とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

あちこち「SYOWA」 297 「おしん」

2018-02-04 23:44:09 | 日記
これをアップしないと私は心残りで前に進めません。社会現象ともなった「おしん」。私は小林綾子は国民栄誉賞に値すると思っています。

MVP Oshin 13 Sub English



『おしん』は、1983年(昭和58年)4月4日から1984年(昭和59年)3月31日まで放送されていた日本のNHK連続テレビ小説第31作。
8月15日から8月20日までの6日間は『もうひとりのおしん』放送につき中断、NHKの連続テレビ小説では『鳩子の海』以来の1年間放送となった。全297話。NHKテレビ放送開始30周年記念作品。

『おしん』誕生

『おしん』誕生の切っ掛けは、「ある明治生まれの女性が、人に言えない過去を病床で綴ったものでした。子守り奉公したり、“女郎屋”に売られたりね」という、1979年に原作者の橋田壽賀子へ寄せられた1通の手紙であった。静岡県榛原郡川根本町出身の丸山静江の半生を、次女の千鶴子が代筆し、橋田壽賀子が「主婦と生活」誌で連載していた「母たちの遺産」に送った事が発端である。その後のドラマ化にあたり、橋田壽賀子やNHK番組関係者から取材を受け、脚本作りに協力した。ドラマでは、丁稚に出る幼いおしんが、最上川を筏で下るシーンが名場面として知られているが、丸山静江も榛原郡金谷に丁稚に出る為、大井川を筏で下って行ったと言う。

主人公のモデルについては、誤報や誤解も多く、「ダイエーの中内功」や「ヤオハンの和田カツ」とする噂話も存在した。
明治世代の人の苦労を伝えるのは、自分達の世代の義務だと感じた。「でもテーマが地味過ぎて、どのテレビ局にも断られました。NHKでも、かなり反対があったんですよ。『明治物は、当たらない』と言われてましたし…。川口幹夫放送総局長(当時)の賛成で、やっと決まったんです」と橋田は述べている。

ドラマ撮影

第7回で、両親が口減らしのため丁稚奉公に出す『おしんを見送る最上川の川下りのシーン』は、貧困による窮乏と悲惨さを象徴し、本ドラマの代表シーンとして、必ず引き合いに出されるほど有名なシーンである。しかし、父の作造が登場する場面は別撮りで、後年になって伊東四朗は、おしんの姿を見ずに演じることが大変であったことを明かした。
なお伊東は、2000年の連続テレビ小説『私の青空』に、ヒロインの父親として登場し、船に乗って旅立つヒロインとその子供を港で見送るという、当作のようなオマージュシーンが存在する。

中村雅俊が演じる脱走兵・俊作がハーモニカで奏でている曲はアイルランド民謡原曲の『庭の千草』という明治時代の小学唱歌で、何度かおしんも吹いている。

物語

1983年(昭和58年)新春、北へ向かう列車の中である老婦人が座っていた。彼女の名は田倉(たのくら)しん。
三重県志摩半島各地に構えるスーパーマーケットの経営者であった彼女は、新店舗開店という記念すべき日に行方を眩ましてしまった。一族が騒然とする中、しんとは血こそ繫がらないものの、孫同然の間柄である大学生・八代圭(やしろ けい)は昔、しんが語ってくれた思い出話を頼りに、山形県の銀山温泉へ、当ても無い捜索の旅に出た。

その地で偶然にしんと出会った圭は、今すぐ三重へ戻るよう説得するも、しんは帰ろうとせず、山形の山奥にある廃村に行こうとしており、話を聞かない。だが圭はしんの願いを叶えてあげたいという気持ちになり、彼女をおぶって雪深い山道を進み、廃村へと辿り着いた。そこがしんの故郷であり、雪の中で廃屋となっていた我が家を見た、しんの眼に涙が浮かんでいた。
そうして、しんは圭にこの家出が80年以上の人生で自分は一体何を得て、何を失ってしまったか。また、自分のことだけしか考えない経営方針に突き進む息子・仁(ひとし)を、何処でそういう息子にしてしまったのか、を振り返るための旅だと打ち明けた。

