実家の庭の椿がつぼみをつけている。
たくさん持ち帰ってきた。
リビングやキッチン、あらゆるところに椿、椿、椿、である。
子どものころ、祖母と一緒に椿のもとで写真を撮った。祖母といっても、その時はまだ、60代、70歳前だったと思う。
旗本の家に生まれたからだろうか、しつけに大変厳しく、お行儀が悪く男勝りでおてんばの私はいつも叱られていた。母はそんな私をいつもかばってくれた。厳しい姑に母は苦労していたように思う。
祖父母はすでになく、椿だけが元気に大きくなっている。
椿の生命力はものすごい。
あの頃のおてんば娘の私を知っているこの赤い椿。
懐かしさがこみ上げてくる。
挿し木にできないだろうか。
何もかもが古くなり、周りの家にご迷惑ということで、椿もモッコクもなにもかも切ってしまうというプランが浮上している。
まことに残念である。
しかし、手入れをする人は今は亡く、仕方ないのかもしれない。
こうして家の歴史は移り変わり、人は老い死んでいくのか。