弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【法改正】新規性喪失の例外期間の延長(特許/実用新案)+分割要件の追加(商標)

2018年05月31日 08時21分53秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
今は雨が上がっている湘南地方…でもお出かけする時にはまた降り出すんだろうな。。。

さて、同業者さんがそれぞれ言及していますが、
改正法の施行日についてのリリースが特許庁よりありました。

(1)新規性喪失の例外期間を「6月」→「1年」に延長
リリースはこちら

施行日は6月9日。なので、平成29年12月9日以降に公開された(=新規性を喪失した)もので施行日以降に出願するものについては改正法が適用されることになります。


(2)分割出願要件として「親出願」の出願手数料を納付していることを要件に
リリースはこちら

こちらも施行日は6月9日。適用されるのは「施行日以降の分割出願(=子出願)」なので、若干ややこしいのですが6月8日以前の分割出願については、親出願の出願手数料を納めていなくても分割出願と認められるが、6月9日以降の出願については親出願の出願手数料を納めていないと分割要件を満たすものと認められず、通常の出願として取り扱われる(=出願日の遡及効が得られない)、ということになります。

まあ、後者は普通の出願行動をとっている方には無関係。
実務的に影響が大きいのは(1)。だけど、外国出願も踏まえている場合、新規性喪失例外の制度が無い国もあるので、原則としては“公開前に出願”が推奨されます。



お、ここんとこなんだか弁理士らしいブログが続いてる(笑)
いつまでこれが続くやら…
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【知財記事】店舗デザインと知的財産権(トレードドレス)

2018年05月30日 08時25分15秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
どんよりした雲が空に漂う今朝の湘南地方です。お昼ごろから雨らしい

さて、昨日までのエントリに関連して、今日はこんな記事

(SankeiBizより引用)
================================
【高論卓説】店舗デザインと知的財産権 意匠法の早期改正で保護範囲を拡大

先日、特許庁が製品のデザインなどを保護する意匠法を改正し、店舗の内外装についても保護するよう保護範囲を広げることを検討していると報じられた。

(中略)

米国では、店舗の内外装について、「トレードドレス」として保護される。トレードドレスとは、「米国で知的財産として認められている概念で、ロゴマークや製品の形状、色彩構成、素材、大きさといった各種要素を含んだ、全体的・総合的なイメージのこと」とされている。これに店舗の内外装も含まれる。

では、わが国において、店舗の外観などが全く法的に保護されないかというと、以下に述べる通り、不正競争防止法により救済されることがある。

(以下略)
================================

詳細は原典をご一読いただきたいですが、ポイントとしては、
・現行の意匠法では店舗内外装は保護対象外
・米国では「トレードドレス」として保護され得る
・日本では不正競争防止法での救済に留まっている。
・意匠登録の対象となるよう法改正されれば、立証負担は大幅に軽減されることから保護に資する。
というところ。

正直なところ、商標法にしたって新しいタイプの商標が保護されるようになって久しいし、
意匠法もそれなりにフレキシブルに改正がなされてきた。液晶画面保護なんかはその一例。
頻繁な改正は産業立法の宿命であるところだが、原則としては、やっぱり一定の「剛性」というか「硬さ」も必要ではないかな、と思う。
昨日もこういう趣旨のことを書いたけど、独占排他権を設権することは、その他大勢の自由に制約を課すこと。
一律に「模倣=悪」という短絡的な構図から制度そのものの変更に手を付けると、世の中は息苦しいものになってしまう。

もちろん、世の実状と法規範の乖離、という点については常に意識すべきことだけど、
改正に至るには“現場”での不都合が生じたという点のみでなく、より上位の規範も考慮した上でのバランスのとれた議論が必要。
ここでいう「上位の規範」に、“例えば外国の法制がこうだから”というのは、あてはまらない。

「トレードドレス」に関しては、もうながーい間俎上にあがっているところ。
上記記事で紹介されている「コメダ珈琲店」の事案の他にも、古くはユニクロ対ダイエーとか、最近だと唐揚げ「からやま」「からよし」の件とか、実際に争いになった事案も積み重なってきているところでもある。
登録制度を導入することでの救済可能性向上を図ることには一定の意味がある、とは考える。

ただ、その枠組み、本当に意匠法なのだろうか…?
24条2項が規定されて以降もなお、裁判所と特許庁の「類似」の判断には依然乖離はある(「(修正)混同説」と「創作説」)。
仮にトレードドレスを登録対象とすることになれば、一連の経緯を踏まえれば「混同説」ベースの審査を余儀なくされると考えられる。
裁判所としては大きくブレはないのだろうけど、特許庁としては一の法規範のなかで、保護対象に応じてスタンスを使い分けて審査することになる…?というのはちょっと節操がない気もする。
まあそれを言い出すと、商標法なんか商標の「定義」そのものを拡張しちゃったわけだから、それと比べると大したことない話、かな…?