少女編(第1回〜第36回)

物語は1907年(明治40年)の春、明治も終わりにさしかかった山形の貧しい農村で生きるおしんの少女時代から始まる。
数え年で7歳になるおしんは、4月から小学校へ通うのを楽しみにしていた。しかし母・ふじの懐妊により、おしんは口減らしのため子守りの年季奉公へ出されることになる。

奉公先の中村材木店で、初めて経験することばかりに戸惑いつらい思いをしながらも、おしんは半年以上も懸命に励んでいた。しかし根雪の積もる頃、あらぬ疑いをかけられたことで遂に耐え兼ね、おしんは奉公先から逃げ出してしまう。吹雪の中を行き倒れていたところを、おしんは俊作と言う青年に助けられ、彼から読み書きや算数、与謝野晶子の詩などを教わりながら、雪解けの時期を待つ。やがて雪が解け、実家へ戻るため下山したおしんと俊作だったが、憲兵に見つかった俊作は、脱走兵としておしんの目前で射殺される。

おしんは無事実家へ戻ったが、奉公先を逃げ出したことと脱走兵と暮らしていたことが噂となり、次の奉公先はなかなか見つからなかった。そこで今度は、生まれて間もない末妹が養女に出されたうえ、母・ふじが銀山温泉へ酌婦として働きに出ることになる。
それから間もなく、おしんに新たな子守り奉公の話が舞い込んできた。奉公先は酒田でも知られた米問屋「加賀屋」。裕福な加賀屋での奉公は、おしんにとって贅沢ですらあり、おしんは誰にも頼らず生きていくため商売人を目指すべきと秘かに心を決める。また加賀屋にはおしんと同い年の跡取り娘・加代がおり、最初は彼女を溺愛する両親と共に折り合いの悪かったものの、加賀屋の大奥様で加代の祖母・くにに見込まれたこともあり、様々な出来事を通しておしんは加賀屋で家族同然の大事な存在として扱われるようになる。

青春編(第37回〜第86回)

時は1916年(大正5年)、おしんが加賀屋へ奉公に来て7年の歳月が過ぎた。おしんはわずか16歳で女中頭となっており、そろそろ年頃と言うことで縁談が持ち込まれていた。同じ頃、おしんは警察に追われる青年・高倉浩太を助け、想いを寄せ合うようになる。しかし同じく浩太を慕う加賀屋の娘・加代は、おしんの見合い話を浩太に教え、二人で東京へと駆け落ちする。跡取り娘である加代の駆け落ちと、縁談の相手を手ひどく扱ったことから、おしんは加賀屋から暇を出され、帰郷する。

実家へ戻ったおしんを待っていたのは、奉公先の製糸工場で肺結核を患い死の床に伏した姉・はるだった。おしんに髪結いの夢を託し、はるは19歳で息を引き取る。おしんは意を決して上京し、浅草の女髪結い・たかに弟子入り、女性が独り立ちできる数少ない職業である髪結いとして修業を重ね、次第に周囲から認められていく。

試練編(第87回〜第136回)

たかの店に来ても、下働きが続いていた。世の中は、洋髪が流行ってきていた。そんな時、たかの店に、神田のカフェの染子が訪れ、たかはおしんに髪をさせた。染子は、最初激怒するが、おしんの洋髪が気に入り、たかはおしんを出髪専門として、洋髪を始める。
そんな中、別のカフェに出髪に行った際に嫌がらせをされた。その時、居合わせたのが後に夫となる田倉竜三である。また、山形を出奔していた加代と再会する。加代は妹の小夜の死を知らなかった。しかし、おしんの説得により加代は山形に帰る。

竜三は自分が染子を介して、おしんに出髪を依頼したせいで迷惑をかけたとして、何かと世話をやくようになる。過労で倒れた時には、親身におしんを看病し、遂にはおしんと結婚をする。おしんは羅紗問屋に住むようになるが、源右衛門(源じい)は、おしんを理解していなかった。しかし、次第におしんが身につけている礼儀作法や人柄に感服し、竜三の父大五郎に二人の結婚を認めるよう執り成す。 不況のおりおしんは、露店で不良在庫と化した羅紗(洋服の生地)を売るが、若い衆から嫌がらせを受ける。次の日、落とした財布を届けたのが、的屋の元締めの健であった。

