医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

唾液PCR法の感度は60%以下と低く、「ワクチン/検査パッケージ」には推奨できない

2021年10月10日 | 感染症
上の図で、青は症状ありの患者、水色は症状なしの患者、縦軸は「鼻咽頭PCR法での陽性」を基準とした「唾液PCR法」の感度、横軸は発症からの日数です。


最近、「ワクチン/検査パッケージ」と称して、「ワクチン接種 and/or 検査陰性」でスポーツ観戦や飲食店の利用拡大をはかる計画が進められています。
「ワクチン/検査パッケージ」技術実証の実施について - 埼玉県
W杯最終予選でも…スポーツ観戦の実証実験『ワクチン・検査パッケージ』


しかしながら今年8月、以下のようなデータが信頼性の高い医学雑誌「JAMA」で公表されています。

新型コロナの唾液PCR法、無症候者へは推奨できない
Change in Saliva RT-PCR Sensitivity Over the Course of SARS-CoV-2 Infection
JAMA. 2021 09 21;326(11);1065-1067.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★☆)


新型コロナウイルス検出のための唾液を用いたPCR法(以下、唾液PCR法)の精度を調査するため、2020年6月17日~2021年2月15日の期間に前向き研究が実施されました。

参加者は、2週間以内にRT-PCR法で新型コロナウイルス陽性と判定された家族と、濃厚接触した人の404人です。

鼻咽頭粘液サンプルと唾液サンプルは3〜7日ごとに、鼻咽頭の2回の結果が陰性になるまで最大4週間にわたって収集されました。889組の鼻咽頭粘液サンプルと唾液サンプルが採取されました。新型コロナウイルスは鼻咽頭で524件(58.9%)、唾液で318件(35.7%)検出されました。93人(36.3%)は感染期間中、無症候のままでした。

「唾液PCR法」の精度は「鼻咽頭PCR法での陽性」を基準として計算されました。

その結果、唾液PCR法は感染初期の数週間に有症状の人の新型コロナウイルスを検出するには感度が高かったものの、無症候性の新型コロナウイルスキャリアの感度はすべての時点で60%未満でした。

「無症候性感染者の唾液PCR法の感度は低く、無症候感染者には唾液PCR法を新型コロナのスクリーニングに使用すべきではない」と結論付けられました。

4割以上も結果が間違ってしまう「唾液」PCR法を、スポーツ観戦や飲食店の利用拡大をはかる計画に使用してはいけませんね。
やはり綿棒で鼻の奥をコチョコチョする「鼻咽頭PCR法」でないと意味がなく、「ワクチン/検査パッケージ」を唾液でやるとやばいことになると思います。



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