るりこんの気が付いたらの日記

あるアマチュア声楽家の忘備録とつぶやき

トスティ:セレナータ(La Serenata)

2018-09-09 23:02:00 | 歌曲への取組み
トスティのセレナータは大人になって声楽の勉強を再開して1年くらい経った時に当時に先生に勧められた曲だった。
けど、実はこの曲はもっと前から知っていた。高校時代、ネリー・メルバのCDを買ってもらった時に、この曲を知ったので。レコードの音からCDにしたせいか録音が今一つなのか、当時の歌手って、オペラ史に登場する人でも高音はキンキンとしている。発音も、「セレナータ」じゃなくて「セリナータ」って歌っているように聞こえたが、これは英語圏出身のせい?
女性歌手が歌う「セレナータ」だったら、リッチャレッリが良いのではないかと思う。
やっぱり昔に知った曲って、その時の頃思い出して懐かしい気持ちになる。

そして、近いうちにまたこの曲を歌うことになった。
「セレナータ」は夜に恋する女性の家の前で歌う曲で、楽譜もピアノで入り、最後もピアニッシモで終わるから、そんなイメージで歌おうとした。少なくとも以前の私あったら、フォルテで"Vola"と歌っただろう。どっちかといえば甘い感じに歌えれば良いのではないかなとは思ったのだけど。
そして、L先生は「テンション低い。もっとアマチュアらしく、下手でもいいからこの歌歌っているのが楽しい、というのを見せられない?イタリア人の男が好きな人の家の前で歌おうという感じに見えない」

う~ん、言われてみたら、リアルに夜中に人の家の前で歌う人って、見た事がない。
強いて言えば、妹の元彼。家の前で待ち伏せして、新しい彼氏に車で送ってもらって帰ってきた妹に対して家の外から怒鳴り散らした。母親は呆れ、父親はその人の言い分を聞いてやったが後で面白がっていた。まぁ、これは「セレナータ」とは呼ばない。

ちなみに、自分が憧れるアマチュアはこれまでにもいたけど、「下手でもいいからこの歌歌っているのが楽しい」という人で、自分もそうなってみたいと思ったことのあるアマチュアもいない・・・。だからこういう人もイメージできない。

バリトンの先生のレッスンでルチアが楽々歌えた次の日の出来事だったからガックリ。
「難しい曲されていますね~(意訳:基礎がなっていない)」の呪いから抜けられないことを悟り、クラ~い気持ちになった。


音楽に寄す(An die Musik)

2018-09-04 17:56:00 | 歌曲への取組み
レパートリーというのは、レッスンで勉強したり発表会などの本番として出すだけではなく、急に必要になった場合にすぐに歌える曲、という定義もあると思う。
今回は、私にとってのそんな曲を挙げたい。

シューベルト作曲の「音楽に寄す(An die Musik)」。
ページ数は3ページくらいのシンプルな曲で、初心者の時から歌っているけど、イタリア古典歌曲やベッリーニ歌曲のような練習曲っぽさがない。作曲者がきちんとした芸術歌曲として書いたというのが伝わって来る。

この曲は、男性歌手も女性歌手も歌うことが多い。歌曲の中でも、声質も性別関係ないユニセックスな感じのする曲である。

大雑把に言えば、オペラアリアといえば感情を吐き出してテンポの動きも激しく、歌曲といえば譜面に忠実に歌うもの、というイメージがあるけど、歌曲はどんな声質の人が歌っても良ければ性別も問わない曲もあるという意味では歌曲の方が「自由」と呼べるものかもしれない。
どんな人からどんな声質と呼ばれても、動じずに粛々と取り組める曲だと思う。

母の教え給いし歌(Als die alte Mutter)

2018-08-31 08:09:00 | 歌曲への取組み
今回は「初めて取り組んだドイツ歌曲」ということで「母の教え給いし歌(Als die alte Mutter)」。
チェコの作曲家だから、チェコ語の歌を誰かがドイツ語に訳したんだろう、と思われがちだけど、ドボルザークは実はドイツ語の歌詞にも自ら作曲した、ということはあまり知られていない。
当時、チェコはハプスブルク家の下にあったから、ドイツ語が得意なチェコ人なんて沢山いたはずではと思うのだけど。
現代の話をすれば、私の出身大学のチェコ人教授もドイツ語教えていたし、チェコに行ってみたらドイツ語話せる人沢山いたし。

この曲のレッスンは「初めてのドイツ語の歌」で、大人になって歌を再開して2年目くらいのことではなかったかな。・・・と思ったら、もっと後だった。
知名度も高いことだし、久しぶりに同業者コンサートでヴァイオリンのオブリガードをつけて、最近本番で歌ってみたけど、こんなに難しい曲だったけ?と思った。
苦手な音域が多い曲だけど、声の量を半分にして歌ってみようと心掛けた。
そうすると、ぐんと良くなったような気がする。

この歌は「ジプシー歌曲集」という歌曲集の中の1曲なのだけど、全曲歌える場があれば良いな。

たとえつれなくても(Sebben crudele)

2018-08-28 07:04:00 | 歌曲への取組み
新カテゴリはとりあえず、「歌曲への取組み」と「オペラへの取組み」を交互に書いてみようかと思う。
 
第一弾のカルダーラ「たとえつれなくても(Sebben crudele)」は、声楽のレッスンを始めた時の一番最初にやった曲。
高校時代に声楽を習い始めたのも、その後大人になって再開した時もこの曲からだった。
高校時代に始めたのは、もうイタリア語の読み方からだったのが懐かしい。巻き舌とか覚えさせられたりして。当時はCDが流通し始めた時期だったので、なかなか良い音源もなかった。「音源に頼るなんてもってのほか。じっくり譜面を見て解釈しなさい」と言う先生だった。正直、高校時代、これらの曲は、ヴェルディやプッチーニなんかのオペラアリアと違って、こんなにつまらないのか、とガッカリした覚えがある(時期的に良い演奏に触れる機会もなかったことも一因だけど)。
初心者向けの曲って、youtubeを見てもアップしているのが初心者が多いからあまり参考にならないけど、参考にする価値(「真似る」べきかというのはまた話が別)があるのはチェチリア・バルトリかな。

そしてつい最近、これをバリトンの先生のレッスンで見てもらった。
最後だけちょっとリズムが違うのが、間違いやすい。
高校時代、大人になって再開した頃の録音があれば、自分の上達ぶりがわかるのだろうけど、残しておかなかったことが悔やまれる。
 
イタリア古典歌曲集って、バロック時代のオペラやカンタータをパリゾッティが歌曲としてアレンジしたものを「声楽の入門用の曲」として使っているから、もしかしたら原曲はもっと違った感じになるのではないのかな、と思ったりする。