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【意匠(デザイン)】「「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書」を読む②

2018年05月29日 08時22分10秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
梅雨が近付いていることを感じさせる、やや湿り気の多い空気がまとわりつく
今朝の湘南地方です。

さて、掲題の件=昨日の続き。
今日は別紙=「産業競争力の強化に資する今後の意匠制度の在り方」について。

これまでの枠組みからは一線を画した問題提起がされている。
例えば、

2-1.保護対象について
 2-1-1. 画像デザインの保護
 2-1-2. 空間デザインの保護

2-2-1. 一貫したコンセプトに基づく製品群のデザイン保護


→この辺りは、まあ首肯できる。
 保護対象はもっとフレキシブルであって良いと思う。
 それこそ「プロダクトデザイン」しか保護対象でないというのは、デザインを産業競争力向上に活かすためには不十分。

「2-2-1.」は運用が難しそうだけど。こうなると関連意匠というよりは特許の分割出願のイメージに近い。
制度は、制度設計した側の思惑を超えて“活用”される可能性があることは考慮に入れるべきだ。

2-2-2. 意匠権の存続期間
2-3. 意匠権を取得するための手続要件の簡素化


→この辺りは、一弁理士としては一部疑問。
 我が国の保護期間は現時点で世界的にも最長レベル(=登録から20年)。

 「意匠に係る物品」の記載要件緩和は、基本的に賛成。
 権利範囲が著しく広くなってしまう可能性があるけれど、といっても現状の枠組みは厳しすぎる。
 記載要件の緩和と類似物品の射程距離の調整を同時に行う必要はありそう。

 図面の記載要件は、まあ緩くなってくれた方が助かるけど…
 このあたりも「物品の形態保護」という現状の制度枠組みに照らしたら
 形態を一義的に把握できなければ権利の外縁が不明瞭になるというデメリットもあり。

あと、報告書全体を通じて感じるのが、
“保護の強化”=権利範囲を広げる方向のように受け止められるけど、
第三者側の選択の自由を不当に狭めてしまう側面もある。
ベンチマーカーも多数いる今の産業界でこの報告書の方向性で貫徹しちゃうと、却って競争力はシュリンクしちゃうんじゃないかなぁ。
ベクトルの提示としては首肯できるところもあるけど、何事もバランスは大事かな、と。
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【意匠(デザイン)】「「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書」を読む①

2018年05月28日 09時36分59秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
やや湿り気の多い空気で髪がカールしがちな今朝の湘南地方です。

さて。
週末にじっくり読んでブログ書く!と宣言していた標記の件。
ひとまず読んでみた。

語弊を承知で言えば、知財四法の位置づけって、昔はざっくりこんな感じだった。

   (上流)  →  →    (下流)
開発 技術    製品デザイン   商品名
知財 特許/実案   意匠      商標


ところが、「ブランド」なり「デザイン」なりが“再定義”された昨今では、
上で示したような「上流-下流」モデルでは把握できなくなっている。

報告書には、以下のようにある。

デザインは、企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。それは、個々の製品の外⾒を好感度の⾼いものにするだけではない。


「企業価値向上のための重要な経営資源としてデザインを活用する。」
…うん、聞こえは良いのだけれど。
上記の定義による限り、「デザイン」はすなわち“思考”なわけで、
その“思考”を表現する典型的な媒体は製品の形状や仕様だったために矮小化して認識されてきたきらいがある。

そんな下地を、どうやって変えていくのか、のそれこそ「デザイン」が、報告書の「8.政策提言」を見ても、もう一つ見えないというのがホンネだなぁ。
というより、足りないのは「『表現』のマインドやテクニック」或いは「制度の整備」ではなく、「企業が大切にしている価値」の掘り下げの方じゃないかなぁ。
自分たちが大事にしている「価値」を把握できれば、その表現方法は自ずと決まってくる、ような気がする。
思考法ではなく、思考の対象の問題。

それが固まって初めて、次のステップ=「じゃあどうやって自分たちの価値認識を伝えるか」に行けるんじゃないか?

