この映画は予告編にあまり興味を惹かれなかったのに、みんながあまりに褒めるので
期待が高まりすぎてどうしようと不安だったけど、期待を裏切らない面白さだった!!!
予告編に出せない部分が面白い映画なのよね。
この監督「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」の不穏さや不条理、謎めいた雰囲気は
「女王陛下のお気に入り」では少し控えめになって、
むしろ人の心の深淵を物語に素直にのせて(やや意地悪に)描き出す感じになってたんだけど、
今回のはそっちの、人の心の深淵を見せる系の延長線上で、
すっごい変テコ!なんなんこの不条理は?と思う不気味さは少なくなってきて、
今回はみなさんおっしゃるように「バービー」的なテーマ主導かな。
お話は、フランケンシュタイン博士を彷彿とさせる天才外科医のウィレム・デフォーが
若い女性の死体から人造人間?ベラ(エマ・ストーン)を作り出す。
ベラの脳は赤ん坊の脳で、知識も知能も赤ん坊だけど、猛スピードで吸収していき
世界を知るための旅に出る。
なんの偏見や常識もなく、若く美しく無防備なベラを利用しようとする男はいるけど
ベラの当たり前に自由な精神は何かや誰かに隷属したりせず、成長していく…
脚本も美術もめーっちゃ良かったけど何よりエマ・ストーンがよかったね。
体当たり演技と言われそうだけど、本人プロデュースにも関わってるし、
彼女のこれからの代表作になると思います。
しかしこのエマ・ストーンの目!人形の目のような透き通って揺るがない目の演技!
予告編ではエマストーンがそんなに美しいように見えなかったけど、
映画見ると時々ハッとするほど気高く見えました。
カエルを潰すシーンを見ると、その凶暴で恐れを知らない無垢にも感心しました。
そして性的に成熟すると、なんの社会的タブーも持たないので、それに邁進する姿はいっそ清々しい。
その過程で男たちを魅了し翻弄し破滅させもして、それも痛快なところがあるのだけど
これが男女逆だとどうかな、とは思った。
完全に無垢で常識もタブーもない男が単純に自分の性的快楽を求めて、次々に女性と寝て
自分に邪魔だったり必要ないと思ったら簡単に捨てる…
それはひどい男に見えそうで、でもそれは現実に近いからそう見えるのだろうな。
あと、髪の長ーい華奢な女の子がまっすぐな目をしてややガニ股で仁王立ちしてる姿は、
なんだか大島弓子の漫画に出てくる少女を思い出させる。
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