弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

おかげさまで事務所開設6周年!
今後とも宜しくお願いします。

【知財記事(商標)】「登別温泉」地域団体商標

2018年06月21日 08時23分13秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
雨は一瞬一休み、な感じの今朝の湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(北海道新聞より引用)
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「登別温泉」商標登録出願へ 市、地域団体と協議 「ブランドイメージ守る」

【登別】登別市は19日、「登別温泉」の商標登録を、特許庁の地域団体商標制度を活用して出願する考えを、定例市議会一般質問で明らかにした。

大手民泊サイトで、胆振管内白老町に所在するのにもかかわらず、「登別温泉」をうたった宿泊施設が見つかったため。今後も勝手に名称を使う例が出てくる恐れがあり、市はブランドイメージを守る措置が必要と判断した。

(以下略)
=============================
(引用終わり)

現時点で、「温泉」関係の地域団体商標登録は、約40件
(なんでこんな曖昧な表現か、というと、図形要素っぽいものを付けた登録事例があり一つ一つ検索しないと該当するか否かが判らないということと、
 出願人名に「組合」の語を含むものだけを検索対象にしているので、他の法人格(商工会など)はもし仮にあれば漏れるため)。

例えば、登録第5013723号「湯河原温泉」を例にとると、指定役務は
「湯河原温泉地区における温泉浴場施設の提供。」(←なぜか指定役務表記の最後に「。」をつけてる。初めて見た)のように、
サービスを提供する地域を特定した表記となっている。

商標権のうち禁止権は、権原無き第三者による「同一又は類似」の役務についての使用にまで及ぶから、
湯河原温泉旅館協同組合、その構成員、及び組合から許諾を受けたもの以外は、
①「湯河原温泉地区」において温泉浴場施設の提供を行っても(同一の範囲内)、
②「湯河原温泉地区『以外』」において温泉浴場施設の提供を行っても(類似の範囲内)、
どちらも商標権侵害になる。
ただし①については、同地区内で温泉業/旅館業を営む事業者は通常組合の「構成員たる資格を有する者」にあたるだろうから
正当な理由なく可乳を拒むことはできず、使用は可能ということになる。
したがって、まっとうに組合員になれない、地域外の業者が勝手に「湯河原温泉」と名乗って商売をすることは侵害にあたることになる。

地域ブランドを確立・保持していくためには、その“境界線”をはっきりさせないといけない、
ということを示す典型的な事例。



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【知財記事コメント】本家・元祖の価値を守るもの

2018年06月08日 08時21分33秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
梅雨入りしてから今日もお天気(笑)な、今朝の湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(デイリー新潮より引用)
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カレーの自由軒、家系ラーメンで湧き起こる「本家」「元祖」大論争


家系「工場スープ」の闇

続いては、林立する「家系ラーメン」である。
横浜の「吉村家」を元祖とするラーメン界の巨大ジャンルで、特徴は豚骨醤油スープに極太麺、そして具はチャーシュー・ほうれん草・海苔。吉村家及びその分派で修業をした者が独立し、その味を受け継ぎながら独自の味を作っていく。
しかし、最近は「チェーンの家系」、すなわち亜流、傍流、勝手流が跋扈し、本流を駆逐する勢いである。
感覚的には5年前と比べ、2倍に増えたといっても過言ではなかろう。それはあたかも、湖沼に放たれた外来種が生態系を破壊してゆくさまに似ている。
さる「家系本流」で修業し、独立したある店主は、

「もともと家系では、半径2キロ内に店舗があるのなら、その範囲には作らないという暗黙のルールがありました。『2キロ』というのは、弟子同士が喧嘩しても意味ないでしょという考えが基になっています。それに、(元祖である)吉村家のオヤジは“広がればいいじゃん”って思っていたから、『家系』という商標を登録しなかった。だからチェーンも家系を名乗ることができる

