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アトピー性疾患の発生に影響を及ぼす乳児期の栄養に関するガイドライン

2008年02月12日 | 小児科
先月、米国小児科学会は、これまでのエビデンスの見直しにより乳児期におけるアトピー性疾患(アトピー性の皮膚炎、喘息、食物アレルギー)の発生に関連する食品に関する最新の方針を発表しました。

Effects of early nutritional interventions on the development of atopic disease in infants and children: the role of maternal dietary restriction, breastfeeding, timing of introduction of complementary foods, and hydrolyzed formulas.
Pediatrics. 2008;121:183-191
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)


アトピー性疾患の発生を予防または遅延させる可能性のある栄養介入の有効性が証明されているのは主に、アレルギー発生のリスクが高い乳児、すなわちアレルギー性疾患のある親または兄弟姉妹が1名以上いる乳児に限られています。

現在のところ、妊娠中の母親の食事制限が乳児におけるアトピー性疾患予防に重要な役割を果たしていることを示すエビデンスはない。どうみても得られているデータは乏しいが、おそらくアトピー湿疹を除き、授乳期間中に抗原を避けてもアトピー性疾患は予防できないものとみられる。

授乳期間中における母親の食事制限の大きな役割は裏付けられていない。しかし、無処理の牛乳蛋白から作られた調乳の授乳に比べて、最低4カ月間の母乳の授乳は、生後2年間におけるアトピー性皮膚炎および牛乳アレルギー、喘鳴の発生を予防または遅延させる。しかし、アトピー性疾患を発生するリスクのある乳児では、母乳のみの授乳が6歳以降の小児のアレルギー性喘息を予防することは確認されていない。

アトピーのリスクが高く、かつ4-6カ月の間に与えられたのが母乳のみではない乳児の研究では、加水分解乳は無処理の牛乳蛋白質から作られた調乳に比べてアトピー性疾患の発生を遅延または予防する可能性がある。しかし、比較研究によれば、すべての加水分解乳に同程度の予防効果があるわけではない。

現在、アトピー性疾患の発生について、生後4-6カ月以降の食事介入の予防効果を証明するデータは十分ではなく、補助食品の導入の時期を生後4-6カ月以降に遅らせればアトピー性疾患の発生が予防できるということを示すエビデンスもほとんどない。

現在のところ、妊娠中の母親の食事制限が乳児におけるアトピー性疾患予防に重要な役割を果たしていることを示すエビデンスはない。

固形食は生後4-6カ月以前に導入すべきではない。しかし、乳児に与えられたのが牛乳蛋白調乳か母乳かに関わらず、固形食の導入をこの時期以降に遅らせることがアトピー性疾患発生の予防に有意に役立つということは、現在得られているエビデンスからは確認されない。この勧告は、魚、卵、ピーナッツ蛋白質含有食品などの高アレルギーと考えられる食品にも適用される。


まとめると、
アレルギー性疾患のある親または兄弟姉妹が1名以上いる乳児においては、

1,妊娠中あるいは授乳期間中における母親の食事はアトピー性疾患の発生に関連がない。

2,生後最低4カ月間は母乳を授乳した方がよい。

3,生後4-6カ月にどうしても調乳を与える必要があるなら加水分解乳がよい。

4,しかし、母乳のみの授乳が6歳以降の小児のアレルギー性喘息を予防することは確認されていない。

5,固形食は生後4-6カ月以前に導入すべきではない、

6,しかし固形食の導入の時期を生後4-6カ月以降に遅らせればアトピー性疾患の発生が予防できるということを示すエビデンスもほとんどない。



これからお母さんになる方は、迷信にとらわれずにこれだけを守って下さいね。



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