橡の木の下で

俳句と共に

「夜伽の灯」平成27年「橡」4月号より

2015-03-27 11:45:05 | 俳句とエッセイ

夜伽の灯  亜紀子

 

左義長の跡の小黒き帰郷かな

母がりの父の蝋梅咲き満ちぬ

枯園や鶇は黙し考へる

北風吹くや古屋くまぐま泣きにける

門までの木道冬萌え車椅子

呼べば父のまぶた動きぬ冬ぬくく

霜の道地より銀漢立ちあがる

冬尽くや螺子止まるごと人の逝き

夜伽の灯寒し宿題する吾子に

句帳手に父が居さうな雪浅間

荼毘果つるまんさくに日の移りきて

帰るさの鶇かひとり弾みをる

さうさうと日照雨過ぎゆく芽吹き前

蕗のたうみな空向いて胸ひらく

ころころとよく笑ひたる鳰の恋

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