素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

BSプレミアム『猫のしっぽ カエルの手』

2011年10月21日 | 日記
 夜の19時からは、「NHKニュース」→「クローズアップ現代」というのが定番であったが、10月に入ってからはなぜか見る気がなくなり、替わりにBSプレミアム「にっぽん縦断・こころ旅」→「猫のしっぽ カエルの手」を見ることが多くなっている。

 “こころ旅”は視聴者から寄せられた手紙の『こころの風景』を輪行を入れながら自転車で訪ねて行くというもの。春は、京都をスタートして北海道までの旅であった。秋は、兵庫を出発して日本海側を抜けて九州に入り鹿児島までの旅。今日は下関、いよいよ九州に入る。

 『人生を変えた忘れられない場所』『ずっと残したい、ふるさとの風景』『こころに描く行ってみたい場所』『誰かにそっと教えたいこころの風景』などの手紙を番組の最初と最後に旅人の火野正平さんが読むシーンの撮り方が好き。手紙を大事にしているということが伝わってくる。なかなか味わい深い。

 『猫のしっぽ カエルの手』は、変な題名やなということから興味を持った。

“猫のしっぽ”はキャットテール(猫じゃらしのような植物)“カエルの手”は楓の古語だそうだ。自然を愛し、季節に寄り添い、手づくりの暮らしを楽しむ人々のライフスタイルが淡々とした詩的映像で紹介されている。

 先週までは、“京都大原ベニシアの手づくり暮らし”今日からは“イタリアトスカーナの山暮らし”の紹介。

 イギリス貴族の家に生まれたベニシア・スタンリー・スミスさんは15年前から京都大原の築100年の古民家に暮らし、四季折々にハーブを育て、衣食住のあらゆるシーンに活用している。ベニシアさんのハーブとともにある日々をまわりの人々との交流をまじえながら紹介されている。

 番組の中で、一番気に入っている所は、途中でベニシアさんが英語で読む自身のエッセイ(日記?)である。英語が苦手で読み取ることはできないのだが、とっても響きがよい。聞いていて心地がよいのである。

 私の中に唯一残っている心地の良い英語は、高校の授業で習った“The Daffodils”である。内容はおぼろげになってしまったが先生が読むのを聞いていた時の心地よいことばの流れは体の奥に残っている。ベニシアさんの朗読を聞いているとあの時の感覚がよみがえってくる。

 日本語にはない英語の響きのよさを感じる一瞬である。めったにないので毎日楽しんでいた。

“The Daffodils”ちょっとなつかしくなったので探してみた。

The Daffodils
              William Wordsworth

I wander'd lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.

Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,
They stretched in never-ending line
Along the margin of a bay:
Ten thousand saw I at a glance
Tossing their heads in sprightly dance.

The waves beside them danced, but they
Out-did the sparkling waves in glee:
A poet could not be but gay
In such a jocund company!
I gazed - and gazed - but little thought
What wealth the show to me had brought.

For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
And then my heart with pleasure fills
And dances with the daffodils.


水 仙
            ウィリアム・ワーズワース(田部重治訳)

谷また丘のうえ高く漂う雲のごと、
われひとりさ迷い行けば、
折りしも見出でたる一群の
黄金(こがね)色に輝く水仙の花、
湖のほとり、木立の下に、
微風に翻りつつ、はた、踊りつつ。

天の河(あまのがわ)に輝やきまたたく
星のごとくに打ちつづき、
彼らは入江の岸に沿うて、
はてしなき一列となりてのびぬ。
一目にはいる百千(ももち)の花は、
たのしげなる踊りに頭をふる。

ほとりなる波は踊れど、
嬉しさは花こそまされ。
かくも快よき仲間の間には、
詩人(うたびと)の心も自ら浮き立つ。
われ飽かず見入りぬ──されど、
そはわれに富をもたらせしことには気付かざりし。

心うつろに、或いは物思いに沈みて、
われ長椅子に横たわるとき、
独り居(ひとりい)の喜びなる胸の内に、
水仙の花、しばしば、ひらめく。
わが心は喜びに満ちあふれ、
水仙とともに踊る。


 今日からは、8年前からイタリア人の夫アントネッロさんと一人娘のユキちゃんと共に、トスカーナの山で自給自足の理想の暮らしを目指して暮らし始めた奥村千穂さんの家族の物語の紹介なので、ベニシアさんの英語を聞くことができなくてさびしいと思っていたが、同じように奥村さんのイタリア語での日記風エッセイの朗読があった。

 イタリア語はカンツォーネを通してふれた程度で英語以上に聞き取れないが、ベニシアさんの英語とはまた違う味があると感じた。

当分は、19時から20時までを“こころの癒しアワー”としておこう。










コメント (1)
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