肺炎は抗生物質の発達などにより減少していますが、特に高齢者で急速に症状が進んだ場合では、抗生物質などの治療が間に合わず死亡率も高くなっています。このため、事前に予防することの重要性が見直されてきています。
近年、肺炎球菌による肺炎などの予防に肺炎球菌ワクチンが開発され、インフルエンザワクチンと同様に接種できるようになっています。肺炎球菌には80種類以上の型があって、それぞれの型に対して免疫をつける必要がありますが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の多い23種類の型に対して免疫をつけることができます。
肺炎球菌ワクチンがどれだけ有効かという論文をご紹介します。
Pneumococcal polysaccharide vaccine efficacy
JAMA 1993;270:1826.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
全米で1978年から1992年の間に肺炎球菌肺炎に罹患した5歳以上の2,837人のの患者が調査されました。これらの患者のうち515人が肺炎球菌ワクチンを接種しており、2,322人は接種していませんでした。同時期に肺炎球菌肺炎に罹患しなかった年齢や性別を合わせた対象者と比較されました。ワクチンを接種していた群の平均年齢は57歳で、接種していなかった群の平均年齢は50歳でした。
罹患した数字は示されていませんが、23種類の型に対して有効なワクチンを接種すれば、接種していない場合と比較して60%罹患率が低下しました。14種類の型に対して有効なワクチンの場合は53%低下しました。
同様に、免疫力の低下していない65歳から74歳までの高齢者に対する有効率(罹患率の低下)は70%で、75歳以上では有効率は78%でした。
疾患別では糖尿病で有効率は84%、心不全では73%、慢性肺疾患では65%でした。アルコール中毒、肝硬変、慢性腎不全、リンパ腫、白血病の患者では有効性はありませんでした。つまりこれらの患者では元来の全身状態が悪いので、ワクチンが肺炎球菌肺炎の予防を手助けするまでには至らないということです。
まとめると、高齢者で糖尿病や心不全や慢性肺疾患がある患者さんには特に有効で推奨されるべきであると考えられます。
アメリカでは65歳以上の高齢者の6割以上が接種していますが、日本では数パーセントにすぎません。肺炎球菌ワクチンは日本では保険適応でない場合8千円ほどで接種できます。その効果は人によって異なりますが、約5年間継続すると言われています。
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近年、肺炎球菌による肺炎などの予防に肺炎球菌ワクチンが開発され、インフルエンザワクチンと同様に接種できるようになっています。肺炎球菌には80種類以上の型があって、それぞれの型に対して免疫をつける必要がありますが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の多い23種類の型に対して免疫をつけることができます。
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Pneumococcal polysaccharide vaccine efficacy
JAMA 1993;270:1826.
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全米で1978年から1992年の間に肺炎球菌肺炎に罹患した5歳以上の2,837人のの患者が調査されました。これらの患者のうち515人が肺炎球菌ワクチンを接種しており、2,322人は接種していませんでした。同時期に肺炎球菌肺炎に罹患しなかった年齢や性別を合わせた対象者と比較されました。ワクチンを接種していた群の平均年齢は57歳で、接種していなかった群の平均年齢は50歳でした。
罹患した数字は示されていませんが、23種類の型に対して有効なワクチンを接種すれば、接種していない場合と比較して60%罹患率が低下しました。14種類の型に対して有効なワクチンの場合は53%低下しました。
同様に、免疫力の低下していない65歳から74歳までの高齢者に対する有効率(罹患率の低下)は70%で、75歳以上では有効率は78%でした。
疾患別では糖尿病で有効率は84%、心不全では73%、慢性肺疾患では65%でした。アルコール中毒、肝硬変、慢性腎不全、リンパ腫、白血病の患者では有効性はありませんでした。つまりこれらの患者では元来の全身状態が悪いので、ワクチンが肺炎球菌肺炎の予防を手助けするまでには至らないということです。
まとめると、高齢者で糖尿病や心不全や慢性肺疾患がある患者さんには特に有効で推奨されるべきであると考えられます。
アメリカでは65歳以上の高齢者の6割以上が接種していますが、日本では数パーセントにすぎません。肺炎球菌ワクチンは日本では保険適応でない場合8千円ほどで接種できます。その効果は人によって異なりますが、約5年間継続すると言われています。
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