前回、狭心症の際に行われるステント留置は風船治療の欠点である40%の再狭窄率を22%まで減少させた事を取り上げました。今回はさらに新しいタイプのステントの話です。
冠動脈という心臓の動脈が風船治療やステント留置のあとに再狭窄するのは、それらの刺激が血管壁を構成する細胞を刺激して増殖を促すからで、その増殖を抑制する薬剤をステントに吸着させ局所に吸収させれば再狭窄が減るのではないかという発想が生まれました。
薬剤にはパクリタクセルという抗ガン剤と、シロリムスという抗生剤かつ免疫抑制剤が選ばれました。それらの薬剤を吸着させたステントは再狭窄率を減少させたかというNew England Journal of Medicine. 2005:353:653.から報告です。(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★☆)
対象はパクリタクセルステントとシロリムスステント留置をうけた1,012人の患者のうち、再狭窄があるかを調べるための冠動脈造影を受けた540人です。9カ月後の結果は、再狭窄に対してもう一度治療が必要だった割合はシロリムスで4.8%、パクリタクセルで8.3%でした。死亡率(副作用という意味ではなくて元来の疾患が悪化してという意味での死亡率)はシロリムスで0.6%、パクリタクセルで1.6%でした。同様に、心筋梗塞が起きたのはシロリムスで2.8%、パクリタクセルで3.5%でした。
つまりシロリムスステントの登場によりステント治療後の再狭窄率は22%から約5%にまで減少したことになります。シロリムスステントは2004年4月から日本でも使用が認められています。パクリタクセルステントは現在アメリカでは使用できますが、日本ではまだ認可されていません。
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冠動脈という心臓の動脈が風船治療やステント留置のあとに再狭窄するのは、それらの刺激が血管壁を構成する細胞を刺激して増殖を促すからで、その増殖を抑制する薬剤をステントに吸着させ局所に吸収させれば再狭窄が減るのではないかという発想が生まれました。
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対象はパクリタクセルステントとシロリムスステント留置をうけた1,012人の患者のうち、再狭窄があるかを調べるための冠動脈造影を受けた540人です。9カ月後の結果は、再狭窄に対してもう一度治療が必要だった割合はシロリムスで4.8%、パクリタクセルで8.3%でした。死亡率(副作用という意味ではなくて元来の疾患が悪化してという意味での死亡率)はシロリムスで0.6%、パクリタクセルで1.6%でした。同様に、心筋梗塞が起きたのはシロリムスで2.8%、パクリタクセルで3.5%でした。
つまりシロリムスステントの登場によりステント治療後の再狭窄率は22%から約5%にまで減少したことになります。シロリムスステントは2004年4月から日本でも使用が認められています。パクリタクセルステントは現在アメリカでは使用できますが、日本ではまだ認可されていません。
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