田倉商会は、羅紗問屋から、子供服を手がけ、百貨店に販路を広げていき、工場を拡張し、縫い子も雇っていくほどの、手広い事業を行っていた。大正12年1月。長男の雄が産まれた。そして、工場を新築し、祝宴を開いたのが、1923年(大正12年)9月1日であった。関東大震災により、工場は全壊し、自宅も全壊していた。源右衛門と雄は、建物の下敷きになっていたが、源右衛門は雄を庇い、死んでいた。竜三とおしんは、竜三の田舎、佐賀へ戻った。

しかし、姑の清は、おしんに対して、冷たい態度で接していた。田倉の小作の佐和とは、おしんは仲良くなり、一緒に逃げようとするが、佐和が竜三に話してしまい、頓挫してしまい、その時、転倒しおしんは大怪我を負ってしまい、右手が不自由になってしまう。
竜三の妹の篤子が、出産で里帰りをしてきた。おしんも妊娠をしていたが、誰にも祝ってもらうことは出来なかった。そして、篤子の出産の日、竜三は嵐の中、産婆を呼びに行き、夜明けに道端で倒れているおしんを発見する。しかし、子供は死産していた。

自立編(第137回〜第185回)

おしんは、佐賀県にいることに耐えきれず、田倉を出る。しかし、清は、長男の雄を手放さなかったが、長男の嫁の恒子が、清の目を盗んで、雄を連れおしんに手渡す。おしんは、東京の髪結いのたかの家に身を寄せる。健が、大判焼きの屋台を出すように進め、おしんも商売を始めるが、健の女房に、誤解をされてしまい、商売をやめ、山形に帰る。山形でも、おしんを庇う、母ふじと兄の庄司が揉める日々であった。

そんな中、加賀屋のくにが倒れたと聞き、酒田に出かける。くにも亡くなる。大正14年夏。加代がおしんに飯屋を始めるように進め、開店をする。しかし、加代は加賀屋よりも、おしんを手伝い、両親である清太郎とみのは夫婦仲を心配する。
おしんは、加代のために商売を辞める決心をし、浩太の紹介で、伊勢の神山ひさの所へ、雄と旅立つ。おひさの元で、世話になり、おしんは魚の行商を始める。
一方、佐賀では台風により、竜三の干拓事業は失敗に終わり、満州へ旅立つことを決意し、最後の別れと、伊勢に訪れる。しかし、おしんと魚屋をやる決心をし、二人で店を始める

昭和4年には、雄の小学校入学の際に、山形からふじを呼び寄せる。おしんは妊娠しており、10月には次男の仁が産まれる。しかし、ふじは白血病になってしまう。故郷で死にたいという、ふじの願いでおしんは山形までおぶって連れていった。ふじは雪を見ながら亡くなる。

健が突然やってきて、山形出身の女の子、初子を連れて来た。大阪へ奉公に出すつもりだったが、おしんは、自分の奉公時代を見ているようでもあったし、死産した愛の代わりと思い、引き取ることにした。加賀屋が倒産したとおしんは聞く。浩太がやってきて、加代を助けて欲しいと、100円を差し出す。

おしんは東京に行き、たかの店に寄り、健と加代がいる、場所に行くが、そこは女郎部屋でも、抜け出せない地獄であった。借金も多く、思案をしていた中、再度、尋ねると加代は急死していた。おしんは、清太郎・みの・加代の骨壺と、加代の忘れ形見の「希望(のぞみ)」を連れ、伊勢に帰る。

太平洋戦争編(第186回〜第225回)

