島は小さな大陸にほかならず、大陸もまた大きな大きな島にほかならぬのではないか。
旅行ガイドブックを買いに行ったのに、なんとなくそこにあった、
ものすごく実用性のない島の本を買ってしまった。
「奇妙な孤島の物語〜私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島」
でもとても素敵な本なの。「もっとも美しいドイツの本」賞受賞作。
場違いなガイドブックの棚にあった幸運。
年に一冊でもこういう本と出会えたら、その年は幸せな年、という気がする。
まずは、装丁のブルーにやられました。思い切りのいい濃いめの水色。
ティファニーの青より少し濃いかな。とてもきれい。
こちらの→詳しいレビューを読んだら内容はわかるし
すぐにでも欲しくなると思うけど、リンクが切れると残念なので少し抜き書き。
タイトルのとおり、50の孤島が紹介されている。『ドイツのもっとも美しい本』に選ばれただけあって、とても綺麗な本である。しかし、その印刷と造りは極めてシンプルだ。一つの島が見開きで紹介されていて、左側がマリンブルーの海に浮かんだ島の地図。地図の縮尺はすべて同じで、ページの縦横がおおよそ39kmと27kmになっている。
つまり小さい島は小さく、
もっともっと小さい島はもっともっと小さく描かれてるということです。
『孤独』という名の島、赤ん坊が必ず死んでしまう島、空飛ぶ円盤が撮影された島、総督と家臣の二人が住んでいた島、毎年11月に一億二千万匹ものカニで真っ赤に染まる島、ロビンソン・クルーソーになろうとしてある男が渡った島、水爆実験のため空っぽになってしまった島、ミステリーのように殺人事件がおこったであろう島、金星の日面通過を見るために巨額を投じて観測隊を派遣したが悪天候でどうにもならなかった島、など、孤島たちの奇妙なエピソードそれぞれに特別な意味を見いだせるだろうか。それでも、すべてが間違いなく面白い。


→訳者あとがき の中では、旧東ドイツ出身の著者について書かれている。
著者ユーディット・シャランスキーは作家にしてブックデザイナー。本書の文章はもちろん、地図の製作も、そしてドイツ語版は装幀も、すべて著者の手になる。1980年、旧東ドイツのバルト海に面した港町グライフスヴァルトに生まれた。地図を見るとドイツのいちばん北東のはずれ、ポーランド国境も近い海辺の町である。ベルリンの壁が壊れた1989年秋には、著者は9歳になったところだった。
著者にとって東ドイツは島だったのだと。
この著者は非常に多才で素晴らしいセンスを持った人のようで、
文を書き絵を描き装丁まで手懸けた本が他にもあって
それらのどれもが高い評価を得ているようです。
あと翻訳についても書かれていて、それも興味深く好感が持てる。
著者が地名について領有者の言語で記入し、その言語を統一しなかったこと。
だから訳者も地名を日本語訳しなかったこと、
それは「地図上で征服行為を反復しない」というデリカシーなんですね。
それから日本語では過去形をとったけど原文は現在形であったこと。
ドイツ語は全くわからないけど、最近、ドイツ在住の作家多和田葉子さんの
言語や翻訳に関する本を読んでいたので、どういう感じかわかる気はする。
→トーベ・ヤンソンの8ミリホームビデオを編集したDVDとか、
こういう本とか、そういう独特な美しいものばかり見て生きていたいものだなぁ。。。
旅行ガイドブックを買いに行ったのに、なんとなくそこにあった、
ものすごく実用性のない島の本を買ってしまった。
「奇妙な孤島の物語〜私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島」
でもとても素敵な本なの。「もっとも美しいドイツの本」賞受賞作。
場違いなガイドブックの棚にあった幸運。
年に一冊でもこういう本と出会えたら、その年は幸せな年、という気がする。
まずは、装丁のブルーにやられました。思い切りのいい濃いめの水色。
ティファニーの青より少し濃いかな。とてもきれい。
こちらの→詳しいレビューを読んだら内容はわかるし
すぐにでも欲しくなると思うけど、リンクが切れると残念なので少し抜き書き。
タイトルのとおり、50の孤島が紹介されている。『ドイツのもっとも美しい本』に選ばれただけあって、とても綺麗な本である。しかし、その印刷と造りは極めてシンプルだ。一つの島が見開きで紹介されていて、左側がマリンブルーの海に浮かんだ島の地図。地図の縮尺はすべて同じで、ページの縦横がおおよそ39kmと27kmになっている。
つまり小さい島は小さく、
もっともっと小さい島はもっともっと小さく描かれてるということです。
『孤独』という名の島、赤ん坊が必ず死んでしまう島、空飛ぶ円盤が撮影された島、総督と家臣の二人が住んでいた島、毎年11月に一億二千万匹ものカニで真っ赤に染まる島、ロビンソン・クルーソーになろうとしてある男が渡った島、水爆実験のため空っぽになってしまった島、ミステリーのように殺人事件がおこったであろう島、金星の日面通過を見るために巨額を投じて観測隊を派遣したが悪天候でどうにもならなかった島、など、孤島たちの奇妙なエピソードそれぞれに特別な意味を見いだせるだろうか。それでも、すべてが間違いなく面白い。


→訳者あとがき の中では、旧東ドイツ出身の著者について書かれている。
著者ユーディット・シャランスキーは作家にしてブックデザイナー。本書の文章はもちろん、地図の製作も、そしてドイツ語版は装幀も、すべて著者の手になる。1980年、旧東ドイツのバルト海に面した港町グライフスヴァルトに生まれた。地図を見るとドイツのいちばん北東のはずれ、ポーランド国境も近い海辺の町である。ベルリンの壁が壊れた1989年秋には、著者は9歳になったところだった。
著者にとって東ドイツは島だったのだと。
この著者は非常に多才で素晴らしいセンスを持った人のようで、
文を書き絵を描き装丁まで手懸けた本が他にもあって
それらのどれもが高い評価を得ているようです。
あと翻訳についても書かれていて、それも興味深く好感が持てる。
著者が地名について領有者の言語で記入し、その言語を統一しなかったこと。
だから訳者も地名を日本語訳しなかったこと、
それは「地図上で征服行為を反復しない」というデリカシーなんですね。
それから日本語では過去形をとったけど原文は現在形であったこと。
ドイツ語は全くわからないけど、最近、ドイツ在住の作家多和田葉子さんの
言語や翻訳に関する本を読んでいたので、どういう感じかわかる気はする。
→トーベ・ヤンソンの8ミリホームビデオを編集したDVDとか、
こういう本とか、そういう独特な美しいものばかり見て生きていたいものだなぁ。。。