直接山形とは無関係の記事が続いた。
今度こそ山形関係の記事となる。ただし、山形市内ではなく、山形県内である。
これは3回前の記事の続きだから、長井市の歴史的建物である。
3回前の記事で紹介した旧西置賜郡庁舎「小桜館」の北隣にある「丸大扇屋」という300年前前から呉服など販売の商家だった屋敷の建物で、こんな雪深い片田舎の町で、しかも自動車交通はもちろん鉄道もなかった時代に外部との交易により財をなし栄えた商家があったことに驚きを覚える。
江戸後期の天保から大正初期までの建物が甍を並べ、近くの洋館の小桜館とともに和風の歴史建造物の風雅さを楽しむことができる。
県の指定文化財である。
長井は街道筋から言えば、行きどまりの地であり、文化はそこでふつふつと醸成されてきた。長井紬や深山和紙など芸術性の高い特産物もある。やませ蔵などかつての商業集積の殷賑振りなどを示す建物も保存されている。
長井の町に写真のような古くも美しい建物が似合うのは、ワインのような香りのする文化を、その町が持っているから、と思う。
クルマ社会が進展する以前の時代はどんな小さな田舎町にも風雅にして豪壮な屋敷構えの商家が栄えて、その町を文化的に象徴していましたが、現代ではクルマの利便向上だけが求められるため道路が広げられるだけでなく、駐車場が乱造されるために街並みの景観はずたずたに壊されています。
つまり「文明」のために街並みから「文化性」がすっかり排除されてしまったと言えます。