竜三は、次兄の亀治郎の紹介で、大日本帝国陸軍に、魚を入れる商売を始める。店の経営より、そちらに熱心になり、おしんは最初は反対をする。しかし、家族を守るためと言うことで、賛成するようになる。
雄は、中学生になっており、最初、陸軍士官学校を志望するが、初子より、おしんの悲しい思いを聞き、断念する。昭和11年には、禎(てい)が産まれる。雄は京都の第三高等学校に入学し、下宿を始める。戦局が厳しくなってきていたが、竜三は魚類の加工工場や縫製工場を始め、手広く商売をしていた。

雄は、京都帝国大学の学生になっていたが、文化系の学生も猶予が解け、招集される。次男の仁も、内緒で少年航空兵に志願して、家を出てしまう。空襲に出会うが、おしんは、初子と希望で、なんとか家を守る。雄の死亡通知が来たが、おしんは信じなかった。
8月15日終戦の日、竜三は家出をする。山中で自決をしていた。仁も無事に戻り、禎も戻ってくる。家は、元の持ち主が外地より戻ってきて、おしん一家は、片隅に追いやられてしまう。雄と兵隊で同期の川村が復員してきて、雄の形見の日記をおしんに差し出し、おしんと初子は、雄の死を確信する。そして、初子は、絶望して家出をしてしまう。網元のひさも、戻ってきて、おしん一家は、ひさの家に厄介になることになる。

再起編(第226回〜第261回)

おしんは担ぎ屋から始めて、昭和25年に、店を開店する。オート三輪での行商は続けていた。初子が、東京にいることがわかり、おしんは探しに行く。健によって、米軍キャンプで娼婦をしていたのだ。
おしんと伊勢に帰ってくる。希望が、窯元に弟子入りをし、家を出る。仁も魚屋に見切りをつけ、東京の百貨店に就職する。しかし、仁は学歴のなさから、失意の上戻ってくる。そんな時、川村が現れ、おしんに駅前の土地を譲渡する。仁は、店の従業員の百合と付き合いながら、知り合った、道子と結婚すると宣言した。おしんは激怒した。百合は家出をし、希望の窯元で、働くようになる。道子の父、川部が資金提供するのを、おしんは断り、浩太を保証人とし、自力でセルフサービスのスーパーを始める。道子との同居では、おしんと何度も衝突をしていた。禎は、従業員の辰則と大学を中退し、結婚をする。

完結編(第262回〜第297回)

昭和43年。たのくらスーパーは販路を広げていた。希望も、作品が入賞し、おしんは窯元から独立をさせる。新しい家の引っ越しの前夜、希望の妻、百合が交通事故で急死する。おしんと初子は、残された圭の面倒をみる。仁の長男、剛が非行に走り、その件で、仁夫婦は、おしんとの同居を考える。おしんは、初子を独立させ、毛糸手芸店を持たせる。裏には、仁の初子に対しての、深い思いがあった。
仁は初子が戦後、身を売って送金をしていたことを知っていたのだった。おしんはそのことに涙する。仁夫婦は新しい家を建て、おしんと同居を始める。

昭和57年、たのくらスーパーは16号店まで、店を増やしていた。おしんの81歳の誕生日の日に、仁は。17号店の出店を発表する。しかし、おしんは反対する。浩太の食料品店が影響を受けるからである。しかし、仁は聞く耳を持たず、出店を進めてしまう。そして、開店の日、おしんは、出奔する。山形、酒田、東京、佐賀と圭と周り、旅から戻ってくる。

浩太は、自分の土地を、大手スーパーに売っていなかったが、おしんはスーパー田倉が倒産しても構わないと達観しており、浩太は土地を売却する。大手スーパーが出店し、田倉スーパーは苦境に立たされる。仁は道子と離婚を決意していたが、おしんに窘められ、道子と話す。道子も苦境をお互いに乗り越える決意になり、おしんは安心する。家も抵当に入っており、引っ越しの当日、浩太が現れる。
仁に、大手スーパーが、17号店を肩代わり(買収)すると進言し、仁は受け入れる。田倉スーパーは負債を抱えることもなく、残った16号店だけで、商売を進めていくことになる。最後は、おしん、仁、初子、禎に希望と圭の墓参りのシーンで終わり、おしんと浩太の海岸シーンで最終カットになる。

