別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

風信子 (2)

2005-03-25 | 別所沼だより
 図書館に行き、つづきを調べた。
 
 「風信子」「夜香蘭」などの表記のほかに「玉簪花」もあった。簪の字は(名詞かんざし)動詞では「かざす」となる。これも花の風情にふさわしいと思った。美少年ヒアシンサスの神話もある。
 日本国語大辞典(小学館)には北原白秋の歌も載っていた。
 
   ヒアシンス薄紫に咲きにけり早くも人をおそれそめつつ 

 道造とともに、すきな白秋。一語一語かみしめる。 そのことばに、いつも酔う。
 白秋は「桐の花・植物園小品」のなかで、目にする植物を30種以上も、鋭い感性でとらえている。その中にヒアシンスはつぎのように登場する。
 
 『眼をあげよ。今、くわつと明りし二本の楠の梢を、サンシユユの黄なる花の光を、枯れ草の色を、淡青きヒヤシンスの芽のにほひを。』 
 黄と、枯れ草の色、うすい青。対比もうつくしい。それぞれの色がにおいたつ。ちいさな風に小刻みにふるえるのが見えるようだ。心ふかくみつめなければ、わからないようなことを、道造も白秋もことばにできる。言葉が湧きあふれている。 天才!
  
  ほかにも好きな一首がある 

  ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫フルひそめし日          白秋(桐の花)
 
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 前の記事へ | トップ | 風信子 (3) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

別所沼だより」カテゴリの最新記事