医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

子宮頚ガン予防のワクチン

2008年11月24日 | 感染症
この秋、4人の日本人がノーベル賞を受賞し話題となりましたが、その影で医学の分野で画期的な功績が認められたことには関心が集まりませんでした。

ドイツ人ウイルス学者が子宮頚ガンを引き起こすヒトパピローマウイルスを発見したことにノーベル生理医学賞が与えられたことです。かなり前にこのブログでもお伝えしましたように、ヒトパピローマウイルスのワクチンは子宮頚ガンの発症を7割抑制することができます。


子宮頚ガンは日本では毎年7,000人が罹患し2,500人が命を落としています。しかし、このワクチンは現在世界108の国や地域で普及していますが、日本ではいまだにグラクソ・スミスクラインと万有製薬が承認申請中という段階です。

日本で未だに予防接種が徹底されない現状に対して世界中から「ワクチン後進国」と批判されています。

日本でワクチンが普及しない理由の一つに、「副反応の可能性に過剰に反応するマスコミや国民の性質」があると思います。

以前お伝えしたインフルエンザワクチンでの事象以外にも、2005年に日本脳炎の定期接種を受けた中学生が200万回に1回程度の確率でおきる副反応で寝たきりの状態になったことで、マスコミが過剰反応し厚労省が接種を中止せざるをえなくなり、この間に日本脳炎の予防接種を受け損ねた3~4歳児の約9割が免疫を持っておらず、2006年にはついに3歳児が日本脳炎を発症しました。

同様の理由で麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎、風疹ワクチンが1993年に中止されたため、2007年に若者の間で麻疹が大流行し、大学さえも含めた多くの学校が休校に追い込まれたことは記憶に新しいと思います。

経済学の世界では、個々の局面では正しいことであっても全体としては悪い結果を生むことを合成の誤謬(ごびゅう)」といいます。医学の分野でも同様のことは多く発生します。

私たちは、自分たちに不利益なことがあればまず医療側の責任の追求から始めるというマスコミが煽っている風潮を改め、統計学をしっかりと理解し、「ワクチンの副反応リスクより、ワクチンを受けないために病気にかかり後遺症が残るリスクが高い」ことを学び、ワクチンに対する認識を変えるべきだと思います。

子宮頚ガン予防のワクチンは、やっと年末か年始ごろに市場に出回る予定です。



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2 コメント

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日本脳炎予防接種 (杉原)
2008-11-26 18:51:12
はじめまして。
3年前の日本脳炎予防接種実質中止のきっかけとなりました山梨の娘の父親です。
娘の事例を3月より下記日記に綴っています。
よろしければご覧下さい。
不快に思われましたらお許し下さい。
http://www.kangaeroo.net/D-user-F-diary-uid-G9-unixtime-1220108400.html
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コメントありがとうございました (secondopinion)
2008-11-26 23:25:23
不快に思うことなど、とんでもでもありません.
貴重なコメントありがとうございました.
これこそが「合成の誤謬」.
日本脳炎のワクチンがないと、日本脳炎によるこういう事がこれ以上に起きてしまいます.
どうすることもできない無力さを感じると同時に、総論と各論を同時に論じることの難しさを切に感じます.
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