キャスト

主人公

オープニングの登場者名としては名字はなく全放送を通して、そのまま、「おしん」と画面に表示される。
谷村 しん(少女期) / 演 - 小林綾子
第1部ヒロイン。
1901年(明治34年)生とされている。利発で心の優しい少女。家の貧しさと口減らしのため7歳で奉公に出される。
しかし奉公先の厳しさに耐えかね、抜け出し遭難しかけた所を脱走兵・俊作に助けてもらい様々なことを教わる。
その後、酒田の米問屋「加賀屋」に奉公に出ることになり、当家の跡取り娘・八代加代のかけがえの無い友情と、大奥様・くにの教えを一身に受け、立派に成長していく。

谷村 しん→田倉 しん(青春〜成年期) / 演 - 田中裕子
第2部ヒロイン。
16歳になったおしんは、くにの薦めで結婚することとなったが、農業運動を指導する浩太と出会い、一目惚れする。
そして、縁談は相手への強い嫌悪によって破談し、責任を感じたおしんは加賀屋を出ることになってしまった。家に戻ったおしんは、死んだ姉・はるの夢であった髪結いの見習いとなるため上京し「長谷川」の女主人・たかの下で、洋髪を主とした天才的な髪結いとして活躍することとなる。
そして、ふとしたきっかけで羅紗問屋「田倉商店」の主人・田倉竜三と出会い、親の反対を押し切って結婚。商売にも類稀な才能を発揮し、子供服の製造業で工場を構えるまでになったが、関東大震災で全てを失う。
後に竜三の故郷佐賀に移るが、姑の清の辛い仕打ちを受け、遂には死産を経験してしまう。心身ともに疲れ、耐えかねたおしんは佐賀を出る決心をし、雄を連れながらも持ち前の度胸と順応の速さにより新しく仕事を覚えては、その土地ごとで生活するようになる。
東京で露店商、酒田では食堂兼飲み屋、そして浩太の紹介で三重で魚の行商をはじめることになる。

田倉 しん(中年〜老年期) / 演 - 乙羽信子
第3部ヒロイン。
戦争で夫・竜三と長男・雄やすべての財産を失うが、魚の行商で一からやり直す。
次男の仁ら残された家族の支えもあり再び自分の店を構えるまでに立ち直るが、商売のことや子供たちの結婚など苦労は絶えず、子供たちを諭そうとしても「もう時代が変わったのだ」と言いくるめられてしまうこともしばしば。
自らの商売方針を堅持していたが、仁が持ち込んできた新しい商売をめぐり、大きな決断を下す…。
第1部・第2部は、老境に差し掛かったおしんがそれまでの半生を振り返り、義理の孫となる圭とともに思い出の土地を巡る旅をしつつ、圭に当時の出来事を語り次ぐという形式で描かれており、ストーリー全体の狂言回しの役割も果たしている。

谷村家

谷村 ふじ / 演 - 泉ピン子
おしんの母。貧しい小作人農家に嫁いできた働き者の嫁。普段は家の炊事洗濯から朝から夕方まで田畑を耕す小作人の仕事をしていた。
それ以外にも銀山温泉で出稼ぎをすることもあった[注 1]。何かとおしんを気にかけ家族想いな性格で、何度かおしんが住む場所を訪ねてはおしんの支えになった。
現代のパートにおいておしんの部屋に置かれている古いこけしは、おしんが酒田の加賀屋に奉公する前に銀山のふじの宿に訪れて去る際に、母から買ってもらえた大事な物である。

谷村 作造(さくぞう) / 演 - 伊東四朗
おしんの父。貧しい小作人農家で働き者。厳しい性格だが、貧しい大家族を養うために辛い気持ちを人前では見せない。
しかし、7歳のおしんを奉公に出す際は川岸でおしんが乗る船を心配のあまり追いかけていくなど、根は悪い人ではない[注 2]。おしんの結婚祝いの杯を交わしたその夜、肝硬変で死去。

