別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

森の芸術

2007-08-01 | 自然や花など

 
   ショパン弾き終へたるままの露万朶(バンダ)     中村草田男

  雨あがりの見沼を歩いた。  浮いているか、 流れてゆくか…
      雨だれのうたが止む、 落ちんとす   神秘の♪。
    五線紙の音符が 入りみだれ  おびただしい滴になった 

   白玉を 糸に貫ぬいたような  
  はやりのビーズも  ちいさな音色でもどってきた 
 

 秋の野に置く白露は玉なれや貫きかくる蜘蛛の糸すぢ   
                      文屋朝康フンヤノアサヤス(古今集)  

 
 真珠をかがったように見えるのも たいそう風情があって おもしろい 
    とも言われ

     露燦々胸に手組めり祈るごと          石田波郷
     瞬くや露は睫毛にあるごとし           目迫秩父
  

  漂う露の
清らかなヴェールのまえで  爽やかになった。 

     雨あがりのしづかな風がそよいでゐた  あのとき
     叢は露の雫にまだぬれて  蜘蛛の念珠オジュズも光つてゐた
     東の空には  ゆるやかな虹がかかつてゐた
     僕らはだまつて立つてゐた  黙つて!
                       (立原道造 虹とひとと) 抜粋

  

 

 

 
      うつくしきもの…    瑠璃の壺。  枕草子

   かわいらしいもの ガラスの壺。 粒が りんりんと鳴っている 
          
                  -☆-
         
     蜘蛛の囲の遮る径は返すべし      富安風生

   御簾の向こうに広がる風景  シャワーを浴びて徐々に甦る、 みずみずしい色の見本帳をめくってみた。    

    

  蜘蛛の種類によって 網の形も変わる。 店網タナアミ ・ 丸網 ・ 籠網など、さまざまだ。  立派に造った主はだ~れ?  黒と黄色のタイツを 穿いて、 まだ 隠れているのだろうか。



      2007.7.31

 

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 越境の美 | トップ | 書院の美 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
露万朶 (すぴか)
2007-08-01 14:37:14
まさに森の芸術、すばらしい露の写真!
露の写真とか蜘蛛の巣の写真とか大好きです。
でも滅多に撮れるものではないので、まず
感心しました。
そして、俳句に詩、すばらしい情景が浮かんで
きます。

「ショパン弾き了へたるままの露万朶」

実を言うと最近知ったばかりの句で、とても
印象に残っているもの。イメージがさらに
膨らみました。露が垂れ下がった枝の花に
見えてきます。ピアノの音と露の珠、すてき!
返信する
妻のピアノ ()
2007-08-01 21:45:59
 すぴかさん ありがとうございます。
 山本健吉編では「終へたる」ですが、「了へたる」が字面も綺麗ですね。 好きな句です。ほんとうに、下がった枝先から奥さんの弾くショパンの音が零れてきそうです。
 
 中村弓子(わが父 草田男)によれば「母の実人生の吹き込むものを父が作品にした… 父のリズムに乗っているが母の心が歌われているものがたくさんある…」

 情景が浮かびますね。
 金刀比羅宮展へ3回も! すぴかさんに圧倒されます。 私も早くいかないと…
  

 
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

自然や花など」カテゴリの最新記事