医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

健康診断の胸部レントゲン撮影が肺ガンを検出する率

2006年03月22日 | 呼吸器
健康診断の胸部レントゲン撮影で「要精査」という通知をもらうと誰でも不安になるものですが、実際に最悪の結果である確率はどれくらいなのか。大腸癌をスクリーニングする便潜血検査に関しては医療情報はこうあるべき(便潜血を考える)でお伝えしました。それでは肺ガンの場合はどうかという報告です。


Journal of the National Cancer Institute. 2005;97:1832.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

対象は喫煙歴が全くない非喫煙者、以前に喫煙していた元喫煙者、現在も喫煙している現喫煙者あわせて67,315人で、全例に初回胸部レントゲン撮影を行いました。

全体の8.9%に肺ガンが疑われ、高齢者と喫煙者ほどその割合は高くなりました。他の画像診断装置(CTなど)で精査された後、肺ガン疑い群のうち206例(3.4%)に確定診断のための細胞診を行い126人が1年以内に肺ガンと診断されました。

検出された肺ガンの44%は早期非小細胞癌で、その内訳は72例が腺癌、20例が扁平上皮癌、9例が未分化大細胞癌、7例がその他の非小細胞癌でした。

検出率は現喫煙者で1,000人あたり6.3人と一番高く、過去に喫煙していた元喫煙者群で1,000人あたり4.9人、非喫煙者では1,000人あたり0.4人でした。肺ガンの89%は現喫煙者と元喫煙者から検出されました。

女性ではいずれの年齢群でも喫煙に関係なく、男性より肺ガンと診断される数は少なかったようです。

健康診断で胸部レントゲン撮影を受けると8.9%が肺ガンと疑われ、3.4%がいよいよ肺ガンの疑いが濃厚となり、さらにそのうち61%が肺ガンであるという結果です。つまり健康診断の胸部レントゲン撮影で肺ガンが疑われて「再検査が必要」となっても、実際に肺ガンである確率は3.4%X0.61=2.0%で、ただし喫煙者は6.3%ぐらい覚悟しないといけないということです。


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1 コメント

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日本人は肺ガンが多いらしい (通りすがりです)
2011-04-10 20:54:47
必要もない胸部レントゲン検査が原因との節があるようですが。
女性は就職していない場合若しくは休職の場合、ほとんどレントゲン検査をしないから少ないのではないでしょうか?

外国ではなんの疑いもなくレントゲン検査なぞしないそうですし。
やはり機器メーカーやらお役所医者と、三味一体の癒着のせいですか?
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