弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
本ブログがKindle本に!「アマゾン 三色眼鏡」で検索!!

【知財記事(特許)】中国の知財訴訟

2018年11月19日 08時10分37秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
あいかわらずはっきりしない空模様な@湘南地方です。

この週末は、なんだかよく寝たなあ。
体調がもう一つだったもので、こういうときはとにかく寝るに限る、と開き直って。
おかげで頭はだいぶスッキリしてます。

さて、今日はこんな記事

(日経新聞より引用)
=============================
中国の知財訴訟激増 昨年20万件、制度整う

コーエーテクモゲームスが「三国志」で著作権侵害を訴えたのをはじめとして、中国は現在「知財訴訟大国」となっている。2017年の知財関連の民事訴訟の提訴件数は16年比47%増の20万1039件に及ぶ。日本(17年は928件)とは桁違いだ。
知財侵害が多いという事情のほかに、中国当局の紛争解決インフラの整備も一因だ。14年以降、北京や上海など大都市に知財紛争を専門に扱う機関を相次ぎ設立。大量の訴訟を裁き始めた。今回のコーエーの勝訴も中国の政府関係者は「外国企業の権利を保護した事例」としてアピールする。

=============================
(引用終わり)

文字通り桁違い、っていうのもそうだけど、そもそも日本の(知財だけじゃない)民事訴訟の件数ってどんだけなんだろう…?
と思って調べてみたら、こんなまとめ資料があった。

2015年の新規受任件数で14万件あまり。
要は、日本のありとあらゆる訴訟をかき集めても、中国の知財訴訟の件数に及ばない、ということか。
人口の違いを考慮しても、これは多すぎるよなあ。

特許出願の件数も世界で312.8万件のうち中国が133.9万件(こちらの資料による。2016年データ)。
中国で商売をしようと思ったら、いずれも無視できない情報。

過去の栄光や願望じゃなく、現実を見据えていかないといけない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【業務日誌】エアポートおじさん

2018年11月16日 13時19分24秒 | 業務日誌
こんにちは!雲の合間に晴れ間がのぞく@新千歳空港です。
週中から本日まで出張でした。今帰り道。
「でした」っていうか、事務所戻ってまた続きやらなきゃまずいくらいには色々積みあがってますけどね。

ありがたやありがたや。

そんなこんなで、空港のラウンジでコーヒー飲みながらちょっとだけ一休み。



なぜ人は(とくにおじさんは)空港からSNS等に書き込みしたくなるのか…?
別に“わーい飛行機だ羨ましいだろ”ではなく、

まとまった仕事をするには時間も場所もハンパで、
自分の頭の中を整理するのにちょうど良い環境で、
移動する=節目なので色々振り返ったり先のことを考えたりするのにちょうど良い、
ということなんだと思う。

ま、それを皆様に意見開陳しなくても良いじゃない!?っていう目線は確かにあるけども。
人目に晒すこと(を意識すること)で自分を客観化できる、という効能もあるからなぁ。

そんなこんなで、あれこれ頭を整理しつつ飛行機眺めつつ、もう少ししたら移動です。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【知財記事(商標(海外))】食品の味と商標保護

2018年11月15日 09時48分11秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
曇天模様の@札幌です。

朝からお仕事一つ終えて一息ついているところです。
さて、今日はこんな記事

(REUTERSより引用)
=============================
食品の味は商標保護の対象とならず、EU裁判所が判断

オランダのチーズメーカーが自社製クリームチーズの商標登録認可を求めて起こしていた訴訟で、欧州連合(EU)の最高裁に当たる欧州司法裁判所(ECJ)は13日、食品製品の味は商標保護の対象となる条件を満たさないとの判断を下した。

(中略)

ECJは、7月にオランダの裁判所が下した判決を支持し、「特定の食品製品の味が商標保護の対象となるのに適さない」と判断。法務官らは、文学や絵画、映画、音楽作品と異なり、食品製品の味を正確さと客観性を持って特定することはできないうえ、味は製品の味見をする個人や年齢、好み、環境などに左右されるとした。

=============================
(引用終わり)

商標で保護できる = 半永久的に独占排他権を有する、ということだものねぇ。
結論については当然に「そりゃそうでしょ」と思っちゃうところなんだけど、
むしろその判断理由の、
“食品製品の味を正確さと客観性を持って特定することはできないうえ、味は製品の味見をする個人や年齢、好み、環境などに左右される”
というところ。
より機械的な製法ないし品質管理で画一的に味を再現できる場合、保護の対象となる余地がある、というふうにも読める。

