弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

おかげさまで事務所開設8周年!
今後とも宜しくお願いします。

【特許】出願等統計速報

2020年07月31日 09時08分56秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
夏を待ちきれずにセミがさみしげに泣いている今朝の@湘南地方です。

さて、週に一度くらいは知財ネタ…といいつつ今日は統計関係。
5月までのラップが発表されたとのことで。
果たしてコロナ禍の影響はいかに。。。

というより、コロナの影響というよりは全体的な「地盤沈下」だなぁ。
2月段階ですでに前年比8%の落ち込みだし。
業界的には景気の影響は遅れてくるけど、後退局面が目に見えるかたちであらわれてきたということかなぁ。

複線的に事業を構えていかなければいけないですかねぇ。。
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【実務関係(知財統計)】特許行政年次報告書2020

2020年07月15日 08時38分07秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
どんより曇り空な今朝の@湘南地方です。

さて、毎年この時期に公表されている掲題の件
年ごとのトレンド、またそもそも特許なら特許が年間何件程度出願されているか、という
「相場感」を知っておくことは大事だと思うので関心を持ってチェックしています。

肌感覚と違うことの“感覚の調整”という面もある。

例えば、ここんとこ自分の仕事としては取り扱いが増加傾向な審判の件数。
商標の不服審判、2019年は811件。感覚的にはその倍程度はあるものと思っていた。

或いは、弁理士の登録人数。合格者数の減少とともに全体数も漸減しているとおもっていたら
実は今も緩やかではあるが増加していた(現状登録者数は11,488人)。

特許登録率(※特許出願件数に対する特許登録件数の割合なので審査請求していない件数も含み、純粋な査定率とは異なる)が約55%
こちらも感覚よりも高い。
出願件数が漸減しているのに対して審査請求件数はほぼ横ばいなので、率としては上がっている。
出願人としても戦略的に出願段階で案件を選別しているのかな、と感じる。

特許の拒絶査定不服審判の請求成立率=68%。
まあ、前置審査で特許になっているものも含まれているからこの数字なのだろうけど、意外と高いな。

一方で商標では「特許登録率」のような指標は無いけど、
敢えて「商標登録率」(=商標登録出願件数に対する商標登録件数の割合)をみると、109,859/190,773=約58%
こちらは、肌感覚よりもかなり低いな。

とまあ、全体像を踏まえて自分の仕事を見つめ直してみるのもときには大事。
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【知財戦略】知的財産推進計画2020 ~ニュー・ノーマル~

2020年05月28日 08時45分23秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
今日も心地よい風そよぐ@湘南地方です。

さて、掲題の件、知財戦略本部から昨日案がリリースされました。

知財業界に身を置くものとして、…一応、概要だけ頑張って読んでみました。
が、「ぼわ~っとしていてよくわからん」が本音。

知財戦略2019のキーワード「脱平均」「融合」「共感」については、まあそれなりにのみ込みやすいコンセプトだったなぁ、と思うけど。
今年のは、なんていうんだろ、つかみどころがない印象。

まあ、取りまとめ時期になって突如として顕れたウイルス騒動を盛り込まないわけにもいかず、
鋭意討議を重ねた結果としての案だとは思うんですけど。。

「ニュー・ノーマル」と知財戦略、って、うーん、
今現場で場当たり的にやっているものと、大局観を示すべきものとがなかなか頭の中でかみ合わないなぁ、と。
既存の戦略に従って個々の対応を実行できているのならば、(多少の修正は伴うにしても)戦略としては現状で良しなのだろうし、
新たな戦略構築が必要ならば、何をもって「ニュー・ノーマル」と定義づけ、どのようにこれに対処していくのかを決めるには
それこそ拙速に過ぎると思う。

いや、繰り返しになるんですけど、この期に及んでコロナを無視した戦略立案はナンセンスなのはわかるんですけどね。

「戦略」って、客体を掴み切らないとグダグダになってしまうと思うんですよね。
今後の情勢が流動的な現時点では、“暫定的な方針”程度とするのが妥当な気がする。

実際「総論」で示されている項目って、こういう感じ。
・クールジャパン関連分野が甚大な被害を受けている→緊急経済対策等によりその存続を確保する
・日本経済の再活性化のためにクールジャパンの取組は重要→幅広い分野において必要な措置を検討する
・新型コロナが及ぼす短期的・中長期的な影響を十分に調査分析し、日本のプロモーション戦略を工夫する必要
 →医療体制や公的保険制度などの社会制度等について、クールジャパンの文脈でアピールすることも重要