とし、要諦である麺とスープにも言及する。

「家系ラーメンを名乗るのなら、ウチが大事にしている酒井製麺を使うのが前提でしょう。それがないのに家系とはよく言えたものです。以前、ウチのポストに某・家系チェーンのチラシが12枚も入っていたんですよ。その店にチラシを返しに行くと同時に、“工場スープのくせに、職人なめんなよ!”とも言っておきました。ああいった『工場スープ』の店で働いている人は独立できないですよね。工場がトラブったら何も作れない。実力はつかないけど、その反面、デカい声をあげて“いらっしゃいませぇ!”と絶叫するスタイルの接客に力入れたりしています」

…(以下略)

=============================
(引用終わり)

出だしがちょっと言論機関として“なんだかなぁ”とおもったので引用してないです。

赤文字の箇所。
漢気は良いのだけれど、手続きは手続きでしておけばよかったのに、と。

つまり、「登録はしておく。のれん分けしたところからはライセンス料は取らない。のれん分け以外のところでも趣旨に合う(品質を満たす)ものならライセンスする。」
のように、「家系」を名乗るための品質基準管理をした上でコントロールする立場に立っていれば、
“工場スープのくせに、職人なめんなよ!”と罵るほどの憤りを感じずに済んだかもしれません。

正直この歳になるとなかなか家系のお店に入るのに二の足を踏みます。
脂肪分が多めなのもそうですが、上にも書いている接客スタイル。これも家系のアイデンティティですよね。

ちなみに「家系」の文字を含む登録商標を検索すると、複数の権利主体が入り混じって10件程度の「家系」ないし「横浜家系ラーメン」が併存登録されています。
ちょろりちょろりと内容見てみると、はじめのうちは「横浜家系ラーメン」の表示がカブっているものについては拒絶理由通知を出しているのですが、
最近のものはもう出していません。
吉村家のオヤジさんが望んだかたちかは定かでないですが、一般名称ないし品質表示として広がってしまったようです。

マークやネーミングは、ルールを決めないでフリーハンドな状態に置くと、「本家」や「元祖」の意図とは無関係に拡散、希釈化、汚染されてしまいます。
商品やサービスが広く知れ渡ることと、それが品質を維持しつつ特定の名称で認識されることとは、一致しない、
というか、ちゃんとやることをやっておかないと玉石混交の「石」多めになってしまいます。

良いものを作っているんだから、良いものとしてお客様のところに届く仕組みづくりは、作り手側の責任でもあります。
我々も、そのお手伝いをすべく
「そんなしゃらくせえ、ケチくせえこといってんじゃねーよ」と言われながらも
価値の守り手としてお客様に接していくことが大事なのだ、と思います。


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【知財記事】店舗デザインと知的財産権(トレードドレス)

2018年05月30日 08時25分15秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
どんよりした雲が空に漂う今朝の湘南地方です。お昼ごろから雨らしい

さて、昨日までのエントリに関連して、今日はこんな記事

(SankeiBizより引用)
================================
【高論卓説】店舗デザインと知的財産権 意匠法の早期改正で保護範囲を拡大

先日、特許庁が製品のデザインなどを保護する意匠法を改正し、店舗の内外装についても保護するよう保護範囲を広げることを検討していると報じられた。

(中略)

米国では、店舗の内外装について、「トレードドレス」として保護される。トレードドレスとは、「米国で知的財産として認められている概念で、ロゴマークや製品の形状、色彩構成、素材、大きさといった各種要素を含んだ、全体的・総合的なイメージのこと」とされている。これに店舗の内外装も含まれる。

では、わが国において、店舗の外観などが全く法的に保護されないかというと、以下に述べる通り、不正競争防止法により救済されることがある。

(以下略)
================================

詳細は原典をご一読いただきたいですが、ポイントとしては、
・現行の意匠法では店舗内外装は保護対象外
・米国では「トレードドレス」として保護され得る
・日本では不正競争防止法での救済に留まっている。
・意匠登録の対象となるよう法改正されれば、立証負担は大幅に軽減されることから保護に資する。
というところ。

