さほどあたらしものに敏なほうではないのですが、まぁ気温も上昇、空気も乾燥、ぼつぼつシーズンですし、先日店頭で見つけて「いちばん旨い発泡酒を、決めようじゃないか。」という、豊川悦司さんのさすらいの剣豪チックなCMを思い出したので、Asahi“クールドラフト”を試飲。
ちなみに、なんとなくですが、Asahiってビールの“スーパードライ”で業界をリードしている自負があるんでしょうか、他社に比べて、発泡酒・新ジャンルにはあまり熱心ではなくチカラ入れてないイメージを持っていて、“新生3(スリー)”“極旨”などは特に、飲んではみたけれど、積極的にいただけないなぁと思っていました。ビール的な爽快さが少なくて、単純に、甘いんですよ。あとクチもなんかねっちょりしていて、“ビールにちょっと見、似せた清涼飲料水”風。
Asahiで“スーパードライ”以外に「これならいけるかも」と思ったのは“ぐびなま”と“贅沢日和”、いま市場で好評中の“クリアアサヒ”ぐらいでした。“クリア”はそれでもちょっと甘め寄り…と思えたのですが、甘めは甘めでも、Clearを商品名に掲げてるだけあって、わりとさわやかで後をひける甘めです。
まぁ嗜好品ですから、純粋に嗜好の勝負になりますが、月河の場合、香りや旨みより、飲み口の軽さ、切れのよさ、あと微量のホロ苦さだけはこだわりたい。最近は若者層を中心に、ビール伝来のこの“ホロ苦さ”を歓迎しない向きが増え、そこで各社苦労していると聞いたことがあります。
しかし個人的な意見を言わせていただければ、この“ホロ苦さ”であまり妥協し過ぎると、将来にわたって、ビール本来の魅力を解しない客を増やすことになって、首を絞めると思うのですがね。
…さて、剣豪風名乗りの“クールドラフト”、第一印象としては「なんてことないな」。いや、いい意味での、イヤな引っかかりのないなんてことなさです。もっと詳しく言えば、甘さと切れと軽さ、ホロ苦さといった諸要素のバランスがとれている。ただ、バランスが取れているがために、あまり「他の銘柄ではなくコレ」というピンポイント支持を受けにくいかもしれない。
本格シーズン開幕を前に現時点で整理すると、
ビール:①サッポロ“CLASSIC”。当地限定でもあり飲食店で注文するとき、地域外からの客にも積極的に薦められる。
②Asahi“スーパードライ”。安全パイという以上に、やはり特に暑さピーク時の爽快感は随一。
発泡酒:①サッポロ“生絞りみがき麦”。同社のCLASSICや黒ラベルを忠実に発泡酒エリアで再現した几帳面作。
②Asahi“贅沢日和”。金色地のパッケージを採用、ビールの中でもヱビス的な、ちょっと引っかかる濃いめの風味を積極的に表現した勇気作。
新ジャンル:①サントリー“金麦”。ウイスキーの会社だけに麦と水の風味が前面に出ているが無駄な甘みがなく飽きない。
②Asahi“クリアアサヒ”。上述の通り。
やはり地元だからかな?サッポロへのシンパシーが全般に高いんですよね。店頭でも、他の地域よりは陳列スペースが広いはずです。
ちなみに、サッポロの新ジャンル“麦とホップ”は、昨年3月発売で全国的にもだいぶ定着してきたようですが、月河は同社の廃番になった“W‐DRY”のほうが好きだったなぁ。最近コンビニで広く展開中の“冷製SAPPORO”はちょっとパッケージデザインに新鮮さが感じられず、いまだ未試飲。でも最近は新ジャンルも消長サイクルが速いので、シーズン中に一度は試してみたいと思います。
今回試飲したAsahi“クールドラフト”は、発泡酒の③ぐらいに入れてもいいかな。シルバーを広く、ゴールドをラインでコンビネーションさせたパッケージデザインは悪くないと思いますよ。キレ感がありますからね。これも嗜好の問題だけど、麒麟“淡麗(生)”ぐらいには定着、広く長く愛される銘柄になってもいいと思います。