昨日は、心の底からと云う意味の「ぞっこん」を取り上げましたが、今日は少し控え目な「奥ゆかしい」の語源について調べました。
「奥ゆかしい」は、控えめな立ち居振る舞いをする人を【思慮深く上品だ】と褒める時などに使います。
広辞苑には漢字で「奥床しい」と書いていますがこれは当て字で、本来は「奥」+「行かし」で、「奥」は【内面、その先】という意味、「行かし」は【心がひかれる】ことです。
元々は、【その先にあるものに心ひかれる】、【見たい、聞きたい、知りたい】という、積極的な気持ち"好奇心"を表す言葉で、その好奇心はどのような人にくすぐられるかというと、やはりどこか奥深さを感じられる人に対してです。
そこから、"知りたい"という気持ちを起こさせる、そんな人をも「奥ゆかしい」というようになり、【思慮深そうで慕わしい】、【品位が感じられて心ひかれる】という意味に変化したようです。
日本人は、古くから奥ゆかしさを美徳としてきました。
控えめにという態度が良しとされてきたのですが、時代の変遷、国際化の中でそれでは通用しないことが増えてきています。
尖閣諸島をめぐる中国の発言を見れば分かるように、理屈に合わない事でも平気で世界に向かって発信しています。
良識のある日本はそこまでする必要はないものの、この問題で奥ゆかしさが美徳とばかりに沈黙していたのでは、世界の認識は中国側に理解を示すようになります。
日本の長い教育では、自分の意見を積極的に言うとか、議論するという環境はありませんでしたが、現在では、日本人の奥ゆかしい控えめな態度を活かしつつも、はっきりと物を言い、積極的にコミュニケーションを図れる人が求められる時代になっています。