弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

おかげさまで事務所開設8周年!
今後とも宜しくお願いします。

【農水知財】有力ブランド、日英協定で最終調整(ブレグジットの影響)

2020年08月03日 08時43分45秒 | 農水知財
おはようございます!
朝から夏ソングをBGMでガンガンにかけてます@湘南地方です。
今はARASHIの「夏疾風」がかかっています。

さて、今日はこんな記事。

(JIJI.comより引用)
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「スコッチ」「神戸ビーフ」保護 有力ブランド、日英協定で最終調整

日英両政府が今夏の大筋合意を目指す新たな貿易協定で、「スコッチウイスキー」や「神戸ビーフ」など双方の有力農産品、酒類のブランドを保護する見通しとなったことが1日、分かった。発効済みの日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)と同水準の保護策を導入する方向で日英が最終調整に入った。
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(引用終わり)

ブレグジットの影響で日-EU EPAからイギリスが外れるので、これを改めて担保する措置。
記事見出しは「スコッチ」と「神戸ビーフ」を並列で書いているけど、「スコッチ」はお酒なので酒類GI(日本では国税庁管轄)ですな。
ちなみにこれまで日-EUでどういったものが相互保護の対象になっていたかと言うと、こちらとかこちらに詳しい。

そもそもブレグジットも、このコロナ禍の影響を少なからず受けているものと思われる。
移行期間は延長されるのかな…と思っていたがこちらの記事を見る限り既に延長期限も過ぎているとのこと。
さてさてどうなることやら。


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【農水知財】豚入門

2020年07月24日 08時32分35秒 | 農水知財
おはようございます!
今日も梅雨空曇り空、な@湘南地方です。

さてさて、連休二日目。
昨日はそこそこ運動もできたし野菜も取れたし。
体調は改善で来たんじゃないかな。

そんななか、FBつながりのお肉屋さんの投稿を見て脊髄反射的に購入。
銘柄豚肉ハンドブック2020

※牛肉の方はamazonでは在庫切れやった…。

購入の目的:
・銘柄豚肉の全体像の把握
・商標登録/GI登録している銘柄の比率の把握
・銘柄規約(=生産基準、と思えば良いのかな?)の有無と可能ならばその内容

要は、銘柄肉が銘柄肉として地位を維持確立していくための仕組みと実践状況、
理想と現実にギャップがある場合、それはどこに理由があるのか、について調べてみたかった。

収録されている銘柄数は全部で420。
これらのうち商標登録しているものは、ざっと見この6~7割くらい。
一方、「~豚」「~ポーク」×指定商品「豚肉」(32A01)で登録されている商標の数は1126。
地域特産品化を目指してとん挫したものが少なからずあるのか、単にアンケートに対応してないだけなのか
(収録されているのはアンケートに回答したもののみ)。

各銘柄の「特長」欄を見てみてもスタンスはさまざまで、
独特の飼料を給餌したり、地下●●mから汲み上げる自然水を与えていることを熱く書いているものもあれば、抽象的情緒的な表現にとどめている(具体的な中身には触れていない)ものもあり。

こうやって見てると、「豚」って一括りにしちゃいけないくらい個性あるなぁ、と思う。
ちょっとずつ勉強していこうかと思います。
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【農水知財】十勝川西長いも、知財功労賞

2020年07月02日 08時30分52秒 | 農水知財
おはようございます!
昨夜の土砂降り雨が嘘のような“すかっ晴れ”の今朝の@湘南地方です。
…はい、昨夜は完全に帰るタイミングを間違えました。
「人生で歩いた土砂降りランキングベスト3に入るかもな…」なんてことを考えながらびちゃびちゃ帰っておりました。

さてさて、経済産業省、特許庁が表彰する「知財功労賞」。
その中に帯広市川西農業協同組合が名を連ねていました。
受賞のポイントはこちらに記載されているのだけれど、
多面的な活動の結晶、というイメージ。

[ブランド保護]地域団体商標を北海道で最初に取得/GIも取得
[販路拡大] 国ごとの嗜好性に応じサイズを分け、国内では規格外の太物を台湾に輸出
[品質管理] 商標の運用管理規定を整備/HACCP認証取得/SQF認証取得

単に権利を取得するだけじゃなく(当たり前)、
品質を担保するマークとして商標を機能させるために品質管理を規格化している。

こういう運用をしっかり管理する人が中にいる組合は、強いよなー。
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【農水知財】種苗法改正、断念へ