正直なところ、商標法にしたって新しいタイプの商標が保護されるようになって久しいし、
意匠法もそれなりにフレキシブルに改正がなされてきた。液晶画面保護なんかはその一例。
頻繁な改正は産業立法の宿命であるところだが、原則としては、やっぱり一定の「剛性」というか「硬さ」も必要ではないかな、と思う。
昨日もこういう趣旨のことを書いたけど、独占排他権を設権することは、その他大勢の自由に制約を課すこと。
一律に「模倣=悪」という短絡的な構図から制度そのものの変更に手を付けると、世の中は息苦しいものになってしまう。

もちろん、世の実状と法規範の乖離、という点については常に意識すべきことだけど、
改正に至るには“現場”での不都合が生じたという点のみでなく、より上位の規範も考慮した上でのバランスのとれた議論が必要。
ここでいう「上位の規範」に、“例えば外国の法制がこうだから”というのは、あてはまらない。

「トレードドレス」に関しては、もうながーい間俎上にあがっているところ。
上記記事で紹介されている「コメダ珈琲店」の事案の他にも、古くはユニクロ対ダイエーとか、最近だと唐揚げ「からやま」「からよし」の件とか、実際に争いになった事案も積み重なってきているところでもある。
登録制度を導入することでの救済可能性向上を図ることには一定の意味がある、とは考える。

ただ、その枠組み、本当に意匠法なのだろうか…?
24条2項が規定されて以降もなお、裁判所と特許庁の「類似」の判断には依然乖離はある(「(修正)混同説」と「創作説」)。
仮にトレードドレスを登録対象とすることになれば、一連の経緯を踏まえれば「混同説」ベースの審査を余儀なくされると考えられる。
裁判所としては大きくブレはないのだろうけど、特許庁としては一の法規範のなかで、保護対象に応じてスタンスを使い分けて審査することになる…?というのはちょっと節操がない気もする。
まあそれを言い出すと、商標法なんか商標の「定義」そのものを拡張しちゃったわけだから、それと比べると大したことない話、かな…?


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【知財記事】アンブッシュマーケティング…?(番外編)

2018年05月18日 08時39分17秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
久々の自分のデスク@湘南からです。

さて、今日はこんな記事

(日刊ゲンダイより引用)
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便乗商法? 横綱白鵬の“東京五輪浴衣”はマーク無許可使用

「さすがにあの浴衣はどうなのか……」

横綱白鵬(33)の周辺から、疑問の声が上がっている。

問題の浴衣とは、現在白鵬が着ているもの。派手な赤の地に白い文字で「白鵬」と「2020」とあり、さらに五輪マークまで書かれている。これが2020年東京五輪をイメージしていることは一目瞭然。白鵬はかねて「東京五輪までは現役でいたい」と話しており、そのためのアピールだろう。

自らデザインしたという浴衣を関係者に配った横綱は「みんな欲しがるかなあ」と悦に入っていたが、気になるのがそのデザインだ。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のホームページには、「オリンピック・パラリンピックに関するエンブレム、ロゴ、用語、名称をはじめとする知的財産は、日本国内では『商標法』、『不正競争防止法』、『著作権法』等により保護されています」とあり、さらに「その使用には、これら団体からの事前の許諾が必要となります」とつづられている。団体とはすなわち、JOCや東京五輪の組織委員会などを指す。

(以下略)
====================
(引用終わり)

実際の浴衣の写真などは引用元をご覧いただきたいのだけど、
まあ、支度部屋で自身が羽織っている浴衣なら、別にいいんじゃない?というのが率直な印象。
別に「便乗商法」ではないし。浴衣を販売しているのなら大いに問題だけど。

このテの話、周りが騒ぎすぎて、本来問題にならないはずのものまでも問題になるかのような印象を与えていることが結構よろしくない。
センスの有無は別として、横綱が制度を知悉した上でギリギリの線を狙ってやっている、というわけではどうもなさそうだし。


ほんと、“せんせーに言うたーろー”的なメンタリティ、なんとかならないのかなあ?
と思ってしまいます。
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【知財記事】生きがいとしての発明

2018年05月14日 08時01分39秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
昨夜の雨とはうってかわって素敵な青空な湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(神戸新聞NEXTより引用)
====================
簡単にほどける結束バンド 商品化目指す85歳