…どうでしょう?「戦略」なのかしらん。

なんだか批判的なスタンスになってしまっていて本意ではないのだけど、
戦略としての重要な「背骨」は、
・日本の高品質なコンテンツを産業の柱として維持成長させるため、人的/金銭的資源を戦略的に投入する、又は投入される仕組みを作る
・コンテンツとしての価値とその保護にギャップがある分野について、制度整備と啓蒙を行い、避けられる流出と劣化を防止する
・「クール・ジャパン」と称している高品質なコンテンツが、今後も再生産されていくための環境の保持を行う

といったことではないのかな、と思っている。
それは、プレコロナだろうがポストコロナだろうが変わらない。

戦略の立て直しというよりは、「既存の戦略実行に支障が生じている場面に対する手当」が重要なのではなかな、と思う。
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【特実意商】知財支援策まる分かりガイド(特許庁)

2020年05月27日 09時08分12秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
蒸し暑さが日に日に増している@湘南地方です。

昨日は新宿で打合せ、帰りが22時過ぎとやや遅め。
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、人出はまばら。というかがらっがら。


まあ、人混みが苦手なわたしとしてはありがたいのだけれど、、、来週あたりからは活気が戻るのかなぁ。

さて、気付かないうちにこんなのがリリースされてました。
知財支援策まる分かりガイド

権利取得場面から活用、海外展開までメニューが揃っています。
使える制度は使った方が良いです。
ここに載っている情報のうち、「もうけの花道 知財戦略のススメ」は、かなりオススメ。

サービスのいくつかが無料で受けられることも、手許が心もとない企業にとっては心強いことでしょう。
まあだからこそ、我々のような専門家/支援者の立ち位置にいる人間も、有料だからこその品質を担保していかなければいけないわけで。
「民業圧迫」と捉えるのは後ろ向きで、むしろ「サービス品質向上のための“下敷き”」と捉える方が良い。
事例集として紹介できるようなきれいなパターンじゃない実例を多数経験しているからこそ得られている知恵や知見もありますし、ね。

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【知財記事(特許)】ワクチンに特許制限

2020年05月20日 09時02分08秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
今日は急に「肌寒い」くらいの、@湘南地方です。

今朝は2000年代J-POPでスタート。今は「ポリリズム」が流れています。

さて、今日はこんな記事

(日経電子版より引用)
=============================
ワクチンに特許制限
安く広く普及目指す WHO採択、米は慎重姿勢

新型コロナウイルスのワクチン開発競争が激しくなるなか、実用化後にワクチンを世界各地へ公平に普及させる仕組みづくりが課題として浮上してきた。世界保健機関(WHO)は19日、ワクチンを最初に開発した企業の特許権に制限をかけ、安くワクチンを供給することなどで協調をめざす決議案を採択した。ただ製薬企業にとっては「ドル箱」になるだけに、開発で先行する米国などの慎重姿勢は強い。
(以下略)
=============================
(引用終わり)

特許制度自体、「保護」と「利用」の調和の観点から設計されているもの。
ここでいう調和、平たく言えば、

“先行投資して研究開発してんのに勝手にマネされたら採算取れない”→“んじゃ研究開発やめて他社のベンチマークしとこ”
→→こんな企業ばっかり増えたらだれも新しいもの/便利なことを生み出さなくなっちゃうじゃん!?
…はい。新しいものを最初に考えた人には期間限定で独占権与えまーす。
その間に独占販売するなり他社にライセンスするなりして投資回収してくださーい。
その代わり、考えた新しいことは技術の進歩のためにオープンにしてね。


という制度(語弊はあると思う)。

ただ医薬品の場合、常にこの理屈が優先するわけではない。
今回のような感染症の蔓延はまさにそう。

記事でいうところの「世界貿易機関(WTO)協定で認められている」「強制実施権」の規定(TRIPS協定)は、ここの第31条に記載されている以下の通り。

第31条 特許権者の許諾を得ていない他の使用

加盟国の国内法令により,特許権者の許諾を得ていない特許の対象の他の使用(政府による使用又は政府により許諾された第三者による使用を含む。)を認める場合には,次の規定を尊重する。
(注)「他の使用」とは,前条の規定に基づき認められる使用以外の使用をいう。

(f) 他の使用は,主として当該他の使用を許諾する加盟国の国内市場への供給のために許諾される。


国内法で対応するのは…93条で良いのかな?