2020年05月21日 09時20分01秒 | 農水知財
おはようございます。
今日もひんやり曇り空、な@湘南地方です。


さて、今日は甲子園の話題を書こうかな…と思っていたら飛び込んできたこんな話題

(毎日新聞より引用)
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「種苗法改正案」今国会成立を断念へ 柴咲コウさんの懸念ツイートで慎重論拡大

自民党の森山裕国対委員長は20日、ブランド農産品種の苗木などを海外に持ち出すことを規制する種苗法改正案の今国会での成立を見送る方針を示唆した。農作物の自由な栽培が難しくなるとの懸念を野党などが示しているためで、記者団に「日本の農家をしっかり守る法律だが、どうも逆に伝わっている」と述べ、成立には時間が必要だとの認識を示した。また「国会には会期がある。まず森林組合法改正案の審議を進める」とも述べた。

(以下略)
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(引用終わり)

…あーあ。

芸能人が政治に口出しするな、とかは全く思ってないですが、
どんな立場の人であれ、政治的な(※)発言するなら最低限、それなりに勉強してからにしませんか?とは思います。
(※)ここでいう「政治的な」=“立法その他で他人の権利義務関係に影響を及ぼす可能性がある話題についての”という意味です。

彼女は、「登録品種」と「一般品種」の違いを理解して発言されたのだろうか?
今回の改正案で自家採種が制限されるのは「登録品種」だけでした。
品種登録してるのに農家は自家採種OKっていう現状の方がむしろアンバランスだった、と思いますが。


個人攻撃をする気はありませんが、本件に関する最初の(と思われる)ツイートの書き出しが

“新型コロナの水面下で、「種苗法」改正が行われようとしています。…”

いやいやいやいや、本件、コロナの「コ」の字が出るずーっと前から議論されてましたから。
一官僚の思い付きや一企業の思惑で急に法改正にならないから(そのための官僚制度なわけで)。
有識者からの意見聴取とか、施行した場合に生じる影響のシミュレーションとか、色々ありますから。
そこに参加する人間も、もともとご多忙な方々なのにちゃーんと予習してきていて、その場のノリとかで発言しませんから。

柴咲さんご本人が本当にこう思って書いたのか、それとも誰かの依頼で書いたのかも分かりませんが。

ちゃんと情報ソースを見ようよ…
改正案はこちら
さすがにこれだとわかりにくいので、
法律案の概要がこちら

この概要をちょっと見たらわかるように、
そもそも今回の改正、
自家増殖(自家採種)の件だけではなく、
現物主義から特性表主義に(わずかながら)シフトすることで侵害立証しやすくなったり[←ここが一番インパクト大きいんじゃないかと思っていた]、
これまで問題になっていながら対処ができなかった海外流出に歯止めをかけるために育成者権の実質的強化が図られていた。

これらは、結果日本の農業の強化につながるはなし。

それが全部見送り‥‥
改正案に携わっていた方々のご苦労も存じ上げていただけに、なんともやるせない。

というのと、そうか、こういうの、ちゃんとわかりやすい言葉で発信していかなきゃなぁ。。。と。
烏滸がましいけど、ちゃんと情報発信をしていたら、こういう事態に陥らないために、
ほんの髪の毛一本分(※大事よ、一本だって髪の毛(笑))でも寄与できていた可能性もあったのかなぁ、、と。
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【知財記事(農水知財)】善通寺産四角スイカ

2019年06月29日 11時18分00秒 | 農水知財
おはようございます!
梅雨どきらしい空模様の今朝の@湘南地方です。

今日はコブ2つきで出勤中。

さて、今日はこんな記事

(KSB(瀬戸内海放送)サイト「Park KSB」より引用)
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ユニークな形が人気「四角スイカ」が農産品の保護制度に登録 香川・善通寺市

香川県善通寺市特産の四角いスイカが、地域の農産品を保護する国の制度に登録されました。

農林水産省が知的財産として保護、付加価値を高めるGI保護制度に「善通寺産四角スイカ」が登録されました。成熟前のスイカを立方体のケースに入れてサイコロのような形に育てたものです。
善通寺市で約50年前から栽培が始まり、現在は9軒の農家が毎年、約500個を育てています。

ユニークな形が人気で観賞・贈答用として東京や大阪などに1個1万円前後で出荷されています。立方体の栽培容器の特許を取得するなど栽培方法を確立していることなどが登録の理由です。
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(引用終わり)