まあ確かに、
ハッピーターン独特の塩味とか、
マックのピクルスの独特の酸味とか、
味の記憶で出所を想起するケースはあるにはあるけど。
けどそのことと、だから独占排他権を認めるべき、ということとは結び付かないなぁ。
より自由に他者が再現できるべきものだと思うし、そもそもそういった独自の品質を示す標章としてマークやらネーミングやらがあって、そこに信用が化体しているから保護するんであって、特定の品質そのものを保護するわけじゃない。

実務家的には、どういう願書で出願していたのかが気になります。

さて、今日は午後からお客様2件です。それ以外はひたすらお籠りで溜まっている案件を少しでもこなしていきます。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【雑記】来年のGW

2018年11月14日 12時16分40秒 | 趣味・その他諸々の雑記
おは、、いや、もうこんにちはですね。
別に寝坊したわけじゃないです。@札幌です。短期で出張中。
テキパキこなさなければ。

さて、
来年の事を言えば鬼が笑う
とは言いますが、カレンダーももう11月。
兼ねがね話題になっている掲題の件、昨日閣議決定されたようで(例えばこんな記事)。

4/27~5/6までがぶっ通しでお休みになるんだってさ。


ふーん。
ま、どこか余所の国のお話だわ。


とも言っていられない。どんな影響が生じるのかは考えておかないと。

1)何はともあれ、対庁法定期限。
 これは、問題なく連休明けの5/7に期限繰り延べになる。
 ただし国内だけの話(当たり前)。海外の期限は無関係に走る。
 逆に、外内の案件がある事務所さまにはお伝えしとかないとなあ。

2)資材調達
 ま、事務所ですし。何とでもなりますわ。

3)従業員の勤怠
 ここ、どうする/どうできるんだろ。
 連休欲しくない、という人間がいる気がする。
 強制的にでも休ませるべきか。

4)自分の勤怠
 どうするかなぁ。全休はあり得ないけど全出もさすがにないなあ。
 5/1は本来的には即位のお祝いをするための日なのだろうから、そこで国内にいないというのもヘンな話、だと思う。

5)生活周りの諸々
 病院は大変だな。怪我病気しないようにしなければ。
 電車も休日ダイヤが続くのかな。


まあ、世間がどんな感じになるのか様子見しながら決めていくことになるんだろうけど、
これぞ好機と捉えて大型な何かをやる、というのは念頭にないなあ。
自分磨きの時間に充てられたら良いな。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【業務日誌】川崎北部少年少女発明クラブ 見学

2018年11月13日 08時06分57秒 | 業務日誌
おはようございます!
今日から出張予定でしたが、一日繰り延べて体調やら身の回りの業務やらを立て直しするのに充てることにしました。
そんなことをするのにふさわしい(?)感じの、穏やかな空気の今朝の@湘南地方です。

さて、日曜日のお話。
商工会議所経由でご縁がありまして、
川崎北部少年少女発明クラブ」の見学に行って参りました。

この日は、新幹線のN700系プロジェクトなどにも参加されていた工業デザイナー 福田哲夫さんのペーパークラフトワーク。

…いや、このお話を小中学生が聴けるって、なんてゼイタク。。
むしろ大人が聴いていて楽しい。
少し大きな○(マル)に△(サンカク)を2つ書き足すことで動物を表現。
△を足す位置や向き、大小、長短をつけることで犬になり猫になりウサギになり…。

みたことがないから書けない。みて、特徴が何かを捉える。
クラフトワークで表現するには、特長を単純化して表現することが大事。
色々書いてみないことには始まらない。

いや、広くお仕事全般に通じる話ですよね、本当に。
ちゃんと現場/現物を見て、相違点を捉えて、表現する。
焦ってこの順番を間違えると、色々こんがらがる。
それに、一発で完成品ができるわけもない。捉えたものを表現するにあたっても、色々と“チューニング”が必要。

とまあ、四十路過ぎのおじさんが教室の後ろの方でこんなことを考えながら聴いているうちに、本題のペーパークラフトワークの実践に。
ここでは、子供たちの発想力に福田さんのお話と同じくらいの新鮮な驚きを与えられることしばしば。
まさに十人十色の製作風景。
様子を見ていると、なんとなくわちゃわちゃと戯れている子供たちもいるかと思えば、急に一心不乱に製作に取り組みだす子供も。
あの瞬間、何かが「降りてきている」んだろうな。