(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)
第九十三条 特許発明の実施が公共の利益のため特に必要であるときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、経済産業大臣の裁定を請求することができる。
3 第八十四条、第八十四条の二、第八十五条第一項及び第八十六条から第九十一条の二までの規定は、前項の裁定に準用する。


そうか、86条2項準用で、実施権設定の対価についても裁定の対象になるのか。

これまで日本国内でこの規定が適用されたことは、無いんじゃないだろうか?(知ってたら教えてください偉い人)
制度の建付けとしては、「実施をしようとする者」が「許諾について協議を求め」ることが前提で(協議前置)、
協議不成立/不能の場合に裁定請求が可能になる、と。

特許権者の利益(少なくとも、第三者による利用可能性とのバランス)は、公共の利益という別の要素が加味されることで
そのバランスが修正される、ということ。

…でも、実際にこの規定が適用される場面が訪れたとして、
特許権者(おそらく海外の製薬会社)との関係で協議→裁定と移行して
通常のロイヤリティよりも著しく低率なロイヤリティで裁定された場合、、、すんなり丸く収まるとは思えないのだが。。
国同士のパワーバランスの中、どう泳ぐかが国として文字通り「死活問題」になりかねない。

まあ、そういう先鋭的な状況に陥らないようにするために、WTOとしても“雰囲気づくり”をしている、と理解するのが適切なのかな、と。
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【特許】特許庁が特許を取得

2020年05月12日 08時20分27秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
曇り空の@湘南地方です。
昨日よりは、少し気温は低めかな。蒸し暑いけど。

さて、今日はこんなニュース

(経済産業省HPより引用)
=========================
特許庁が特許文献検索システムに関する特許権を取得しました

特許の審査では、世界中の膨大な数の特許文献を調査する必要があります。
この調査を適切に行うためには、世界中から発行される特許文献をデータベースに蓄積し、常に最新の状態に更新する必要があります。特に、特許文献のデータ構造は、発行される国・地域によって言語のみならず形式なども異なることから、それらを適切に検索できるような形に変換して蓄積することは、特許審査の質を保つためにも重要です。

特許庁では、これらの課題に対応するため、実験的にAI技術等も駆使して、言語及び特許分類(*1)の種類が様々である世界中の特許文献を、希望する言語や特許分類(例えば、日本語、及び、日本の詳細な特許分類であるFI)にて、一括して検索することを可能とする特許文献検索システムやそのための管理システム(あわせて、「アドパス」)を開発し、これに関する技術について特許権を取得しました。
(以下略)
=========================
(引用終わり)

取得した特許の内容はこちら(特許第6691280号)。

特許権者は「特許庁長官」。
なるほど、特許庁長官が特許庁長官に対して出願し、特許庁長官に対して出願審査の請求をし、特許査定の謄本を特許庁長官に送達し、特許証を交付したわけですね。
ちなみに、要約書が職権で訂正されています。

ま、ちょっとちゃかした感じで書いてしまいましたが、万万が一にも特許庁自身が自己実施できなくなってしまったら都合が悪いものね。
なお権利取得されたクレームは、リンクをご参照ください。

これ、仮に拒絶されて審取訴訟までいってたら…「原告 特許庁長官」「被告 特許庁長官」ってことになってたのかな?
ちなみに、特許庁長官が出願人となっている出願は、現時点でこの1件のみ。
今後増えてきたりするのだろうか…?










