3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

津久井やまゆり園の重度障がい者殺傷事件を考える

2016-07-31 16:43:42 | 現代社会論
薬物依存で措置入院の患者、障がい者施設の元職員の殺傷事件は世界に衝撃を与えた。

パリや二-スやミュンヘンのテロとは少し違う。

障害のある人々を標的にするとは、悲しいばかりである。

経済合理性を追求する社会で生まれ、育つと結局、生産性が高いか低いかでなんでも評価する癖がついてしまう。
生産力のないものは悪で生産力のあるものは善という価値観である。金持ちが偉くて貧乏人は軽蔑する。元気で働けるものはいいが、働けずに施設で暮らしているのは悪、いらない存在と思うのだろうか。

そういう社会の序列のなかで、仮に脱落してしまうとどうなのか。さらに自分より弱く生産性の低いものが疎ましく思えてくるのかもしれない。

自分は序列の下のほうで苦労しているが、それより生産性がひくい「何もできない障がいのあるひと」が自分より、家族に愛され施設の職員に大切にされ、高度な医療や介護を受けていることが受け入れがたくなるのだろうか。

しかし、世の中を見渡せば、そんなに生産性の高い人ばかりではないことは明らかである。
むしろ、経済合理性の外側にいる人のほうが多いくらいだ。

子どもだって、将来は世の中を支える人になるだろうが、今は生産性は低い。
高齢者なんて、かつてはがんばって高度経済成長を支えてきたんだが、今では寝たきりや認知症になって要介護である。
障がいのある人だって、いろいろな障がいの程度もあり、たくさんいる。
がんで仕事から離れている人。うつ病で仕事に行けない人、それこそ精神的な疾病をかかえていて社会的生活が営めない人など、見わたせば半分は生産性が低いと思われる人ばかりである。

別の見方をすれば、我々は一生のうち、いつでも元気で働けるばかりではないということである。だれもが病や障がいや失業などで生活保護や入院や介護サービスの世話になる。そういう日のために我々は安くない税金を日ごろから払い、働けない人の分まで働く。自分だっていつか働けなくなるから、その日のためにね。

そういう風には考えられなかったのだろうか。
これは、ヘイトスピーチに近い構造と思うのである。ただただ嫌う、意味もなく嫌い排除する。貧しく荒れた心なのだろう。

それにしても、措置入院の問題がこれほどまでに表面化した事件もないだろう。

措置入院してもすぐに退院させられてしまうのは本当に問題である。
措置入院というのは自傷や他傷の危険があるということで非常に重い人ということである。

そういう人をそもそも簡単に退院させてしまう、そういう診断を下してしまう精神科医のレベルが低いという問題。
さらに精神病院は満杯で手が回らないという問題。
医療費削減という政策的な流れの中でなるべく入院期間は短くするのが最近の状況だから、すぐに退院させられるのも仕方がないという風潮。
さらに、退院しても家族におねがいするという依然として古い精神科医療の問題。
そして、家族にお願いするといっても本当に家族が引き受けたかどうかさえ確認しないで退院させてしまう無責任な病院と行政のやる気のなさ。

これだけそろえば、凶悪な事件もありうるだろう。

これは日本の精神科医療が全く持っていい加減であることの証拠である。
こんなことをしていたら、第二のやまゆり園事件が起きてしまう。

措置入院をした患者が退院する場合、徹底的に地域ケアの体制をつくるべきなのである。
高齢者だって、退院するときは在宅で生活できるか、訪問医療、訪問看護、訪問介護、訪問入浴、介護用ベッドなどいろいろ用意してからいよいよ退院である。
ましてや薬物依存や人格障害などで他傷の危険がある患者なのである。より一層の慎重さが必要だろうに。

