専業主婦世帯の貧困:その実態と要因
周さんは次のように書いている。
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/15060022.html
はじめに
専業主婦は、かつて裕福さの象徴と言われた。つまり、夫は一流の企業に勤めるサラリーマンで、十分な収入があるために、妻が経済的な理由で働く必要はないというイメージが一般的であった。しかしながら、1990 年代後半以降、正社員で高収入の夫を持つ妻であっても、専業主婦を選択する傾向は弱まってきていることが、多くの実証研究によって確認されている(大竹2001、小原2001)。高学歴・高収入同士の結婚が増えている一方、低学歴・低収入同士の結婚も増えており、欧米でのいわゆる同類婚(Assortative mating)の傾向が日本でも確認されるようになってきた(Raymo and Iwasawa 2005、橘木・迫田2013)。「夫の収入が高ければ妻は専業主婦になる」というダグラス・有沢法則は弱まり、夫の収入が高くても妻が働くとの傾向が強まっている。
専業主婦が裕福さの象徴といえなくなっていることは、総務省統計局「家計調査」の結果からも確認できる。直近(2013 年度)の家計調査によれば、夫のみ有業の専業主婦世帯の平均実収入は、夫婦共働き世帯より2割も低く、標準的な子育て世帯(夫婦と子2 人)に限ってみても、専業主婦世帯の平均実収入の方が10%以上低い。また、こうした専業主婦世帯と共働き世帯の経済格差は、最近起きたことではなく、2000 年度の統計からすでに確認できる。
いったいなぜ専業主婦世帯の平均収入は、共働き世帯より、これほど低くなったのだろうか。一つの仮説は、専業主婦層の中に、収入の二極化現象が起きているというものである。すなわち、旧来型の裕福な専業主婦は依然として存在しているものの、「夫の収入が少ないのに働けずにいる専業主婦」、いわゆる貧困層の専業主婦が大量に増加してきている可能性がある。残念ながら、総務省の「家計調査」や「国勢調査」、厚生労働省「国民生活基礎調査」等を含むこれまでの主要な公式統計では、専業主婦世帯の収入分布に関する情報が公表されておらず、貧困専業主婦世帯の規模を量的に把握することが困難であった。
こうした中、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は、2011 年11 月に「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2011」(略称:子育て世帯全国調査)を実施し、貧困専業主婦世帯の推定人数やその生活状況の公表を、わが国で初めて行った(JILPT2012)。JILPTの調査結果によると、専業主婦世帯の12.4%が、貧困線以下の収入で暮らしており、貧困層の専業主婦世帯の総数は55.6 万世帯にも上ると推計されている。この結果は、貧困層の専業主婦世帯が無視できないほどの規模で存在することを世に知らしめ、多くのメディアの耳目を集めた。
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今や、夫の収入が高くても妻も働き、高学歴同士の結婚という同類婚で裕福な層はますます裕福になり、低所得同士が結婚して、専業主婦になった日には正真正銘の貧困家庭が出来上がってしまうという構造である。低所得にもかかわらず、男が稼いで家族を養うという幻想にとらわれるあまり、自ら働くこともなく、というか低学歴だと高収入を得られるよい仕事に就けないから、しかたないのかもしれないが、じっと貧困状態に落ち込んでいくのをただただ立ち尽くしているうちにどんどん貧困に陥っていっていく。元気なうちはよいが病気や老後に至るとこの悲惨さはどん底にいたる。
周さんは次のように書いている。
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/15060022.html
はじめに
専業主婦は、かつて裕福さの象徴と言われた。つまり、夫は一流の企業に勤めるサラリーマンで、十分な収入があるために、妻が経済的な理由で働く必要はないというイメージが一般的であった。しかしながら、1990 年代後半以降、正社員で高収入の夫を持つ妻であっても、専業主婦を選択する傾向は弱まってきていることが、多くの実証研究によって確認されている(大竹2001、小原2001)。高学歴・高収入同士の結婚が増えている一方、低学歴・低収入同士の結婚も増えており、欧米でのいわゆる同類婚(Assortative mating)の傾向が日本でも確認されるようになってきた(Raymo and Iwasawa 2005、橘木・迫田2013)。「夫の収入が高ければ妻は専業主婦になる」というダグラス・有沢法則は弱まり、夫の収入が高くても妻が働くとの傾向が強まっている。
専業主婦が裕福さの象徴といえなくなっていることは、総務省統計局「家計調査」の結果からも確認できる。直近(2013 年度)の家計調査によれば、夫のみ有業の専業主婦世帯の平均実収入は、夫婦共働き世帯より2割も低く、標準的な子育て世帯(夫婦と子2 人)に限ってみても、専業主婦世帯の平均実収入の方が10%以上低い。また、こうした専業主婦世帯と共働き世帯の経済格差は、最近起きたことではなく、2000 年度の統計からすでに確認できる。
いったいなぜ専業主婦世帯の平均収入は、共働き世帯より、これほど低くなったのだろうか。一つの仮説は、専業主婦層の中に、収入の二極化現象が起きているというものである。すなわち、旧来型の裕福な専業主婦は依然として存在しているものの、「夫の収入が少ないのに働けずにいる専業主婦」、いわゆる貧困層の専業主婦が大量に増加してきている可能性がある。残念ながら、総務省の「家計調査」や「国勢調査」、厚生労働省「国民生活基礎調査」等を含むこれまでの主要な公式統計では、専業主婦世帯の収入分布に関する情報が公表されておらず、貧困専業主婦世帯の規模を量的に把握することが困難であった。
こうした中、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は、2011 年11 月に「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2011」(略称:子育て世帯全国調査)を実施し、貧困専業主婦世帯の推定人数やその生活状況の公表を、わが国で初めて行った(JILPT2012)。JILPTの調査結果によると、専業主婦世帯の12.4%が、貧困線以下の収入で暮らしており、貧困層の専業主婦世帯の総数は55.6 万世帯にも上ると推計されている。この結果は、貧困層の専業主婦世帯が無視できないほどの規模で存在することを世に知らしめ、多くのメディアの耳目を集めた。
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今や、夫の収入が高くても妻も働き、高学歴同士の結婚という同類婚で裕福な層はますます裕福になり、低所得同士が結婚して、専業主婦になった日には正真正銘の貧困家庭が出来上がってしまうという構造である。低所得にもかかわらず、男が稼いで家族を養うという幻想にとらわれるあまり、自ら働くこともなく、というか低学歴だと高収入を得られるよい仕事に就けないから、しかたないのかもしれないが、じっと貧困状態に落ち込んでいくのをただただ立ち尽くしているうちにどんどん貧困に陥っていっていく。元気なうちはよいが病気や老後に至るとこの悲惨さはどん底にいたる。