うーん、いまいちまとまらない。続きは明日。

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【雑記】ばたばた

2018年05月25日 08時02分05秒 | 趣味・その他諸々の雑記
おはようございます!
曇り空な湘南地方、風もちょっと湿っぽい感じ。

進行中の仕事一段落させたらブログ書こうと思ったらこんな時間…
今日はなんだかギアが重い感じです。

とはいえ、やるべきことを進めて行かないといけません。
一足飛びとはいかなくとも、一歩ずつ前へ。

今週は、何かしらお客様アポがあったり公務で出かけたりで、デスクワークな一日、というのが取れなかったなぁ。
案件があるのだからとても良いことではあるのだけど。

色々勉強したいこともあるのだけど、上手に時間がとれてない。
週末+早朝を上手につかって知識のブラッシュアップをはからないといけませんね。
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【法改正】不正競争防止法等の 一部を改正する法律案、可決。

2018年05月24日 08時18分49秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
雨も夜のうちにあがり、今朝は雲交じりですが気持ちの良い青空の湘南地方です。

さて、同業者さんも既にふれていますが、
不正競争防止法等の改正案が可決しました。来年4月施行でしょうかね、順調に行けば。

改正の内容はこちら(閣議決定のリリースですが、内容は同じ)。

公務の関係上影響が大きいのは、不競法改正のうち「ID・パスワード等により管理しつつ相手方を限定して提供するデータを不正に取得、使用又は提供する行為」を新たに不正競争行為とする改正。
農水分野でも栽培育成データについての取扱いが関係してくる。

日常業務で影響が大きいのは、
(1)特許法改正のうち
全ての中小企業を対象とした特許料等の半減
ですね。この閣議決定リリースには書いてないけど、これの反動で対象外の企業の特許料等は引き上げになる模様です。

(2)あと、商標法で分割要件に“親出願について規定の手数料を納付していること”が追加されました。「PPAP出願」対策ですね。分割要件なら条約にも違背しないし良手かな、と。

(3)おまけとして、特許料等の納付方法としてクレジットカード決済が認められることになるようです。ポイントうんぬんの話もあるけど、EB(という言い方はもはや死語なのでしょうか?)やってない弊所としては登録料納付の一覧を通帳ではなく電子データで得られるのは助かります。




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【雑記】潔さ

2018年05月23日 08時10分10秒 | 趣味・その他諸々の雑記
おはようございます!
雲の広がる空の下の湘南地方です。午後からは雨、のようですネ。

日大アメフト部の件が色々と物議を醸しているようで。
学生の記者会見も断片的にしか見ていないし、それこそ記事になっている間接的な情報と
いくつかのツイートやFB上のコメントしか見てないのであまりめったなことは言えないのですが、

実名と顔を晒して真実を述べる学生に対する評価が高まり、
いまだに正式に会見等を行わなずとんちんかんなコメントのみをリリースする大学と、
辞任の意向を示すのみで経緯を語らない監督に対する不満が募っているようです。

永田町・霞が関界隈での一連の事案においても最早“伝統芸能”かのごとく見られるように、
多くの“オトナ”に欠けている「潔さ」を20歳の学生が身をもって示したが故のこと、
だとは思うのですが。。

だからといってそもそもの行為が賞賛される話ではない点は胸にとどめておきたいところです。
“もう罪は償った”なんていう声まであってちょっとビックリしていますが、それこそ当事者以外がおいそれと口出しできないこと。
ただ、自分の行いと正面から向き合うことが償いの出発点。
そうなって初めて、“罪を憎んで人を憎まず”という声が出てくる。

一方で、大学と監督サイド。
年齢を重ね、或いは組織なら歴史を重ねてくると、手放しがたいさまざまなものが自分たちの身の回りに積みあがってくるのでしょうね。
積み重ねたものが故、潔くあることが難しくなってくる。



あと別の観点から言えば、炎上した場合の鉄則は「切り分け」。
“一事が万事”という論調に流れぬよう、goodとbadとを客観的に見定めること。
これもまた、自分の行いと正面から向き合うこと。







