夜伽の灯 亜紀子
左義長の跡の小黒き帰郷かな
母がりの父の蝋梅咲き満ちぬ
枯園や鶇は黙し考へる
北風吹くや古屋くまぐま泣きにける
門までの木道冬萌え車椅子
呼べば父のまぶた動きぬ冬ぬくく
霜の道地より銀漢立ちあがる
冬尽くや螺子止まるごと人の逝き
夜伽の灯寒し宿題する吾子に
句帳手に父が居さうな雪浅間
荼毘果つるまんさくに日の移りきて
帰るさの鶇かひとり弾みをる
さうさうと日照雨過ぎゆく芽吹き前
蕗のたうみな空向いて胸ひらく
ころころとよく笑ひたる鳰の恋
夜伽の灯 亜紀子
左義長の跡の小黒き帰郷かな
母がりの父の蝋梅咲き満ちぬ
枯園や鶇は黙し考へる
北風吹くや古屋くまぐま泣きにける
門までの木道冬萌え車椅子
呼べば父のまぶた動きぬ冬ぬくく
霜の道地より銀漢立ちあがる
冬尽くや螺子止まるごと人の逝き
夜伽の灯寒し宿題する吾子に
句帳手に父が居さうな雪浅間
荼毘果つるまんさくに日の移りきて
帰るさの鶇かひとり弾みをる
さうさうと日照雨過ぎゆく芽吹き前
蕗のたうみな空向いて胸ひらく
ころころとよく笑ひたる鳰の恋