別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

風信子って

2007-05-27 | 別所沼だより
 

   爽やかな五月、 終いの日曜はハウスガイドをした。 初めてご一緒のOさん、 「墓参を欠かしたことはありません、 若き日、 毎月給料の半分注ぎ込んで全集をそろえました」 と、 熱烈なファンです。 

  快晴、 散歩や運動のひと、 釣り人で賑わった。 一段と濃くなった沼の緑、 すっかり夏の装いである。 暦も小満から、 やがて芒種の候へ、 季節の歩みを告げてゆく。 麦生に近づくと、 穂先に褐色が熟れている。 のぎを掲げ、つよい陽射しに抗った。

                -☆-
   
 水戸、 横浜、 あるいは都心から、 市内から。  特に熱心な方が多いようだ。  みなさん一時間以上は在室された。 沼を廻り 戻ってくる方もある。  椅子にかけ、 話題は尽きない。 
  開け放した窓から、 タンポポの綿毛が入ってきて、 微笑みがまわりを包んだ。

  
 なぜ 「ヒアシンスハウス」か、  ヒアシンスの里と勘違いされる。 辺り一面ヒアシンスの花?
  立原道造がこだわったのは 「風信子」。  モダンな匂いのする、 漢字の語感ではないか。  ギリシャ神話の美少年ヒアシンサスも、 道造のセンスにフィットしたと思われる。 と、Oさん。
 安政年間に渡来、 明治時代には風信子(ハヤシンス)と呼ばれる。

 風信子と書くのは、 漢字から受けるイメージが大切だった と想像できる。 ばらが薔薇であるように。 レモンは檸檬でなくてはならない。 決め手はあるのだろうか。 
 風信子荘… ヒアシンスハウス。  3月29日… 風信子忌

 雑学花言葉さんからも 教わった。
 美しい髪の形容にも使われ「hyacinthine locks(ヒアシンスのような巻き毛)」は現在、金髪を意味するが、 もとはヒアシンスの花弁の先のようにカールした髪という意味だったそう。 
   これも 夢みる詩人にふさわしい。 

      

  沼の東に睡蓮が咲いていた。赤も白も。 郭公も気になるが、ことしはまだ。
                    -☆-

  突然、 それぞれの地形が何に見えるか、 建築関係の若い方は、 地元茨城は横向きの犬と答え。  長いこと教職にあったOさんは楽しくリードして、 群馬は鶴、 新潟には本州が隠されているでしょう

  そこで蛙、 日本列島全体は?   そうそう 二人のクローデル展は今日までです。 あそこも作品の解説は、ボランティアが活躍して… 
  それだけ聞くと  「これから行く」  Oさんは韋駄天走りで向かわれた。 
行動力も抜群!  間に合いました? 最終日は早めに閉まることもあるので心配しましたよ。 

                  -☆-
 
  さまざまな出会いに感動したり、教わったり。  きょうも忘れられない方がある。 コーディネートもすばらしかった。
  藍染めの帽子に上着(フレンチスリーブ)。 こまかい絣のロングスカートは足首まで。 覗いた足袋は紺の棒縞(縞にも、絣にも素敵な名前があるのね) きっぱりと粋です。 下駄(表と側面が紺)の鼻緒に、白と青の襲は「黒木賊クロトクサ」。 草履かも知れぬ。 これだけでも ため息でしたが 
 さらなる紺地(これは黒っぽく見える褐色カチイロ?)、そこに朱とエメラルドがパッチワークされる、印象的なバッグ。 パラソルは紅型、 藍と白の取り合わせ。 
  それぞれ 微妙に違う藍のいろ…  想像してみて下さい。

 知的で美しい、和の組み合わせでした。 立原道造の卒論も読んだと言われる個性的なその女性。 
 ちょっと婚約者のアサイさんに似てませんか?  ね、 道造さん…

 ご了解を得て、 写真を撮らせていただきましたので、 本日、お送りしました。 

  ヒアシンスについて はじめの頃も調べている。   

 


 

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3 コメント

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春の天使 (うしろの正面)
2007-05-30 13:10:08
ヒアシンス、英語なんですね。
ずっと勝手にドイツ語っぽいと思っていました。
道造というとフランス語かドイツ語が似合うんではないかと思っているので、多分そこからイメージしていたんだと思います。
子どもの頃は水栽培の花、くらいにしか思わなかったのですが、道造のおかげで目が向いて、改めてその美しさに気づきました。

春の訪れを告げるたより。
春の天使、ですが、道造は実際のヒヤシンス、好きだったのでしょうか。
彼が好むにはゴージャスすぎる気がしますね。
むしろその漢字が好きだったから、というラグタイムさんの説に諸手を挙げて賛成です。

返信する
漢字いい感じ (ラグタイム)
2007-05-30 22:06:24
うしろの正面さん こんばんは
 そうですよね。 水引草、ゆうすげ、あざみ…
 
 漢字はそのものの匂いや薫りがします。 珈琲はいかにも! 葡萄もね。 薔薇の薔は全く巻いた花弁だし、薇は痛そうな棘、刺よりもチクチクする棘ですね。

あれって これ?
http://allabout.co.jp/brandsite/mikimoto/closeup/CU20060113A/index.htm
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大当たり~ (うしろの正面)
2007-06-04 13:19:57
あれって、それです!

美しいですねえ・・・・・って、最初ヘンなの、と思っていたのにねえ。何とかと秋の空、ですね。
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