自分が子供の頃よく言われた、“黙って集中しなさい”っていう指導、あれ、あんまり意味ないのかもなあ。
だって自分が夢中になるものに対しては周りが止めても集中してやるわけだもの。
楽しければ黙々とやるよねー。

今後もかかわりを持たせていただくことになり、楽しみがまた一つ増えました。
いつか自分のお仕事の視点からも子供たちにお伝えできる機会があれば良いな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2018(第3回)

2018年11月12日 07時55分39秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
今日もお天気イマイチな@湘南地方です。
これからお出かけ予定…。

さて、週末は、というか先週から体調がもう一つすぐれず、
結構寝て過ごしたのですが、今日もまだ抜けきっていないですな。
昨日日中は結構でかけっぱなしだったし。
あんまり休まっていないのかも。

さて、掲題のエントリ第3回。


(4)身の丈に応じてではありますが、幅広く保護(「おっさんずラブ」)

…これを書くと“炎上”しかねないよな、とおもうのですが、
田中圭って、かっこいいの?よくわからん。役者さんなので演技がうまければそれでよいのだけど、イケメンなのか、というと…

ま、時代に応じて美醜の基準は変わりますからね。

ともあれ、今年を代表するドラマのひとつ(だったらしい…観てないのでようコメントせん)。
で、こういうドラマタイトルについて、テレビ局だったり製作会社だったりが商標権を取得している例は多い。
本件もそう。

で、問題はその保護範囲。
詳しくは、2回前のエントリで「称呼検索」の仕方を載せておいたので、これに沿って「オッサンズラブ」で検索してみていただければと思うのですが、
映像関係にとどまらず、まあ幅広く取得している。
グッズ展開するとなると、こういう感じで幅広く抑えることになる。

「カフェにおける飲食物の提供」とか、「宿泊施設の提供」とか、なんかやだな、生々しくて(笑)
恐らく自身の使用を意図しているというより短期的な模倣被害の防止、という観点だとは思われる。
不使用取消は登録から3年経過しないと請求されることはないから、まあほとぼりが冷める頃までは権利も取消されることがないし目的は果たす、ということなのだろう。

商標は、自身が使用をする商品/サービスについて権利取得する、というのが基本姿勢。
なので、この出願は「原則的」ではない、ということは踏まえておくべき。
とは言いつつ、最初の3年間は自身が使用をしていなくてもそのことで権利を消滅させられるリスクはないので、今は具体的な計画は無いけど近い将来グッズを出すかも、ということならば、流行りだしたら出願をしておくというのはスタンスとしてはあり。
区分が増えるとその分コストもかかるので、身の丈に応じて、ということにはなりますけど、ね。



というわけで、3回にわたりお送りしてきたこの特集も今回で最後。
果たして大賞に選ばれるのはどの流行語なのか…?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2018(第2回)

2018年11月09日 08時28分33秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
ここんとこスッキリしないお天気が多いですな。今日も雨降りそぼる@湘南地方です。

さて、昨日の続き。

(3)パリ優先権と分割出願 「TikTok」

全く関心が無い、と思っても知らず知らず耳に入ってくるのだから、やっぱり流行しているんでしょうね、「TikTok」。
提供元は中国のメディア企業Bytedance、というところだそうで。中国企業なんだ、初めて知った。

さて、この「TikTok」、サービス開始は2016年9月とのことですが、日本での出願行動はちょっと遅めの2017年11月29日。
市場として有望視できるようになってから、ということなのでしょうか。




但し、他の国で先に出願を行っていたので、その出願日の利益(=優先権)を主張して出願しています。
商標は、第1国出願から6月以内であれば優先権主張可能です。



ところで、この「TikTok」はアプリなので9類確保がマストだと思うのですが、指定商品としては記載されていません。
この点調べてみると、

出願当初は記載していたのだけれど、


4条1項11号で拒絶されています。
これへの対処として、出願人は出願の分割を行っています。
拒絶理由が無いところは残して先に権利化してしまい、指摘されたところを分割して争う、というのが基本的な使い方。
本件は親出願でパリ優先権も主張しているので子もその利益を引き継ぐ。