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【特許】AI・IoT技術の時代における特許制度(4月の産構審)

2020年05月06日 09時11分27秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
一応GW最終日…といっても子供たちは自宅待機延長なのでなんだかよくわからない状況ではあります。
午後からはお天気下り坂だそうで。それを十分に予感させる空模様@湘南地方です。

取り上げるの忘れてましたが、4月の産構審特許小委員会の議事。
3月の日経新聞の記事でもあったようにAIの学習データを特許で保護する方向性で検討中の模様。

検討の方向性についての資料がこちら

AIに関しては、
・AIアルゴリズム自体は、現行制度による保護以上の見直しは必要ないのではないか
・学習用データの保護の在り方の観点から制度の見直しについて検討すべき。
 例えば
 :2条3項の「実施」の定義の見直し(特許発明である「生成方法」によって生み出された「データ」の流通を実施に含める)
 :101条の間接侵害の見直し(特許発明である物の生産や方法の使用に用いる「物」の譲渡等に「データ」を追加)
といった方向性が提示されている。

産業立法なので、世の中の動きに合わせた改正は不可欠、なわけだけど…。
前々から思っているけど、産業分野ごとに保護期間や実施行為の定義を規定するわけにはいかんのだろうか…?
(まあ国際ハーモの観点からは難しいことは理解しているのだけど。)

投資回収までの期間と特許の保護期間との整合性についても、検討はされないものかなぁ。

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【意匠】4月1日から、改正意匠法施行

2020年03月31日 10時40分31秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
不穏な雰囲気の世の中ですが、それでも当たり前にお仕事の期限はやってきます。
はい、今日は年度末。

朝からなんとか作業を進めて、やっとこさ一段落、かな?

そんなこんなバタバタしてますが、業界的には明日は改正意匠法の施行日。
なにがどう変わるか、わかりやすく書かれているのはこちら

実務上どんな影響があるか、というと。。。
保護対象が増えるから意匠登録出願の件数も増加が見込まれる…
特にこれまで意匠法とはあまり関係のなかった業界(建築、不動産、Webデザインなど)も保護を検討すべき…
関連意匠のみに類似する意匠も関連意匠となる他関連意匠制度がかなりリニュアルされるので出願戦略が変わる…
存続期間が変わるので、より長期間の保護が得られるようになる…

とかいろいろあるけど、やっぱり

物品区分表が廃止されて【意匠の物品】の記載がフレキシブルになる点が大きいよなぁ。
手続的にも、権利範囲の広狭に影響を与える、という意味でも。

今、意匠を活用するには良いタイミングだと思いますよー。
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【特許】ここ10年の出願件数推移

2020年03月13日 08時13分35秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
薄曇りの@湘南地方です。

昨日出張から帰ってきました。
この時期に出張することの是否も色々あるのかもしれません。
それでも、「不急不要でない」ものと考えていますので、可能な限りの対策をしてやっております。
ご理解いただければ幸いです(誰にだ)。

さてさて、商標、意匠とやったので、特許の統計紹介(特許行政年次報告書2019より)。



10年の推移でみると、35千件=約1割の目減り。
ただ一方でPCT出願が同期間で約2万件増加している。なので、差し引きでは15千件のマイナス。
そうやって考えると、緩やかな減少傾向、というのが素直な読み方なのかな。

ある程度数字を知っておくことは大事と思い取り上げてみております。

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【意匠】ここ5年の出願件数推移

2020年03月10日 16時23分55秒 | 実務関係(特・実・意)
こんにちは! 雨の札幌です。
…3月に雨、降るんだ。あったかいんだね、今年は。

さてさて、今日は意匠について。
この4月からの大改正施行を控えている意匠法。
これまでの経緯はどうだったかというと…



商標とは異なり意匠では出願公開公報が発行されないため、
特許庁が公表しているデータをそのまま。なので「5年」とタイトルには書きつつ10年分。

まーざっくり、年平均3万件前後を行ったり来たり。

デザイン経営の提唱(といってもここでいうデザイン≠意匠だけど)、法改正で画像デザインや内装等も保護対象になることで
どれくらい件数が動くかは注目ではある。

意匠って、もっと活用されてよいと思うんだよな、という思いがある。
最近だとこんな事件の知財高裁大合議判決も出たのがちょっと話題になっている。
専門家として、「どう活用するか?」の提案力がより強く求められる時代ですなぁ。

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