とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

お父さんの死

2013-02-11 22:48:01 | 日記
お父さんの死




絹本著色仏涅槃図(Color on silk. Located at Kongōbu-ji, Mt. Kōya, Wakayama, Japan)(Wiki)

 ご縁市場の中に私の子ども教室もしっかり根を下ろしたい。ある日の朝、そんな計画を妻と話していました。絵の方では娘の治子を工作は京子さんのお父さんを・・・などと話していました。先ずお父さんに電話してお願いしておこうと思って、冴子さんの家に電話しました。ところが、大変な事態になっていました。

 ああ、冴子さん、どうも、例の子ども教室の講師のことだけれど・・・。

 あっ、畝本さん、大変なの。主人が急に倒れてしまって、今、佐山先生に診てもらっているところ・・・。

 えっ、ど、どうなさったんですか。

 今朝起きたとき、頭痛がすると言って頭を抱えて転んだんです。すぐに佐山先生に連絡して来て貰いましたが、どうも脳出血で入院しなければいけないそうで、救急車を呼んだところです。

 そりゃ大変だ。私もすぐ行きますから・・・。

 いや、結構です。すぐ病院に行きますので。

 病院はどこですか。

 県立です。

 中央病院ですね。

 そうです。

 じゃ、そちらの方へすぐ行きますから。

 いやいや、結構です。今、京子さんに連絡したところです。

 じゃ、後程。・・・そう言って電話を切ったものの、私は動揺して何もできないような状態でした。妻に事情を告げると、も少し落ち着いてからにしたら、と言いました。私は家の中をうろうろ歩き回っていました。それから2時間くらい立ったころ、冴子さんから電話がありました。

 具合はどうですか。

 ・・・だめでした。あまり急なことだったので・・・。

 京子さんやお母さんは・・・。

 二人とも間に合いました。・・・それだけが・・・。

 ああ、死に目会われたんですね。

 ええ。

 そうですか。それはよかった。私はそのことを聞いて多少は落ち着きました。しかし、突然の出来事をどう頭の中で整理していいか分からなくなりました。自分は今何をしたらいいのか、いや、何をしなければならないのか・・・。

 東北関東大震災 緊急支援クリック募金←クリック募金にご協力ください。