神戸市垂水区の永田三喜雄さん(85)が、80歳を過ぎてから発明した「結束バンド」を商品化する業者を探している。農作業で野菜の茎などを支柱に結び付ける手間を減らそうと、簡単に結んだり、ほどいたりできる仕組みを考案。「一生のうちに一つは発明品を作る」という子どもの頃からの夢を実現し、2016年5月に特許も取得した。「この技術は、いろいろな分野に応用できるはず」と期待を寄せる。



一度は開発を断念した永田さんだが、数年後、再び試作品などの製作に打ち込みだした。80代となり、寿命を意識するようになったのが大きいという。「人に恵まれ、幸せな人生を送ってきた。世の中に恩返しをせんと、亡くなった恩師や友人に恥ずかしくて、さんずの川を渡れん」。2年前には、くさびの活用法などを中心に11件の特許を取得した。

====================
(引用終わり)

文中にもあるのだけれど、
「特許を出願できる内容」と評価される一方で、「単価の安い道具の商品化は採算が取れない」との指摘も受けたとのこと。
実にありがちなことではある。
着眼が市場のニーズに合うようにしていく営みも必要。


一方で、世の中に恩返しをしようと発明に打ち込む、ということは、
実に稀有なこと。
この方は兵庫県警にお勤めだったとのことだけど、
若かりし頃エンジニアだった方が第二の人生で発明家になる、という生き方は、
もしかしたらそれなりにトレンドになるのではないかなぁ、と。
ちょっとした3Dプリンタならスマホより全然安い時代だし。

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【知財記事コメント】経営デザインシート(知財戦略本部)

2018年05月09日 07時33分43秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日も雨です。そして寒い、湘南地方です。

さて、久々知財記事。
日刊工業新聞から。

(以下引用)
====================
政府の知的財産戦略本部は、知財を中⼼にしたビジネスモデル
を⾒える化し将来像を構想できる「経営デザインシート」を作成
した。シートに無形資産や収益構造などを記載することで、付加
価値を⽣み出す「価値創造メカニズム」の把握やビジネスモデル
の⾒直しを⾏える。また、投資家や⾦融機関に提⽰することで、
投融資を呼び込むツールにもなるという。

====================
(引用終わり)

今日公表らしい。タスクフォースの説明資料はこちら
ちょっと興味を持って待つとします。

経営に活かしてこその知財。
見える化(可視化)することでメンバー間で共有が図られ、改善が試みられる。
“見えないけども役に立っていること”を意識すること。

枠組みに依存し過ぎると思考停止するけど、どこから手を付けてよいかわからない課題には
ガイドラインは必要。
その適用の仕方をアドバイスするのが専門家の役割、だと思います。
まずは出てくるものをしっかり把握することに努めたいと思います。
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【知財記事(商標)】もうちょっと突っ込んだ元号「平成」の登録 

2018年03月27日 08時27分18秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
気持ちの良い青空が広がる今朝の湘南地方です。

さて、今日も商標関係のこちらの記事

(PRESIDENT Onlineより引用)
========================
来春「改元」で「平成」が商標登録可能に

天皇陛下の退位が2019年4月30日に決まった。翌5月1日には皇太子殿下が天皇に即位して、新元号へと改元される。まさに歴史的イベントだが、譲位をビジネス目線で捉えている人たちもいる。改元に伴い、「平成」の商標登録が可能になるからだ。

現在、「平成」を商標登録して商品やサービスの名前として独占的に使うことはできない。商標法3条1項6号は、「その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標」は登録できないと定めている。この規定にどんな名称が該当するのか。特許庁「商標審査基準」は、例の1つに「現元号として認識される商標」をあげている。つまり現元号の「平成」は商標登録できないということだ。

ただ、登録できないのは現元号だけ。過去の元号「昭和」や「大正」が商標登録可能であるように、新元号に改元されれば「平成」も登録可能になる。「平成」を商品やサービスの名称として独占的に使いたかった事業者にとって、改元は待ちに待った解禁日になるわけだ。

