中国地方の旅シリーズ5回目の今日は山口県岩国市の錦帯橋をご紹介します。
錦帯橋は岩国市の錦川に架橋された木造のアーチ橋で、日本三名橋や日本三大奇橋に数えられており、名勝に指定されています。
・花見客で賑わう錦帯橋と桜です。
「錦帯橋の創建」
錦帯橋は、横山の山頂に築城した岩国城と錦川の対岸に形成されていた城下町にとって必須のものでした。
初代岩国藩主の吉川広家が岩国城を築城して以来、岩国城と城下町を繋ぐ橋は数回架けられていましたが、錦川の洪水によりたびたび流出したそうです。
第3代藩主の吉川広嘉は、暴れ川である錦川に流されない橋を架けることを決意し、橋脚のない甲斐(現在の山梨県)の猿橋に着目しますが、約30mの猿橋と約200mの錦川では技術の応用が不可能であることに気付きます。
その後、吉川広嘉は中国・明の渡来僧で、医者であり、大工でもある「独立(どくりゅう)」の持っていた「西湖遊覧誌」という書物を読む機会を得ました。
その書物には、広大な西湖に島伝いに架けられた六連のアーチ橋が描かれており、そこからヒントを得て、錦川に小島のような橋台を造り、そこに頑丈なアーチを架けるという案を思いついたと言われています。
こうして、1673年(延宝元年)五連のアーチ橋が完成しました。
・横山の山頂にそびえる「岩国城」と錦川にかかる五連アーチの錦帯橋です。
「錦帯橋の名前の由来」
錦帯橋が完成した当初は「五龍橋」「城門橋」「大橋」など、いろいろな呼び名があったようです。
しかし、中国・杭州にある「錦帯橋(きんたいばし)」をモデルにして架橋したことから、それに因んで「錦帯橋(きんたいきょう)」と呼ばれるようになったと言われています。
・5連のアーチが美しい錦帯橋です。
「錦帯橋の構造」
アーチ橋の構造は、左右の橋脚を起点に橋桁の1番桁から11番桁まで順次勾配を緩めながら先に突き出るように重ねていき、9番桁鼻間に大棟木(おおむなぎ)、10番桁鼻間に小棟木を入れます。
こうした構造形式は世界的にも珍しく、ユネスコの世界遺産に登録されている橋梁の中にも、類似の構造を持った木造橋は見られないそうです。(ウィキペディアより)
・精緻な組木を巻金と鎹(かすがい)で補強したダイナミックな構造が見られる錦帯橋の裏側です。
・5連のアーチからなるこの橋は、全長193.3m、幅員5.0mで、継ぎ手や仕口と言った組木の技術によって造られているそうです。
「岩国城」
花見客で道路が渋滞していたので車窓から撮影した岩国城です。
岩国城は1608年(慶長13年)に初代岩国藩主の吉川広家が、蛇行した錦川に囲まれた天然の要害の地である横山の山頂に築城したものです。
しかし、幕府の一国一城令により、築城から僅か7年後の1615年(元和元年)には取り壊されました。
現在の天守は1962年(昭和37年)に外観復元されたもので、四重六階の桃山風南蛮造りとなっています。
南蛮作りとは、最上階をその下階より大きく造り、その間の屋根を省略した様式だそうです。
天守内には刀剣や武具甲冑類が展示されています。
・横山の山頂に復元された岩国城です。
(参考)
日本三名橋とは
・錦帯橋(山口県岩国市) 全長193.3m、幅員5.0m
・眼鏡橋(長崎県長崎市) 日本最古の石造アーチ橋で、橋の高さ(水面から)5.46m、長さ22m、幅3.65m
・日本橋(東京都中央区) 日本橋川に架かる橋で、国指定の重要文化財です。二連式アーチ石橋は、長さ49.1m、幅27.3mです。
日本三大奇橋とは
・錦帯橋(山口県岩国市)
・甲斐の猿橋(山梨県大月市) 桂川に架かる橋で水面からの高さは30m、長さ30.9m、幅3.3mです。
猿橋は谷が深くて橋脚がたてられないため、1本も支柱を使わずに両岸から張り出した四層の”はねぎ”によって橋を支えて
いるそうです。
・木曾の桟(かけはし)(長野県木曽郡) 現在は存在しないようです。 代わりに栃木県日光市の「神橋」や富山県宇奈月の「愛本刎橋(愛本橋)」、
徳島県の「かずら橋」を挙げることもあるようです。