この出願は現在も特許庁に係属中。

一点疑問が。
分割の親出願の【先願権発生日】は「2017年11月29日」つまり現実の出願日、
分割の子出願の【先願権発生日】は「2017年10月23日」つまり第1国であるインドの出願日。
インドの出願を見れば判ることなんだろうけど、これはインド出願で指定していた商品/役務が子出願にしか含まれてないから親出願の先願権発生日が事後的に繰り下がったのか、それともJ-PlatPat上審査係属中は形式整ってさえいれば一律に優先日表示するのか。。。
短答か口述試験ででも訊かれそうな、ちょっとマニアックな事案、なのかな。


今日は1件だけ。明日に続く、、、のか?もうあんまりネタがなさそう。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2018(第1回)

2018年11月08日 08時02分52秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
おー、今日は快晴ッ! な@湘南地方です。

さて、この話題が出てくると今年も終わりが近付いてきたのだなぁ、と感じずにはいられないのですが、
ユーキャン 新語・流行語大賞
の候補がノミネートされました。

今年で7回目になります。今年も、候補となっている言葉の中から、商標的に面白いネタになる言葉を取り上げていきたいと思います。
ただ、世の知財リテラシーが高まっている(!?)のか、すでにいくつかの語は商標絡みのニュースになった経緯もあるものです。
例えば…

・「(大迫)半端ないって」→6/26のエントリでもネタにしてます。
・「そだねー」→これは、Facebookの方で取り上げたんだった。

まあその他にも色々と面白そうな言葉がノミネートされているので、ちょっといくつか取り上げてみます。

<ちなみに、過去の同シリーズのエントリはこちら>
2012年 
2013年 
2014年
2015年 
2016年 
2017年

(1)「ひょっこりはん」

BGMの著作権侵害でも話題(!?)になったひょっこりはん。
“なにが面白いのか判らない”とか叩かれつつも一時期はテレビに出ない日は無かったほど。

…で、誰かが商標取っているかというと、見当たらず。
※こういうときは、J-PlatPatの「称呼検索」という画面で検索します。


(メニューから「商標」>ドロップダウンで「称呼検索」を選択)


(称呼のボックスに、調べたい称呼(=音)をカタカナで入力。調べる指定商品/指定役務も決まっているなら類似群コード等も入力)

なんか近いところで、「ひょっこりさん」というのが出てきた。
仮に「ひょっこりはん」を出願したら、「ひょっこりさん」と類似とされる可能性は、そこそこあるかなぁ。
目立ちにくい位置で[ハ]と[サ]という母音同じな一音相違。

なお「ひょっこりさん」は顔の図形付きの結合商標。顔はひげ面でメガネはかけておらず、あの「ひょっこりはん」とは似ていない。

(ちなみに「ひょっこりさん」、LINEスタンプも販売されている様子。結構有名なキャラ…?)


(2)みんなもぐもぐし過ぎ…「もぐもぐタイム」

「そだねー」とともにお茶の間にほっこり感を提供したのが、女子カーリングの栄養補給&作戦会議シーン、通称「もぐもぐタイム」。正式には「デッドタイム」というそうです。
…結構みなさんこぞって出願中。



平昌五輪で話題になったのが2月頃なので、大半の出願はそれ以降のもの。
1件だけ、それ以前に出願したものがある。
指定商品も他と違って、おもちゃ、ぬいぐるみ、その他身の回り品関係で食べ物じゃない。
なのに審査経過をみると、3条1項各号(=独占適応性がない、という拒絶理由)で拒絶理由通知書が出されている。

3条の判断時点は「査定・審決時」なので、出願していた言葉がその後に偶然めちゃめちゃ話題になって独占性を満たさなくなる、ということは理屈上無いわけではない。
でもなあ、指定商品がこの言葉とはあんまり関係ないもんなぁ。敢えて言えば「洋食ナイフ」とか「スプーン」とか「フォーク」とかが指定されているから、これらの指定商品との関係で独占性なし、ということ?
それもちょっと強引なような。

ちょっと長くなったので、次回に続く。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【知財記事(商標)】「祝祭広場」

2018年11月07日 08時39分58秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
雨も上がり、気持ちの良い空気が流れる@湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(NHK NEWS WEBより引用)
===============================
「祝祭広場」の名称 使用中止を