(以下略)
========================
(引用終わり)

ま、表面的には一見正しいんですけど、ね。
確かに6号の商標審査基準には

4.現元号を表示する商標について
商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。


と明記されている。

と同時に、3条1項該当の判断時点について

1.判断時期について
本項に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。
なお、拒絶査定不服審判請求がなされた場合の判断時期は、審決時である。


と規定されている。

そして、通常審査には現状のプラクティスではファーストアクションまで6-7月かかっている。

だから、「改元は待ちに待った解禁日」は、間違い。
出願人が国内だとして、先願の地位を取りつつフライングにならないギリギリのタイミングを考えるとしたら、

・出願~ファーストアクションまでの期間=約6月
・拒絶理由の応答期間=40日
・期間延長(最大)=2月
・応答後審査期間 =一概に言えないが、最短1週間程度~最長数か月
・拒絶査定が出たとして、不服審判請求期間=3月
・審理期間=6-8か月(2016年特許行政年報による)


上記をトータルするだけで、最短でみてもざっくり18か月程度。
その他あれやこれややってたら21か月くらい前に出願すれば、審決時点では上記審査基準にいうところの「現年号」ではなくなっていることになる。
不服審判まで行くことを考えなかった場合でも、ざっくり10か月程度前に出願すれば査定時にはほぼ確実に「現年号」ではなくなっていることになる。

そんなわけで、6月終わりか7月頭に出願して粘れば、審査段階で「平成」の商標登録をゲットできることになる、、、はず。
もちろん「先願主義」なので、“不服審判上等!”で出願するエクストリームな『商標ビジネス業者』(なんて死んでも認めたくないが)がいた場合は4条1項11号で登録を受けられない。
更に、分割出願なんかでもっと先願な人がいたらその人に負けることになる。

そんな目線で、「平成」の語を含んでいる出願をちらちらと検索してみたら、
なかなか良いタイミングでされている出願も既にある様子。
個別企業の話になるので詳細はそれぞれ検索してみてください。ただ、諸般見るにまっとうな(そして上手な)出願だと思います。

どちらかというと、既に「平成」を社名に含んでいる会社さんは、この段階で出願を検討された方が良いんじゃないか、と
一弁理士としては思います。

※旧元号に関する審査基準の改訂や審査の運用変更が無い、ということが前提の記事ですので、悪しからず。
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【知財記事】「独占」に対する感情

2018年03月26日 07時51分10秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
少し冷えた空気が「気持ちいい」と感じるくらいに春がすぐそこに来ていることを感じる、
今朝の湘南地方です。

さて、
ここのところ“一般の方”が関心を持つ知財関連ニュースがちょこちょこと。

「そだねー」の商標登録出願の件もそうだし、
音楽教室に対するJASRACの権利行使の件もそう。
「漫画村」の話もそうですね。

直近では著作権侵害事件の判決に関するこんな記事が。

(ニコニコニュースより引用)
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JASRAC、全国初無許諾BGM裁判で勝訴 ネット民は反発

店舗で流すBGMの著作権をめぐってJASRACが札幌市内の理容店経営者に損害賠償などを求めた裁判で札幌地裁は3月19日、経営者に対して3万1000円あまりの支払いを命じる判決を言い渡した。

被告の経営者は、2014年から3年間ほど、携帯音楽プレイヤーに保存していたジャズの楽曲などを理容店のBGMとして流していたという。これに対しJASRACは、JASRACが管理している楽曲の使用禁止と著作権侵害によって生じた損害賠償を求めて提訴。経営者は著作権が切れている楽曲を流していたと主張していたが、札幌地裁はJASRACが管理する楽曲であったことを認め、経営者に3万1000円あまりを支払うよう命じた。

(以下略)
========================
(引用終わり)

知財を生業にしている人間の目線からすると、
「なぜこれが話題になるのかがわからない」
というのが正直な気持ち。

経緯を正確にトレースしているわけではないけれど、当然ながらいきなり提訴に至ったわけではなく、
事前に通知・警告があり、やり取りをする機会もあり、それでも折り合えないから訴訟に至ったわけで。
そうなると現状の規定に沿って扱われ、上記結論に至るわけです。

