素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

2011年10月11日 | 日記
 記憶は映像→言葉という順であるという話を以前書いた。「顔は出てくるのだが、名前が思い出せない。」ということは我が家では日常茶飯事である。

 先日、“声”による記憶も映像同様に人間の原初的なものとしてあるのではないかという話が出た。そう言われれば姿がなくても“声”だけで記憶の扉が開きハッとした経験は何度もあったと改めて思い当たった。サスペンスや推理ドラマでも“声の記憶”を巧みに使ったものがあったということも思い出した。

 私自身も声に特徴があるみたいである。悲しいかな“自分の生の声”は自分で聞くことはできない。録音をしても機械を通しての声でリアルタイムのものではない。しかし、物まねをされたり、久しぶりに会う人に“その声や”といわれたりすると印象に残る声なのかなと認めざるを得ない。

 中西龍のことは以前にもふれたが、今“鬼平犯科帳”の再放送にはまっている。昨日の19:00からはBSフジで今日の20:00からはサンテレビで昔のものが放映されている。昨日のナレーターは中西龍であったが今日の分は冒頭は中西龍だが途中は「うん?」と感じた。エンディングで確認すると〈中西龍・能村太郎〉となっていた。「やはりと納得した。」ナレーションこそ声で勝負。“声の記憶”そのものである。中西龍は好きランキングでも1位だが、嫌いランキングでも1位だったそうだ。こういう人はもうあらわれないのではないだろうか。

中西龍と鬼平犯科帳について、「FM長野リスナーである、ラジオネーム:チャート★ドランカーさん」の個人ブログに面白い話があった。

 42年間続いていたSBC(TBS)ナショナル劇場「水戸黄門」が、この秋で打ち切りと決まりました。地上波から時代劇制作の撤退が相次いでいます。「水戸黄門」に関しては、月曜夜の本放送より、平日夕方の再放送の視聴率が高いという逆転現象から、制作能力の低下も指摘されていました。そんな中 30日にNBS(フジ)金曜プレステージ枠で「鬼平犯科帳スペシャル ~ 盗賊婚礼」が放送されました。鬼平犯科帳スペシャルは、2010年6月18日に放送された「高萩の捨五郎」の視聴率が、13・9% 。2011年4月15日放送された「一寸の虫」は14・3%と、高い視聴率をマークし続けています。

 原作者である故・池波正太郎氏の強い指示により、オリジナル小説に基づかない制作をせず、既にレギュラー放送された139本で原作は ほぼ使い切り、現在リメイクでスペシャルが制作されています。平成時代最高の時代劇と評価される「鬼平犯科帳」も歳月を重ね、主役の中村吉右衛門が、遂に歌舞伎俳優として人間国宝(重要無形文化財保持者)の地位まで昇りつめました。味のある老密偵の役である 相模の彦十 役は、三代目江戸家猫八氏から長門裕之氏へバトンタッチしましたが、両名とも故人になってしまいました。またナレーターも、中西龍 元NHKアナウンサーから仁内建之氏へ変わり、そして能村太郎氏が現在担当しています。

 歴代NHKアナウンサーの中で、最も技量が優れたアナウンサーを5人挙げるとすれば、和田信賢・宮田輝・高橋圭三・青木一雄そして中西龍 です。中西龍アナの独特の抑揚とリズムによる朗読能力はアナウンサー随一で、特に長年担当されたNHKラジオ第1放送「ひるのいこい」や「にっぽんのメロディー」は、絶品の味わいがありました。とりわけ勤務シフトから、たまに担当されたラジオ第2放送「気象通報」は圧巻で、無機質とも言える気象データの読み上げに、まるで観測地点の風景が飛び出してくる様な世界観を、ラジオのスピーカーから醸し出しました。NHK退職後フリーとなり、鬼平犯科帳ナレーターを担当中に大病を患い、第6シリーズ辺りでは弱々しい声になってしまったのが大変残念でした。中西龍 元アナがお亡くなりになった後、担当されたのが名声優の仁内建之 氏。とても落ち着きのあるナレーションでしたが、第7~8シリーズを担当されただけで、やはりお亡くなりになってしまったのです。

 フジテレビの鬼平犯科帳シリーズは、23年続いています。この間一貫してプロデュースしてきたのが、能村庸一氏です。フジテレビの時代劇プロデューサーとして、同局の時代劇を数多く企画・制作してきました。鬼平犯科帳シリーズでも、ジプシーキングス「インスピレーション」が流れるスタッフクレジットの冒頭に、企画者として紹介され続けています。実は能村庸一氏は、フジテレビへアナウンサーとして入局しています。同期のアナは露木茂 さんです。能村庸一氏のアナウンス技術は、優れたものがありました。そして仁内建之氏の後を継いだ三代目ナレーターを勤めているのが、その能村庸一氏なのです。プロデューサー自らナレーションを勤めるドラマは、テレビ史上初めての事だと思います。鬼平犯科帳でナレーションを勤める能村太郎氏とは、プロデューサーである能村庸一氏ご本人なのです。


 私の声は大学時代の応援団で鍛えられたことは確かである。人前でしゃべるのを生業とするならばヴォーイストレーニングは必要だと思う。












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