我々の社会が精神障害の人を地域でどうケアするか、重度重複障がいのある人々の尊厳を守るのと同じくらい重要なことである。

この事件のあと、東大の福島智先生、立命館の立岩真也、そして長瀬修、早稲田の岡部耕典氏の談話が新聞にでていた。
この人たちを抜いてこの問題を語れる人はいないだろう。
彼らのコメントはどれも素晴らしかった。ナチスの障がい者殺戮と絡め、また、精神障がい者の犯罪率は必ずしも高いとは言えないことなどにふれていた。
この事件の問題をきちんと整理し、再発させない気概を感じることができた。それだけが、救いである。

とにかく薬物依存にならないための対策、それから、措置入院や医療保護入院など精神の人とその家族を救い支える切れ目のない制度の構築こそが必要なのではないだろうか。




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親を看取るということ 2016夏

2016-07-20 11:59:35 | 日記
2010年に父が亡くなった。最後まで自宅で暮らし、腎臓が悪かったが、医療を嫌い自然のままで一切の治療をせずに逝った。
2013年に母が亡くなった。スーテジ4の大腸がんだった。半年といわれたが最新の治療をして、3年持った。デイーサービスを利用し楽しい日々を過ごした。最後の1か月は入院して最後は病院だったが、痛みを上手にコントロールして苦しむことなく、兄の手厚い看護を受けて亡くなった。兄はちょうど定年を迎えていたので、毎日母を見舞うことができた。それはとても幸運であった。

2013年義父がなくなった。かなり弱ってはいたが、居室をバリアフリーにして、ふろやトイレも高齢者仕様にした。訪問介護を受け、普通の暮らしを「その日」の夕方まで、過ごした。夕食をとってそのあとすぐに亡くなった。

今、義母が入院している。心臓と腎臓が悪く、かなり弱っている。「その日」はそう遠くないように思う。いつ退院できるかわからない。せめて、最後の1週間、自宅に戻って、息子たちも仕事を休んで一緒に過ごし、送ってやれればよいのではと思っている。
入院中に家をかたずけ、退院してきたら訪問医療、訪問看護、訪問介護等を有機的に連携させて、家族の負担を和らげて、長年暮らした自宅での最後をと思っている。

高度経済成長を経て、核家族化が進み、自営業などは減少しサラリーマン家庭が増えた。ほとんどの女性は専業主婦だったという時代があった。親の介護は、嫁や娘と言われた。がその時代はもう完全に終わったように思う。
少ない子供が男だろうが女だろうが、やりくりして対応する。きょうだいのうち女も働いていて出世していたりするので、仕事を休めなくなっていることもある。
少ない子供なのだから、医療や福祉を知り、そういった医療福祉サービスを駆使して、成熟した社会にふさわしい高齢者の看取りを考えなければならない。

病院や施設任せの時代も終わったように思える。認知症で激しい症状の場合は、施設やGHが必要だろうが、高齢となり病気を抱えて自宅で少しづつ虚弱化していくようなケースは、病院、自宅の入退院を繰り返すのだから、自宅の病院化が必要になるだろう。

介護保険は重介護になればなるほど利用料がかさむという構造をもっている。しかし、高齢者の年金は限られているので、利用料がどんどんかさむのは不安である。
医療や介護の利用料金は、本人の年金で何とか賄えるような金額に抑えるべきだろう。もし、必要なら税金でやるしかないと思う。

だれも親のない人間はいない。
そしてその親が最後をむかえようとするとき、どうやって、支え、見送るか、周りにいるものは知恵を出し合う。
負担が少なく、親も満足してもらえるような体制を考えるべきだろう。
親は親で、決して、娘や息子が仕事をやめてまでも自分の介護をしてほしいと思ってはいけないのである。

医療福祉の連携は、子どもたちの負担軽減を含む連携であるべきである。

親のおむつを通販で注文するようになったら、、子どもたちは「その日」のために意見を交換し、医療と福祉に精通し知恵を絞る。
人ひとり、長く生きてきたのである。良い人生だったとよい最後だったと、後悔はないと本人も周りも思えるような看取りができたらと思うのである。





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都知事選2016 混迷の日本の政治状況を象徴するようである

