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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ドリス・ヴァン・ノッテン 

2018-02-01 | 映画


ファッションドキュメンタリーは、わりと内容はどうでもよくて
とにかく華やかで綺麗な世界をこれでもかと見られる幸せだけでも十分楽しい。
「ファブリックと花を愛する男」という副題が付いている
(この日、4本ハシゴした日の最後の)このドキュメンタリー映画は、
ファッションドキュメンタリーとしては普通かもしれないけど、
(だって他でも映画になるデザイナーたちってみんなそれぞれ魅力的で面白すぎる)
「アントワープの6人」というのがわたしにとって懐かしいこともあってよかった。
アントワープ6というのは、わたしが20代くらいの頃に人気のあった
ベルギーのアントワープ王立芸術なんとか学校?(うろ覚え)か何かから出た6人で
かっこよかったんですよ。アメリカやパリやロンドンと違う雰囲気がよかった。
その後、その同じ学校に留学した日本人の本を読んだこともあって、
いつか1年くらいどこかに留学とかできるなら
アントワープに住んでみたいなーと思ったこともあったのです。

まずね、とにかく何よりドリス・ヴァン・ノッテテンの家がすごいの!!!
広〜〜〜い庭(敷地30ヘクタール!?)には素晴らしい花や木や野菜までが
自然な感じながらも、なんとも眼を見張るセンスで植えられていて、眼福。
彼自身、ガーデナーとしても有名らしいんです。
30年近く公私にわたって長年のパートナーの彼氏と2人の素敵おじさまカップルが
仲良く花を選んで選びながら積んでいる日常シーンの、もう、もう、素敵なこと!
これが日常なんて素敵すぎる。
家のインテリアもすごく素敵。ものが多くて、ややクラシックながら、
その何から何までの美意識の高さセンスの良さにめくるめく感じで眺め入ってしまった。
このおうちは1840年代に建てられた「ザ・リンゲンホフ」って言うらしいんだけど
名前がついてるお家なの?すごいなぁ。お金持ちっていいなぁ。

「『ファッション』という言葉は嫌いです。
そう呼ばれるものは半年で寿命がつきると思っています」という彼は
個人的生活を大事にする人で、全てにこだわりのありそうな完璧主義者だけど
流行を作りたいのではなく、とにかく美しいものでないと嫌なんでしょうねきっと。

映画は彼の2015年〜2017年の1年半の4つのコレクションができるまでを見せながら
彼の仕事とプライベートのインタビューや語りが入ります。
コレクションは毎回違う場所で、オペラ座だったり大きな倉庫みたいなとこだったりして
それぞれ工夫とアイデアがあるし、服のテーマや組み合わせを見るのも楽しい。
デザイナー本人は控えめでソフトな印象ながら、よくしゃべるし、
周りの人たちもよそよそしい専門家ではなく、彼のことをよく知ってる人が多くて
わりと暖かい感じのドキュメンタリーになってると思う。
植物も家も仕事も、スタイリッシュだけど冷たい感じではないんですよ。
難しい男だと思うけど冷たい人じゃないんだな。

景気の波の谷間で有名ブランドが他の企業と合併したり吸収されたり
大きな再編がたくさんあったのをおぼろげに思い出すけど、
そんな中でもドリス・ヴァン・ノッテンは、身売りせずに自己資金だけで経営し
アクセサリーなどの小物を利益獲得の手段に使うこともなく
自由な服作りを続けてきてる貴重なブランドなんですね。
そのやりかたはストイックに見えるけど、それは彼の美意識を表現する自由のためで
その美意識はどこか自然でやさしいところがあるように思いました。
そういえば、長年のパートナー男性とは公私でいつも一緒にいるけど、
全然ベタベタしないで本当に自然な感じで信じ合ってて仲がいいけど、
飼い犬のことは、すごくかわいがって、多分甘やかしてる。笑

インドに刺繍や手仕事を発注し、現地に駐在員も置いている
ドリスヴァンノッテテンのテキスタイルへのこだわりは2つの映画を思い出させて
またそれらを見たくなりました。どちらも美しい刺繍の映画。
ひとつは「クレールの刺繍」だったかな。
ちょっとはぐれ者の女の子がオートクチュールの刺繍をすることになる話。
頑張って認められ成功する成功物語とかの話では全然なく、
下働きのお針子さん的な子の個人的な人生を描いてる映画だったと思うけど
オートクチュールの素材の手仕事の夢のような美しさにドキドキした。

もうひとつは、「マルタのやさしい刺繍」
80歳のおばあさんがそれはそれは美しい刺繍の下着を作る話だっけ。
こちらは元気も出ます。
100歳になってもとろけるような布に繊細な刺繍の施された下着にうっとりしたいな。

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