孔子が天命を知ったとされる年齢になって初めて、人間ドックを受診した。カメラが映し出す胃や腸の内部の映像、あるいは脳のMRI画像など、自分の一部なのに普段は見られないものを見ることができた。疾病の有無への関心以前に、その体験から感じたことは、どうやら自分も生物学的に普通の人間であるということだ▼両親の遺伝子を受け継いだ受精卵は、母体内で細胞分裂を繰り返しながら臓器、骨、筋肉などのさまざまな器官、部位を形成して一人の人間となる。その過程を無事に通過し、そしてこの歳まで生きてきたのだと確認できた。人は普段、他人との差を意識するものだが、自分の臓器のあり様が別の人間のものと同じことに一種の感慨を覚えた▼検査にともなう苦痛が予想より少なかったことも、印象に残った。とくに胃の内視鏡検査は、お世辞にも細いとはいえないあの管が食道を貫いているのに反し、ほとんど苦痛らしい苦痛がなかった。医師の技量や受診者のなど個人差もあるのだろうが、医療および医療機器の技術進歩を体感したといえる▼技術は今後も進歩を続け、受診にともなう苦痛はさらに軽減していくのだろう。あの管を体内に挿入しない日もきっと来るはずだ。とくに大腸の検査にはそうのようなブレークスルーが起こることを願ってやまない。化学工業日報.,2015年03月17日
孔子が天命を知ったとされる年齢になって初めて、人間ドックを受診した。カメラが映し出す胃や腸の内部の映像、あるいは脳のMRI画像など、自分の一部なのに普段は見られないものを見ることができた。疾病の有無への関心以前に、その体験から感じたことは、どうやら自分も生物学的に普通の人間であるということだ▼両親の遺伝子を受け継いだ受精卵は、母体内で細胞分裂を繰り返しながら臓器、骨、筋肉などのさまざまな器官、部位を形成して一人の人間となる。その過程を無事に通過し、そしてこの歳まで生きてきたのだと確認できた。人は普段、他人との差を意識するものだが、自分の臓器のあり様が別の人間のものと同じことに一種の感慨を覚えた▼検査にともなう苦痛が予想より少なかったことも、印象に残った。とくに胃の内視鏡検査は、お世辞にも細いとはいえないあの管が食道を貫いているのに反し、ほとんど苦痛らしい苦痛がなかった。医師の技量や受診者のなど個人差もあるのだろうが、医療および医療機器の技術進歩を体感したといえる▼技術は今後も進歩を続け、受診にともなう苦痛はさらに軽減していくのだろう。あの管を体内に挿入しない日もきっと来るはずだ。とくに大腸の検査にはそうのようなブレークスルーが起こることを願ってやまない。化学工業日報.,2015年03月17日