sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:聖なる鹿殺し

2018-04-16 | 映画


「聖なる鹿殺し」と「ハッピーアワー」(こっちは明日書く)
これ続けてみたんですよ、ハシゴして。
いやもう最悪の組み合わせ。最低の悪趣味。(すごく褒めてる)

まずは「鹿殺し」。ひー。限界を超える不穏さの塊!
同じ監督の前作「ロブスター」よりもっと後味悪いし不穏すぎる。
ロブスターはもうその世界全体が荒唐無稽だったのでお話しがどっちに行っても
それはそれで受け入れてみることができたんだけど、
「鹿殺し」の方の世界は一見ごくリアルで普通なので
その中で起こる事件の異様さ、不条理(なのか?)がより際立って気持ち悪いのです。
絶対もう一回見たくないけど、こりゃすごいとテンション上がるほどに。
わたしの人生で最悪の後味悪映画である「ドッグヴィル」級の嫌な感じです。
あ、あの映画もニコール・キッドマン出てたな。
ただ、女性として許せなくて、人間という醜いものに対してハラワタが煮え繰り返る
「ドッグヴィル」に比べると、女性への暴力という側面のある話ではないので
もう少し気楽に見ましたが、この隅々まで充満する不穏さには参りました。

恵まれた人生を歩んでいた外科医のスティーブンには、
時々会っている少年がいて、その少年を家族に紹介したところから
家族に異変が起こりだす。まずは一番下の男の子、年長の娘が歩けなくなり
少年から次に何が起こるか告げられて・・・

この少年が誰でスティーブンとどういう関係なのかは途中でわかってくるんですが
それがわかったからといって、なぜこんなことが起こるのかは最後までわからない。
謎は謎のままなんですよ。でもとにかく、原因があって因果応報の物語が始まって
犠牲を払うまではそれは止まらない悲劇になる、と。
こういうよくわからなさは、慣れない人には納得し難いかもしれませんね。
中途半端に因果関係があるから、余計もやもやするかも、
でもまあ、こういう監督のこういう映画だから仕方ない。笑

登場人物全員、なんかもう気持ち悪いのです。
スティーブン役のコリン・ファレルは「ロブスター」の時より少し普通な感じだけど
やっぱりなんか気持ち悪い。
平和な家族団欒のシーンさえ、他人同士が仮の家族芝居をしてるみたいに白々しく
郊外の美しい豪邸も、相変わらずきれいなニコール・キッドマン演じる妻も不穏。
夫婦のベッドのシーンの、少し特殊なプレイが、
この空々しさの中ではむしろ普通な感じでさえあるくらい。
長女は美少女で聖歌隊にいて、歌が得意で才能があるということなんだけど、
この子の歌がまた全然上手いと思えないのは、わたしの耳がだめなのか?笑
(予告編のアカペラの歌がそれ)そしてこの歌もまた不穏・・・。
全体のセリフの棒読みっぽさとこの歌の一本調子で頼りない感じは似ています。
とても嘘っぽく寒々としている。

謎の少年役バリー・コーガンがとにかくすごい。みんな言ってるけど本当にすごい。
映画「ダンケルク」で、民間船でイギリス兵救助に向かった好青年が
ここではもう世界一気持ち悪い不気味少年にしか見えません。
うまいというか、元々ハンサムではなく目つきは悪いし肌は汚いし
頑固で内省的で何考えてるかわからない系の顔ではあるので、
もし、実物が目の前にいたら、実際にどんな好青年でも、
ぎゃーと叫んで逃げてしまうと思う、わたし。それくらいのはまり役。笑

神の聖なる鹿を殺してしまった父が娘を生贄に差し出すという
ギリシャ神話の「アウリスのイピネゲイア」という話が題材になっているそうですが
まあ、ギリシャの神たちって、欲望まみれで怒りっぽく勝手な神が多いので
この少年も神のようなものなのかも、という解説はわかる気はする。

しかし、この感想ひたすら「不穏だ」しか書いてない文章力のなさが申し訳ない。
でも、本当にそうだし、これは実際に見るしかない映画なんだもん。
予告編の緊張感がずーっと続きます。すごいテンション。疲れるけど。
この監督の次回作も絶対見ると思うけど、嫌だ嫌だと言いつつ
さらなる後味悪映画を期待しましょう。笑

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
5時間半 (norae)
2018-04-17 13:59:25
ハッピーアワー一気に観たの?5時間半

明日が楽しみだw
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>noraeさん (sigh)
2018-04-17 23:38:57
あのハッピーアワーと違うやつ!w
あれは長すぎて、まだ見てない〜
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