著作権等管理事業者として、利用料を適切に著作権者に配分しているのかとか、一般に見えにくいところに対する不満があるのは理解できるけれども、
仮に管理事業者にその点の問題があるとしても、許諾を得ないで勝手に使用できるわけがない。
それとこれとは別問題。

音楽教室の件は、さすがに「演奏」の定義の中にスタジオでの練習を入れ込む解釈は無理があると思うけど、
一応制度上の線引きとして「こういう音楽の使い方は勝手にやっちゃだめで、ちゃんと対価を払いなさい」と決まっているものに対して、感情論だけでブーイングするのは思慮ある行動とは言えないように思われる。
前にも書いたけど、「創作をする人」と「その創作物を楽しむ人」がいて、その両者にとってのバランス(保護と利用のバランス)を取らなければ、
それこそ“音楽がなくなる”。

「漫画村」の件はそれが更に症状悪化しているものと理解している。

「そだねー」の商標登録出願に対する世間の反応もそうだけど、
もしかして『独占』という概念そのものに対して、世の人は嫌悪感を持っているのかな?
使えないと不便だとか、ケチくさいとか、横暴だとか…?

いや、例えばこれが、創作者に対するリスペクトがもっと根付いている文化で、
法的に「独占」を枠組みとして仕込まなくても上手く回っていく社会なら、知財法の仕組みなんて要らないのかもしれない。
「そだねー」の件についても、前提知識がないままで感情に任せたコメントが少なからず見受けられるし。
…そもそも、LS北見に特有の言葉でもなく、敢えて言えば一部マスコミが火付けしたバズワードでしかないと思うが。


世論とか一般的な感覚というものを無視して規範が成立するわけにはいかないし、
企業とて一市民であるという考え方からは、やっぱり評判とか風評とかを少しは考えなければいけないわけだけれど、
ネット界隈で挙がるノイジーマイノリティの声を一部マスコミが拡声器と化して「世論」もどきを形成している状況、というのは

気持ち悪いな~

と思うのだ。



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【知財記事】フランク三浦、その後(「浦」の点は無い)

2018年03月23日 07時33分25秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
花曇り、っていうのでしょうか?今にも降り出しそうな空模様の湘南地方です。



通勤路の桜。五分咲きくらいかな。早いなー。

さて、「そだねー」の商標登録出願が話題になっていますが、そちらは昨日FBで書き込み、色々意見交換したので
興味のある方はそちらをご覧になってください。
…もし本当にお菓子を出すとするなら、カーリングのストーンの形をしたお饅頭か最中、なんだろうな、きっと。

同じ商標ネタだけど、敢えて別のネタ。今日はこちらの記事。

(「日経ビジネスオンライン」より、冒頭部を引用)
========================
国境を越えて広がる知的財産権に対する意識の高まり。多くのグローバル企業が特許や商標権などの侵害を巡って国際紛争を繰り広げている。そんな中、一部の腕時計ファンから世界的注目を集めた一大国際紛争が昨年決着した。「フランク・ミュラーvsフランク三浦紛争」だ。

時計の企画開発などを手掛けるディンクス(大阪市)の下部良貴社長がフランク三浦の開発を思い立ったのは2011年頃。あくまで「パロディ商品」と位置付け、価格はフランク・ミュラーの100分の1以下に設定。「時計の歴史を200年早めた時計職人ブレゲの再来」と言われるミュラー氏に対し、「グレコローマンスタイル400戦無敗の謎の天才時計技師・フランク三浦氏(4ページに写真)が立ち上げたブランド」などと主張して市場投入に踏み切った。

しかし、「こそばかして、笑い飛ばしてもらうつもりだった」大阪流の笑いは、世界を席巻する超一流ブランドには通用せず、相手側は反発。商標登録を巡る紛争は知的財産高等裁判所にまでもつれ込むトラブルに発展し、大阪の普通の中小企業は「注目の国際紛争の主役」になってしまう。係争勃発から6年。下部社長が今、全てを語り切る(注:こそばす=くすぐる、方言)

