかるし、意味もわかるし好きか嫌いかなら好きなんだけど
なんしか痛いのが苦手なので疲れました。殴り殴られて何かを実感するとしたら、
それは生きてる実感ではなく、痛さの実感だけだもん。。。
でも全体的には話の主眼はそこではなく、消費社会への警告、
それに組み込まれ奴隷になってる人間への危機感とそれへの反抗、かな。
主人公の一人の訴えるその主張には共感できるところがあるのが、上手い。
だから前半は痛いの苦手なのに、嫌な感じはあんまりしなかったのです。
むしろ主人公には感情移入してしまう、痛いのに。
でも後半、大勢の子分的な男たちの群れが出てくるところからはずっと嫌な感じだった。
男たちは自分の頭で考え、自分で目覚めたわけではないのよね。
自分の主人を資本主義社会というものではなく、それに挑もうとする主人公に変えただけで
どんな目的のためでも、盲目的に一方向に従う群れというのは気持ち悪いものだと思う。
しかもそれが暴力を武器に巨大化していくと言うのはこわい。
被搾取、被虐待の果てに起こるゲリラやテロ活動のような切実さがなく、
ごく個人的な思想のようなものが原動力であるにすぎない。
あと、暴力の、力の持つ魅力に酔いしれただけ。
ラスト間近、力を持った主人公は「アベンジャーズエンドゲーム」の悪役サノスを
少し思いおこさせました。力で世界を、自分の思う正義と平和の方へ変えようとする。
監督は「セブン」と同じデビッド・フィンチャーで、似たところは多いです。いい意味で。
「ソーシャルネットワーク」と「ゴーン・ガール」も見たけど
時代が違うからかやはりお少しモダンになってるかな。
でもやっぱりフィンチャーだなという感じはある。
20年も前の映画だけど、これはネタバレには気をつかう映画なので
もしもまだ見てなくていつか見るつもりの人はここからは読まないで。
この吹き替え版トレイラーの後にネタバレきます。(吹き替えもなかなかいい)
これは、この映画「タリーと私の秘密の時間」と同じようなネタバレになります。
今、自分の「タリー」の感想読み直したけど、何とネタバレ書いてなかった。
でも、ここに書きますよ。
主人公の疲れ切ったマーロを助けたシッターのタリーというのは
実はマーロが作り上げた架空の相手で、若い頃の自分だったのです。
若い頃の自分が、今の自分を励まし助け変えてくれたんだけど
実際は全部一人でこなしてたので、過労で倒れるということになったのでした。
「ファイトクラブ」も主人公が仲良くなり憧れもした相棒は
実は彼の想像でしかなく、でも「タリー」と同じく、
自分では実在の人間だと信じ込んでいるんですね。
それに気づいてから、改めて考えるとところどころの小さな謎が全部解決します。
わたしは鈍いのかバカなのか、どちらも最後まで全然気づかなかった。
その方が楽しめたと思うけど、途中で気付くよね〜と言う人もいて、
自分はやっぱり映画をあんまり注意深く見てないんだなぁと思った。
でもこのネタバレは、確かに全体に関係する壮大な仕掛けではあるけど
映画のエッセンスとしては、前半の問題提起の方が大事なのではと思う。
あと、ラストは少しロマンチックと思う、甘いわたし。
ヘレナ・ボナム=カーターはアクが強くて好きな女優じゃないけど
ここのこの役にはすごくぴったりで、時々エキセントリックな役をやる彼女だけど
その中に切なさや孤独を漂わせて適役でした。
主役のエドワード・ノートンも最高にうまいけど、やっぱりブラピがかっこいい映画。
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