大分市がJR大分駅前の土地に整備を進めている新たな広場を「祝祭広場」と紹介していることに対し、「祝祭広場」の商標権を持つ大阪の大手デパートから使用をやめるよう求められていたことがわかりました。
大分市は、JR大分駅前にある大型商業施設の跡地を23億円余りで購入し、市民や観光客が利用できる広場として整備する計画で、その広場について住民説明会などで「祝祭広場」と紹介してきました。

ところが、この「祝祭広場」の名称について、商標権を持つ大阪の大手デパートから大分市に対し、使用をやめるよう申し入れを受けていたことがわかりました。

===============================
(引用終わり)

大分市の「祝祭広場」に関するリリースがこちら

で、記事中にもあるけど、この広場をめぐってはシンボルとなる橋形クレーンの安全性について疑問の目が投げかけられていた。
(例えばこんな記事

最終的に橋形クレーンは無くしたようだけど、計画が色々混乱続き。
指摘の元となった登録商標がこちら。


…ちょっと検索すれば出てくるんだけどな。
例えばこんな感じで現に使用もしており、ぐうの音も出ない状態。
少し前のベルばら風キャラを広報掲載した札幌市もそうだけど、自治体の知財リテラシーに問題がある事案がここのところちょこちょこ見受けられる。
判らなければ専門家に訊けばよいのに。
というより、アンテナ自体が立ってないということが一番の問題。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【知財記事(商標)】元号の商標登録は不可…?

2018年11月06日 08時28分06秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
なんだかここんとこグズつき気味な天気の@湘南地方です。

さて、今朝はこんな記事

(時事ドットコムより引用)
===============================
元号の商標登録は不可=新旧ともルール明確化

皇位継承に伴う来年5月の改元に向け、政府は同2月に商標審査基準を改定し、新旧の元号を含む商標は原則登録できないことを明文化する方針を固めた。ルールを明確化し、新元号を事前公表した場合に便乗商法が広がるのを防ぐのが狙い。ただ、国民に広く知られている「明治ホールディングス」などのケースは引き続き認める。
===============================
(引用終わり)

相変わらず記事の書き方にちょっと違和感。。
これだと、「元号」自体が「不登録事由」(4条)であるかのように読める。
しかしそうではなく、
実際のところ産業構造審議会で議論されている審査基準の改訂は、商標法第3条第1項第6号=商標としての「登録要件」に関するもの。
そもそも現状「元号」について言及しているのも同じ条項の審査基準。

現行の審査基準における「元号」に関する言及は以下の通り。

=====
4.現元号を表示する商標について
商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。
=====


で、改正案がここ何回かで色々揉まれているところなのだけど、直近の第26回で議論された改定案が以下の通り。

=====
4.元号を表示する商標について
商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。
元号として認識されるにすぎない場合と判断する考慮要素としては、例えば、元号が会社の創立時期、商品の製造時期、過去の出来事の日付・期間を表示するものとして一般的に用いられていることが考えられる。
=====


それで、議事録を読むと、
・特に「過去の出来事の日付・期間」という用語が、商品・役務との関係では全く書かれておらず、歴史上、過去に起きた出来事の日付とか期間を表示するものとして一般的に用いられているものも全てここに含まれて全部拒絶されてしまうという懸念がある
・「一般的に用いられていること」であって、過去でない、将来の出来事、予定している出来事などに関する出願も考えられるから、もし「出来事」という文言を残すのであれば、「過去の」という限定は要らないのではないか
・「考慮要素としては……が考えられる。」という言い方になっているので、そこについては、はっきり「判断する。」とか「考慮する。」という形で言い切ってもらったほうが審査基準としてわかりやすい

等と言った意見が出ており、更に修正が図られる模様。

そうだよなー。「元号」って言っちゃうと嘉永とか天保とかも元号だもんなぁ。
というか、そもそも「商標が、元号として認識されるにすぎない場合」なので、
元号とその他の識別力がある語との結合なら基本的には問題ない。

とはいえ、次の元号を“予測”して行われる出願について、通常ベースの審査が行われた場合のファーストアクションが出るのは、たぶん元号が変わってから。
なので仮に審査基準改定が追い付かなくても査定/審決時には「現元号」になるんだろうけどね。

ともあれ、いまどきの商標採択にあたって元号周りのネーミングを狙う、という姿勢も正直どんなもんかなぁ、と思ったりします。
逆にダサカッコ良かったりするのかな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする