とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

生きる道

2013-03-14 00:26:12 | 日記
生きる道



 「輪転」青木 繁(1903年 石橋財団石橋美術館)


 治子と話したことが気がかりで、私なりに千恵子の生き方を考えました。三朗君と一緒に仕事をする道はないか。しかもスポーツで身につけた特技を生かして。私はこういう点
からいろいろと考えました。そこで思いついた仕事が俳優の体力づくりを担当するという分野でした。舞台に立って演技を続けるにはそれ相当の体力を養っておかねばならないと思ったからです。劇団には不可欠です。そこで、千恵子に連絡してみました。最初は気乗りがしないようでしたが、スポーツを裏方と結びつけた考えに関心を示したので、私はすぐに湖笛の松江監督に電話で連絡しました。すると、自分もそういうことを考えていたのでぜひお願いしたいという返事をいただきました。

 
 畝本さん、喜多川さんもそういう体力づくりに力をいれていらっしゃいます。私たちの劇団でも我流の体力づくりをしていたのではいけないなと思っていました。

 そうですか。千恵子もいろいろなことがありましたが、これからこういう仕事が出来ると前向きになってくれると思います。

 お父さん、あ、ご免なさい、畝本さん、治子さんも相当心配なさっていましたので、事情はよく分かっています。

 子どもがいますので、お手伝い出来る時間は限られると思いますが、負けん気が強い娘ですので、頑張ってくれると思います。

 基礎的なことを教えていただければ、団員は自分でやってくれると思います。ただ、私たちの劇団にはトレーニングの用具がありませんので、その点は工夫が必要かと思います。

 そのことは千恵子も分かっていると思います。

 ああ、ちょうど郁子さんが来ましたので、代わります。

 郁子です。治子さんから伺っていました。大変ですが、千恵子さんのキャリアがどうしても必要です。どうかよろしくお願いいたします。

 貴方にそう仰っていただくと嬉しいです。

 喜多川さんが近いうちに来られますので、そのときに詳細な打ち合わせをしていただきます。

 喜多川さん直々ですか。千恵子も喜ぶと思います。・・・どうか、どうか、よろしくお願いいたします。

 承知しました。期待しています。
 

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