2016-07-14 10:54:55 | 日記
立候補者は出そろった。

しかし、その顔触れは、今一つである。

混迷の日本の政治状況を象徴しているように思える。

反自民をと思って四党で推そうとするが、適任者がいない。
俺がやるといって出てきたんだが、はあ、ちょっと違うんだよねと言いたくなる。


そもそも四党で推すというのは無理な話のような気もする。

自民党都連をつぶしたいのだろうが、一般都民はすでに自民党都連の町会のオヤジの井戸端会議のような雰囲気にうんざり、自営業のおやじのあつまりで受け付けない。あれだけはやめてもらいたいと思っているのではないか。
自民党都連が出てくれば来るほど、否定したくなる。

共産社民で宇都宮先生を推せばいいものを、なんであんなよい先生を推さずに下させるのか、理解に苦しむ。
宇都宮先生を下しても獲得できる票は少ないと思うよ。

で、元官僚はどうか。自民党、公明党をバックに盤石なおぜん立てのもと立った奴なんて、大嫌いだ。

一般都民の浮動票はどう動くかというと、小池だろうなあ。

女性の知事、大臣経験者、自民党都連のオヤジから天敵とされているぐらい嫌われているらしいが、そこでポイントがあがる。
自民党都連のオヤジに嫌われている、この一点で一般都民の浮動票層は反応するのである。親の七光り、無能なのに偉そうにしている石○とかほんと胸糞悪いぜ。

都知事は華がなければならない。
男であっても女であっても、華が必要だ。
舛添がなぜ当選したかというと語学堪能な国際政治学者だったからだろう。ただ、ケチでDV男で兄弟の仲がわるかったというのは知らなかった。

地味な官僚から岩手県知事になったやつなんて・・・・、なんでそんな一地方の知事をわが首都東京の知事として迎えなければならないのか、理解できない。
東京は人と富が集中しているから、みんな岩手に移住しなさいといわれるのが関の山。

もう官僚はいらないのである。

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東京都知事選 2016 鳥越?なんでまた

2016-07-13 23:55:19 | 日記
鳥越?なんで?
ミスキャストだよね。

宇都宮ケンジ先生が下りて残念。

古賀のほうが良かった。
古賀と宇都宮先生が立候補したら困ったがもうこまることはないかも。

自民党 都議連のオヤジをみると品格も無く、あんなのが推している増田なんて絶対にいれないと強く思う。

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東京都知事選2016 混乱しているようだが江戸っ子は判官びいきなんだ

2016-07-11 11:29:19 | 日記
舛添が辞職して、後任選びの都知事選、混戦模様。
というか、小池百合子を当選させまいとあれこれ工作している自民党と都議連のおじさんたち。
挙句の果ては、石田純一?だって。どこまで人材不足なんだか。
石田純一もなにを勘違いしているんだか、泡沫俳優なんだから、ナンパの方法には熟練していても都知事はどう考えても無理だ。

増田寛也もおぜん立てしてもらってから偉そうに登場し、後出しじゃんけんの汚い手口で、江戸っ子としては、こう言うやり方はすかん。
ハンサムじゃないし。建設省というのがいやだね。だいたい、「東京は消滅都市」と言っている増田になにがわかるというのだろうか。
建設省の役人なんて、全国あちこち点々として、どこでも碌な仕事をしないうちに異動。
そんな仕事に飽きてきたとき、小沢に見いだされ岩手県知事に。
岩手のやり方は東京では通用しないとおもうんだがどうか。

まあ、参議院選挙で当選した議員の顔をみても、基礎学力がないものが大勢いて、これでは、日本の未来は暗黒である。

立候補するならそのまえに基礎学力試験をしてほしいものである。
せめて、登庁するまえに財政、外交、社会保障の基礎知識を備えているか、記述式の試験をしてほしいものである。
その結果をみたら、有権者はぞっとするだろうよ。

あんなのが議員になれるなら、俺だってとみんなおもうだろう。

都知事の話にもどって、混戦模様だが、江戸っ子は判官びいきだから、どういう投票行動にでるか、見ものだ。



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