とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

22  根の精霊

2015-04-24 22:40:57 | 日記


 地球死上で、もっとも理想的な生き物は植物だと言われています。人は植物を原料や材料として利用したり、観賞するなど文化や心の豊かさのためにも用いています。人間以外にも巣などを作る材料として植物を利用している生物がいますが、人間の植物の利用の仕方の方がはるかに多様です。また、農業の分野で、茎葉部について理想的草型という概念は進んでいますが、根についての研究は遅れています。・・・おいおい、オマエは何を言い出すんだ。ワタシハブンレツシツツアルカモシレマセン。分裂 ?? 止めてくれ。もっともっと次元の高いことを言いたいのだ。

 「花りんの樹の幹を見ていて、私は、女性ということを忘れて、逞しくなった !! と思ったよ。病弱だったということその負の反動が出てきたのだ。負と負の積は正。そのエネルギーは最大限。だから、私に根をプレゼント出来た。ありがと。私は、徐々に樹になりつつある。そして、そのエネルギーが他の電信柱に伝播している。・・・すべての電信柱に根が生える。いや、そう簡単にはいかないだろうが、電線を通してすごい波動が伝わってくる。嬉しい。過去世では感じられなかった感覚だ。根が伸びつつある。伸びつつある。花りんの根の感覚と共有している。ということは生きものになりつつあるということか」




「おお、花りん、お前の姿がすっかり見えるようになった。樹の精になった。立派な姿だ。炎の洗礼を受けて、また、素晴らしく転生したのだ」

「お父さん。ここで、ここで、根を張り、根を張りして、今までの分を取り返していくみたい。霊の世界は私に大きな力をくれました」

「そうだ。花咲く樹だ。いずれたくさん花が咲く。花でみんなに今度は幸せをプレゼントしてくれ。私にだけではなく」

「いずれ、お父さんの樹にも花が咲きます、きっと」

「ははっ、花か、・・・私には要らない。根だけで十分だ」

「いや、私が咲かせます」

「はははっ、私に花は似合わない」


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