谷村 なか / 演 - 大路三千緒
おしんの祖母。働き者だったが、おしんが物心つく頃にはリウマチにかかっており、かろうじて子守りやご飯の支度ができる程度の体になっていた。
初めての奉公へと旅立つおしんに50銭銀貨を与えるなど、孫の事をいつも気遣っていた、心優しい老女。
故におしんも家を思うたびに祖母の事を気遣っていたが、加賀屋での奉公が順調に向かっていた頃に危篤に陥り、急遽帰郷できたおしんと再会してこの世を去った。
祖母の辛い生き様は小作ではなく商売人として生きてきたいというおしんの人生行路を築かせたが、孫を大切に思う気持ちは圭に対して同様なもので、祖母の心を継承したと言える。

谷村 庄治(しょうじ) / 演 - 佐野大輔→吉岡祐一
おしんの兄。成人してからは父譲りの粗暴な面を見せるが、小作の長男として生まれてきたことを憾んでいる。
おしんが圭と一緒に実家の墓参りをする時の会話から、現在は亡くなっていることがわかる。

谷村 とら / 演 - 渡辺えり子(現:渡辺えり)
庄治の妻。庄司と自分の子供たちとは普通の妻、母親として接するが姑のふじや時折実家に帰ってくるおしんのことは、口やかましいと思っており冷たい態度を取る。
昭和43年、突如として伊勢のおしんの元に家出して来る。理由は嫁と息子から邪険にされたことであった。しばらく滞在した後、迎えに来た庄治とともに帰って行った。

谷村 はる / 演 - 仙道敦子→千野弘美
おしんの姉。貧しい家の家計を少しでも支えようと若い時から製糸工場で働くが、過酷な労働環境により肺結核で死亡。髪結になる夢をおしんに託す。享年19。

谷村 みつ / 演 - 長谷川真由美→古坂るみ子
おしんの姉

谷村 正助 / 演 - 住吉真沙樹→小林徹也
おしんの弟

谷村 こう / 演 - 片桐尚美→鍵本景子
おしんの妹

谷村 すみ / 演 - 柳美帆
おしんの妹で谷村家の末娘。おしんが奉公に出る切っ掛けとなった。その後貧しさのため母ふじが銀山温泉へ働きに出ることになり、養育出来なくなり乳飲み子のうちに他家へ貰われていった。

田倉家(佐賀)

おしんの夫と義理の家族。

田倉 竜三(りゅうぞう) / 演 - 並樹史朗
おしんの夫。明治28年(1895年)生まれ。佐賀の旧家の三男。跡継ぎではないため独立し、東京で羅紗問屋を開業していた。
髪結いのおしんの評判を聞きつけ、つきあいのあるカフェの女給のために彼女を呼び寄せたのがきっかけでおしんと知り合った。加代とも面識があり、帰郷した加代との連絡を取り持つうちにおしんに興味を抱き、やがて結婚に至る。
苦労しらずのお坊ちゃんだが、おしんや育ての親である源右衛門のことを誰よりも大切に思っている。
また、おしんが髪結いや商売を営むことに反対しがちだが、次第にその力を認め、共に事業の拡大に全力を注ぐ。
しかし関東大震災により事業財産の全てを失ってしまい、おしんと長男の雄を連れ佐賀の実家に戻る。
おしんが雄を連れて佐賀を離れた後も親子3人で暮らすため干拓事業に精を出していたが事業は台風によって失敗し、今度は満州開拓に乗り出そうとするが、別れのために訪れた伊勢で魚の行商をしていたおしんと再会。
夫婦共に伊勢で働くことを決心し、店を構え一家を養えるまでになる。戦時下には軍の仕事を引き受け羽振りが良く、戦争を嫌うおしんに対し積極的に戦争協力を行う。敗戦後、己のしてきたことを悔やみ、おしんと家族の事を思いながらも自決する。