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【業務日誌】虫の知らせというかなんというか

2018年05月22日 05時22分46秒 | 業務日誌
おはようございます!
朝日差し込む事務所で執務中、今日も良い天気な湘南地方です。

珍しくえらい早いです。
いや、確かに手元が結構切羽詰まっている、というのもあるんですが、
昨夜窓を開けて寝ていたら、というか寝ようとしていたら、

…虫の羽音。ほどなくして体の一部に痒み。

一度気になりだすとなかなか寝られず。
なんだか体が順繰りにあちこち痒くなるような感じで。

で、あきらめて起きてご出勤。

ま、やることやんないといけなかったから丁度良い、のだけど、
できれば短時間で効率の良い睡眠をがっつりとりたかった。

ま、何とか押し切ろうと思います。
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【週末雑感】休日出勤とか地元のお祭りとか

2018年05月21日 08時46分17秒 | 趣味・その他諸々の雑記
おはようございます!
気持ちの良い乾いた空気の今朝の湘南地方です。

土曜日は、朝から晩までお仕事。
途中人と会ってご飯食べたりはしたけど、基本的に平日とおんなじリズム。

昨日、日曜日は、地元のお祭り。
「お祭り」といっても、どこかの神社の、というのではなく、地域振興イベント的な祭り。
例年結構な盛り上がりを見せる…のだが。。

いやー、正直ちょっと「引く」レベルのインフレっぷり。
かき氷400円とか、たこ焼き600円とか、くじ引き500円とか…
くじ引きの商品も、倒産品の流れものっぽい古いおもちゃだし。

子供にお小遣いを渡してその範囲内で、ってやろうとしても、
これじゃ子供たちも楽しめないだろうね。
まあもとより、地元の商店街の飲み屋さんが出店してお酒やおつまみ売ってるのが多いし、
地元の病院が「血管年齢測定します」とかやったりしてるから、
もはやターゲットが子供じゃないんだろうけど。

お仕事絡みでちょこちょこと色んな地域のマルシェを取材することがあるけど、
それと比べてもかなり価格帯が高いものね。参加費が高いのだろうか?

結局、知り合いのお店が出しているサザエのつぼ焼きだけは買い、
子供たちはお小遣いの範囲でそれなりに楽しみ、
食事は西友でお弁当を買って食べる、という、「なんだかなー」なお祭りでした。
これなら「鎌人いちば」行った方が良かったな。。。
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【知財記事】アンブッシュマーケティング…?(番外編)

2018年05月18日 08時39分17秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
久々の自分のデスク@湘南からです。

さて、今日はこんな記事

(日刊ゲンダイより引用)
====================
便乗商法? 横綱白鵬の“東京五輪浴衣”はマーク無許可使用

「さすがにあの浴衣はどうなのか……」

横綱白鵬(33)の周辺から、疑問の声が上がっている。

問題の浴衣とは、現在白鵬が着ているもの。派手な赤の地に白い文字で「白鵬」と「2020」とあり、さらに五輪マークまで書かれている。これが2020年東京五輪をイメージしていることは一目瞭然。白鵬はかねて「東京五輪までは現役でいたい」と話しており、そのためのアピールだろう。

自らデザインしたという浴衣を関係者に配った横綱は「みんな欲しがるかなあ」と悦に入っていたが、気になるのがそのデザインだ。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のホームページには、「オリンピック・パラリンピックに関するエンブレム、ロゴ、用語、名称をはじめとする知的財産は、日本国内では『商標法』、『不正競争防止法』、『著作権法』等により保護されています」とあり、さらに「その使用には、これら団体からの事前の許諾が必要となります」とつづられている。団体とはすなわち、JOCや東京五輪の組織委員会などを指す。

(以下略)
====================
(引用終わり)

実際の浴衣の写真などは引用元をご覧いただきたいのだけど、
まあ、支度部屋で自身が羽織っている浴衣なら、別にいいんじゃない?というのが率直な印象。
別に「便乗商法」ではないし。浴衣を販売しているのなら大いに問題だけど。

このテの話、周りが騒ぎすぎて、本来問題にならないはずのものまでも問題になるかのような印象を与えていることが結構よろしくない。
センスの有無は別として、横綱が制度を知悉した上でギリギリの線を狙ってやっている、というわけではどうもなさそうだし。


ほんと、“せんせーに言うたーろー”的なメンタリティ、なんとかならないのかなあ?
と思ってしまいます。
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