農水省の産品紹介ページはこちら

…いや、GI産品としては正直ちょっと違和感があるけど、、、
特性が生産地に主として帰せられる理由って何だろうと思ってみてみたら、
「「善通寺産四角スイカ」は、香川県農業協同組合が中心となり、スイカ作りが盛んな善通寺市において、付加価値の高いスイカの生産を目的として開発が始まった。
香川県農業協同組合は、美しい四角い形のスイカの生産が可能となるよう、成型栽培容器の材質や大きさ等について長年にわたり研究し、試行錯誤を続けてきたものであり、平成16年には成型栽培容器について特許を取得し(特許番号:特許第3583386号、特許権者:香川県農業協同組合)、成型栽培方法を確立した。また、美しい外観の四角スイカを生産するためには、成型栽培容器で栽培するスイカの選抜が重要となるが、選抜技術についても香川県農業協同組合が中心となり地域で伝承する体制を整えている。」
とのこと(一部抜粋)。

こういうのでもGIになるのね。気候風土の問題じゃないやん。。
ともあれ、知財制度を活用してプロモーションを行った例、という意味では注目してもよいかも。

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【農水知財】大きなサクランボ

2019年06月06日 08時38分20秒 | 農水知財
おはようございます!
快晴ッ!な今朝の@湘南地方です。
今日はもう少ししたらお出かけです。


さて、今日はこんな記事

(日本農業新聞より引用)
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サクランボ「やまがた紅王」命名 “超大玉”500円玉サイズ

山形県の吉村美栄子知事は4日、県産の500円玉大の超大玉サクランボ新品種「山形C12号」の名称を「やまがた紅王(べにおう)」と決めたと発表した。
2022年度の先行販売、23年度の本格販売を目指す。輸出も視野に、香港や台湾、中国、韓国でも同名の商標登録を出願した。名称公募に1万5034件の応募があり、「山形紅王」の6件を含め、「紅王」が97件で最も多かった。

命名について県は、「“サクランボの王様”の風格にふさわしい。親しみやすく、さくらんぼ県を内外にアピールできる」と説明。

(以下略)

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(引用終わり)

J-Platpatへのデータ集積は未済の模様だが、こちらのプレスリリースに詳細が書かれていた。

品種登録の出願は2017年にされていた。
500円玉サイズのサクランボって、食べがいありそうだな。

商標はアジア諸国にも出願済とのことだが、品種登録はどうなのだろう?
このあたり、記事によれば生産は登録制で、登録先に苗木を供給することでコントロールするかたちのようだが、
流出してしまった場合の対策は取れているのだろうか。
プレスリリースのタイミングを商標の出願公開公報のタイミングと合わせているなど、きちっとした印象を受けるので大丈夫だろうとは思うけど。



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【農水知財】トピックスが盛りだくさん

2019年03月28日 08時12分04秒 | 農水知財
おはようございます!
今日はやや曇り空な@湘南地方です。

さて、昨日は公務=農水知財対応委員会の年度最後の会合でした。
ある意味ホットな分野。で、面白い先生方がたくさんいらっしゃって充実した時間でした。

そんな中、今朝はこんな記事も。

(JIJI.COMより引用)
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農作物品種の流出防止へ=知財として保護強化-農水省検討会

農林水産省は27日、イチゴやブドウなど、日本で開発された農作物新品種の海外流出を防ぐ方策を協議する検討会の初会合を開いた。
知的財産として登録を強化し、より実効性のある保護策を講じていく。

植物の新品種については、種苗法に基づき品種登録を行えば育成者権が発生し、種苗や収穫物を独占できる知的財産制度がある。ただ、この制度は10年以上見直されておらず、登録数も停滞。農家の間では登録品種が知財だとの認識が薄いとの指摘もある。 

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(引用終わり)

次年度もまあ、色々と話題が盛りだくさんなんだろうな。。。
うちの業界に期待されている役割もそれだけ多いということ。
春からも、気を引き締めていきましょう。

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【農水知財】晴王

2019年03月19日 07時50分15秒 | 農水知財
おはようございます!
曇り空ちょっとどんよりな今朝の@湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(日本農業新聞より引用)
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県産ブランド 侵害許さぬ 知的財産保護を強化
桃やブドウ 海外で商標出願へ 岡山県