========================
(引用終わり)

詳細はリンク先の記事を読んでいただければと思うのだけど、
目を引いた点は以下の通り。

・商標がすんなり登録されたと思ったら、ある時いきなりFacebookのフランク三浦のページが消された。
・あれよという間に無効審判請求が認容された。
・フランク三浦の売上はディンクスの売上の数パーセントだが、「納得がいかない」ので対抗した。結果、無効審決棄却が確定した。

当事者の生の声は貴重。まあこの社長さん、結構内実をあけすけに語ってくれているというのもあるけど
(“フランク三浦でビルを建てたわけでもないですし。大体価格が数千円でしょう。コストを差し引いたら、僕らのマージンっていくらなんだっていう話ですよ。”とか)。

本文中にもあるけど、「フランク三浦がダメなら「パロディ」とか「サブカル」という分野は全部あかん」となってしまう、という点は、
そうかもしれず、いややり過ぎかもしれず、というのが個人的な見解。
外観上の一致点も少なからずあったものだし、需要者がネタにして許容されるのと、価格帯こそ違えコンペティターがネタにして許容されるのとは、境界線がちょっと違うように思う。

ところでこの社長さんはPL学園で野球部に所属していた。元ヤクルトスワローズの宮本慎也さんとは旧知の中らしく、インタビューの最後の方はその話。その流れの中で、インタビュアーの締めの言葉が
「やっぱり一流は一流たる理由があるんですね。」
っていうのに他意を感じてしまうのは、ちょっと意地悪だろうか。

さて、金曜日。なんとか頑張ります。
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【知財記事?】「知的財産政策に関する意見」by 日本商工会議所

2018年03月16日 08時19分54秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
春の嵐を予感させる強風が吹く今朝の湘南地方です。

さて、今日は日本商工会議所のHPより。
「知的財産政策に関する意見」がリリースされています。

知財に対する関心の高まりを示す一例、と捉えてよいのかなぁとは思います。
内容的には「?」なものもちらほらありますが(損害賠償額の是正の点とか、「特許権の安定性を高める確実な審査」とか、申請手続きの簡素化とか)、
イノベーション促進の基本フレームとして知財制度の活用が中小企業団体の視野に入っていることは良いことかな、と。

以下、私見。

「中小企業の知財権取得を後押しする施策を」という点自体は、もっと声高に言っても良いかなと思う。
ただ、単純に補助金ありきだと、費用対効果、或いはリスクとリターンの時点間差の問題はいつまでたっても解消されない。
本来両者は切り離した施策をより強く推し進めるべきで、
権利取得時の本人負担を減らす選択肢を用意しつつ、補助を受けた部分については収益償還を原則とする仕組みにすることが
目的との関係では整合的かと。出しっぱなしの単なるバラマキではモラルハザードが生じる。

競争上優位にある主体にとっての知財と、競争上劣位にある主体にとっての知財とは、その役割・意味が違うケースが多い。
前者は自分の陣地を守りより採算性を高めるための手段として知財を活用する。
後者は当該事業分野への「参加券」的意味合いとして知財を取得する(新規分野で1件特許を取っただけで当該市場を独占できる、というお花畑なお話は、基本ありえない)。
中小企業が新規に知財活動に取り組む場合、往々にして後者の立ち位置なわけで、その段階でのコストはなるべく下げた方が競争の活性化につながる。

収益償還についても、収益に対して知財がどの程度寄与したか、についての測定手段を確立することも必要。
間接的に「知財の価値」がここで観念されるようになる。「知財金融」という、知財の換価を前提とした議論は難しいと思う。
「中国の知財金融を研究」すること自体は悪くはないが、そのまま日本で適用できるとは思わない。

「経営と知財の両面の知識を持ち、戦略を立案・推進することができる企業人材の育成」
これは大事ですね。知財だけがガラパゴスな状況というのはいい加減払拭しないと。

何にしても、こういう意見発信をこのような機関が公式に行ってくれることは、
議論を巻き起こすことにもなってありがたいことです。

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