4月期からのNHK朝の連続テレビ小説『つばさ』はどうなんでしょうね。なんだかんだで『だんだん』は最終週まで追尾したウチの高齢家族、どうしてるのかチラチラ様子見てると、どうも謎の実業家にしてヒロイン母の出奔中の元彼?ヒロリンこと西城秀樹さんが画面に出てきた段階で「これは団塊世代以降のためのドラマ」と見切りをつけてほぼあきらめたようです。
朝ドラには数年前、野口五郎さんもレギュラー出演されていたようだし(02年『さくら』)、元・新御三家の起用は“ある年代”の視聴者にはピンポイントなんでしょうけど、ある年代に絞って露骨に当てに行くと、それ以外の年代の客にこうして見事に引かれることになる。国民のみなさまのNHKもつらいところです。
月河はキャストより、メイン脚本の戸田山雅司さんが、『相棒』にseason4から6までレギュラーで参加している脚本家さんであることに注目していますね。特にseason5の、平田満さんが天才的嘘つき窃盗常習犯に扮した“せんみつ”、高橋克実さんがマーロウ気取りの、お笑い風味だけど手腕はある私立探偵として捜査に貢献した“名探偵登場”、特命コンビが山中で雨に降り込められ、大空真弓さん扮するカリスマ服飾デザイナーの豪邸パーティーに飛び込み参加する“女王の宮殿”など、シリーズ中では変化球的と位置づけられるエピソードで味を出してくれました。
これらがかなり好評だったと見え(月河も好きなエピの中に入ります)、season6では元日SP“寝台特急カシオペア殺人事件”の拡大枠も任されているし、原田龍二さんの陣川警部補、木村佳乃さんの片山雛子議員といった、戸田山さんご自身が参加する前に他の脚本家のホンで種蒔かれていた、“相棒汁(じる)”の滲み込んだ重要キャラを引き継ぐエピもしっかり書いておられます。
ヒロリン率いる黒スーツ黒メガネの2人組なんか、“名探偵登場”で克実さん扮する八木をボコって、最終的に組織犯罪対策課の大小コンビに取り押さえられた、ブルース・ブラザーズ風のアイツらにそっくり。9日放送分でも、「甘玉堂の店が存続することがどんなに大事か」をヒロリン一味に熱弁ふるうつばさ(多部未華子さん)への、弟(冨浦智嗣さん)お父さん(中村梅雀さん)のツッコみなんかは、『相棒』風味でした。場面場面で見るとドタバタギャンギャンしているんだけど、結構計算ずくのドタバタなんですよね。こうした漫画っぽさ、慣れない人は何話見ても慣れられないかもしれない。
それでもNHK朝ドラなるがゆえに、ヒロインのお仕事成長物語や、結婚・花嫁を視野に入れたほのかなラブストーリーや、家族再生を入れないわけにはいかない。個人的には戸田山さんには、早く朝を片付けてもらって、せんみつ槇原やマーロウ八木が新生特命係に再びからむエピソードを書いてほしいのですが。