岡山県は2019年度、海外での県育成品種や県ブランド農産物などの知的財産保護の強化に乗り出す。
海外では桃やブドウなど県ブランド農産物の模倣品が横行し、第三者が商標出願する事態も起きている。
海外でのブランド侵害の調査や品種、商標の登録に向けた対象国を広げる。輸出に取り組む生産者の相談対応も強化する。

(以下略)
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(引用終わり)

掲題の「晴王」は、岡山県のシャインマスカットのブランド名称なのだそうだが(すみません不勉強でした)、例によってというか、中国で第三者に商標登録出願されてしまっていたらしい。で、現在異議申立て中。
県としても予算措置を取るようで、前年比3倍超の知財総合支援事業費を計上。

ほんと、後から対処するより前もって対策しておく方が結果リーズナブルなのはどの分野でもそうなのだろうけど、知財は特にそうかも。
出願にかかる費用/手間と後から異議・無効を立てる費用/手間の差ったらないので。


ちなみに。

この記事のページには「日本弁理士会」のバナー広告が張られている。以前に比べたらだいぶ柔らかい印象のサイトになっているのでクリックしてみてくださいな。
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【農業知財】スマート農業の知財保護にガイドライン

2018年03月22日 07時43分57秒 | 農水知財
おはようございます!
まだ結構寒い今朝の湘南地方です。
でも日中は17℃まで上がるらしい。体調管理に注意ですな。

さて、日刊工業新聞でこんな記事がリリースされていました。

「スマート農業の知財保護 農水省、29日初会合 秋に指針」
有料記事なので引用は避け、要点だけをかいつまむと以下の通り。

・農業現場における知財保護のためのガイドライン策定への取組みが開始する。29日に初会合。
・スマート農業の浸透により熟練農家の栽培ノウハウがデータベースに取り込まれる傾向が強まる。
・多くの農家にとってそのノウハウを活用できることで生産性/品質向上につながる。
・一方で適切な保護が図られないとノウハウ盗用のリスクが。そのためノウハウ供与を渋る可能性も。
・そこで、交通整理。契約状況のひな型を作成。

前々からこの分野に関心は持っていたところだけど、ようやく動き出すらしい。
次年度の研究課題かなぁ。
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【農水知財】「守れ」と言われても…本人にその気がないと。。

2018年03月15日 08時05分09秒 | 農水知財
おはようございます!
引き続き春の柔らかい日差しと花粉が降り注ぐ今朝の湘南地方です。

昨日のパネルディスカッション「マルシェを活かした街づくり」、
無事成功裏に終えることができました。まずは一安心。

さて、今朝はこんな記事。

(日本経済新聞より引用)
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国内農業の知財を守れ 論説委員 志田 富雄

「シャインマスカットやスカイベリーは手遅れだ。シャインマスカットの損失だけで1千億円にのぼるかもしれない」(農林水産省食料産業局の杉中淳知的財産課長)

シャインマスカットは広島県にある果樹試験場で育成され、2006年に品種登録された種なしブドウのヒット作だ。甘みが強く、皮ごと食べられることが魅力で、店頭では1房1000円以上の値札が付くことも珍しくない。
(以下略)

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(引用終わり)

有料会員向け記事なのでハンパなところで引用止めますが、、、要点としては
・シャインマスカットもスカイベリーといった主力品種が中国に持ち出されている
・海外で種苗法の保護を受けるためには、譲渡開始から4年以内に当該国で登録し育成者権を得る必要がある
・国内で権利を持っていても、海外での流通には打つ手がない
・なんなら商標登録もされてしまっているケースもある
という、確かに「手遅れ」な状況。

急に海外展開を考える事態になったもんだから、対応できてないというのが実際のところ、だよなぁ。
特許の場合もそうだけれど、最初から海外を視野に入れた商品開発してないと、
わざわざコスト掛けてまで国際出願しようとは思わないだろうし。

国策として農産品輸出の道を拓いていくために海外での保護を受けることを推奨する、というのであれば、
収益償還を前提とした助成制度を設けるなどしないと、育成者が一時に背負うリスクが大きすぎるような気がする。

コスト発生のタイミングと事業としての成功可能性。
もちろん当事者がシビアに見極めて行動していくべきなのだけど、encourageする工夫は必要かな、と。
バラマキじゃなく、リスクコントロールの支援を。そうでないと、生産者/育成者本人としてはリスクテイクの動機が乏しい状況に見える。


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