田倉 清(きよ) / 演 - 高森和子
おしんの姑。神経質かつ昔気質の性格で、小作の娘ということからおしんと竜三の結婚に反対しており、佐賀ではおしんに辛く当たる。
働き者のおしんに対し、「家のことは、恒子(長兄の嫁)の仕事だから」と言い、髪結いをしたことがあったが「田倉家の恥だ!」として辞めさせ、おしんを嫁として認めなかった。
それでも、おしんが死産した時はさすがにやりすぎたと反省し、一時的に和解するがおしんの家出で破綻。おしんからの手紙も破り捨て竜三たちにも見せなかった[注 3]。
だが竜三が伊勢でおしんと共に魚の行商をし始めたころから、息子がいかにおしんを妻として慕っているかを考えて、その仲を認めるようになる。
竜三の死後に伊勢のおしんを訪ね、再び和解する。そして、竜三の骨の一部を持って佐賀に帰っていった。
田倉 大五郎(だいごろう) / 演 - 北村和夫(当初の予定では、佐藤英夫)
おしんの舅。源右衛門とは共に育った間で、その源右衛門のとりなしもあって結婚には賛成していた。おしんに辛く当たる清をたびたび宥める。
なお、おしんが初子を迎えに東京を訪ねて来た頃には大五郎も清も既にこの世の人ではないことが、たか、健とおしんの会話で分かる。

田倉 福太郎(ふくたろう) / 演 - 北村総一朗
竜三の長兄。家庭内の揉め事には「見ざる、言わざる、聞かざる」の態度を取る、いわゆる事なかれ主義者。

田倉 恒子(つねこ) / 演 - 観世葉子
福太郎の妻。長兄の嫁と言えども清の厳しい態度の下、何年も田倉家で身を粉にして働いて耐えてきた。
初めはおしんを厄介者と扱うような態度をみせていたが、同じ嫁としての立場からおしんに共感。おしんを陰ながら支援するようになり、おしんのために産着を用意した他、おしんが佐賀を出る時は見舞いに出た清の隙をついて雄を連れ出し、おしんに引き渡した。また清が破り捨てていたおしんからの手紙を拾い集めて裏張りし、後に竜三に渡したりもしている。

佐太郎 / 演 - 木内聡、千代 / 演 - 藤田亜里早、千賀 / 演 - 金子成美、平吉 / 演 - 服部賢悟→四元りょう
福太郎、恒子夫妻の子ら。
なお佐太郎は現代のパートにも登場しており(老年期の配役は平島武広)、おしんに再会するも「見た事がある」と言うだけでほとんど忘れていた。
おしんも当時の辛い状況を考えて、話し合おうとはしなかった。
また、佐賀でお墓参りをするおしんと圭の会話から前述の清と大五郎の他に福太郎と恒子も現在は既に鬼籍に入っていることがわかる。

田倉 亀次郎(かめじろう) / 演 - 成瀬正
竜三の次兄。陸軍中佐。妻(ひろ子)と子もあるが登場はしていない。
伊勢で竜三に軍に魚を収める仕事を紹介し、雄には陸軍士官学校進学を勧める。

山根(田倉) 篤子(やまね(たのくら)あつこ) / 演 - 長谷直美
竜三の妹。おしんが田倉家に来る前に嫁に行っており、時々田倉家に戻っては清から手厚いもてなしを受けていた。おしんと同時期に妊娠し、彼女が田倉家で出産する事になったのも、おしんが長女の愛を死産する要因となった。その後、清はおしんの償い、篤子生まれの娘命名は「愛」。

今村 源右衛門(いまむら げんえもん) / 演 - 今福将雄
竜三の家の手伝い。元々は田倉の本家に仕えていたが、竜三のお目付け役として上京。
当初は貧しい小作人の娘ということで、田倉商店に転がり込んだおしんのことを快く思っていなかった。
だが家事全般はもちろん、読み書きやそろばん、お茶・生け花などが出来る事を知り、気立てと威勢の良さから次第に彼女を認め、大五郎に竜三とおしんの結婚に太鼓判を押すほどになる。
田倉商会の工場落慶の際は商会本店で雄の世話をしていたが、関東大震災が発生すると本店の家屋が崩落。崩れてきた柱から雄を庇い、死亡した。

つぎ / 演 - 有明祥子
田倉家(佐賀)の奉公人。(Wikiより)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。