
病床にあった詩人は 最後の春に、
五月のそよ風を ゼリーにして持ってきてください
看護婦から鏡を借りると窓のそとに麦の青さを見、 五月の風をゼリーにして食べたい と注文した。 ファンには緑が哀しくうつる季節ですね。 風にふかれて水面はゼリーのようにふるえました。
晴れのち曇り 26℃ 昨日ほど暑くありません。 全ての窓を開けて涼風が気持ちよく通り抜けました。
保育園児の遠足のようだ、 若い両親や家族につきそわれて天使がぞくぞくと集まってくる。 風に乗ってときおりとどく笛の音。 さあ 今日はどんな出会いが… わくわくしながら待った。
ハウスの周りにオキザリスが咲いて クローバーの甘い匂いもします。
・ 浦和にお住まいの友人の案内で 京都からご夫妻で。
詩人立原道造のフアン。 将来を嘱望されていた建築家と知ってびっくりされた。
中学生のころ描いたパステル画や詩よりも詩的な手紙もご紹介。
ご遠方からありがとうございます。 うれしいです。
ぼくの半身は詩を考へ もうひとつの半身は建築を夢みる 立原道造
・90歳 沼を一周だけ走ります。 亡き奥様の腕時計をしてハウスは何度目か。でも、説明を聞くのははじめて。 詩人の家とはつゆ知らず。 戦争体験を話された。
自称無口の常連さんと意気投合、 基地問題など幅広く語り合う。
・熊本から千葉の友人と。 こころから感動され、 熱い思いが伝わってくる。 ヒアシンスハウスとおなじ家を建てたいそうだ。 十字の切抜きのある椅子も作って。 持参のメジャーで細かな採寸。 ご遠方からようこそいらっしゃいました。
ご同席の永峰さんから
「まさに 立原道造が願ったのは ヒアシンスハウスでお客さまと このようにたのしく語り合うことでした…」
気がつけばそのようになっていて たのしいお話は尽きなかった。
『写真を撮ってもいいですか 』
「どうぞ 皆さまのヒアシンスハウスです」
ほんとうに わざわざいらしたのですから ごゆっくりご覧ください。
古い知人のようにうちとけて 記念の撮影会。

……
ああ 陽ざしがかくれる かげが
しづかにひろがる 風がやはり吹いてゐる
立原道造 初夏(抜粋)
うれしき出会いは15名。 とくに熱心な方が多い日です。
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皆さまから たくさん学びました。
「フランク・ロイド・ライトの建築を見に現地を訪ねた。 家具調度など身のまわりすべてに及ぶデザイン、その芸術家魂をみました」
風信子荘の旗… 兄のように慕っていた神保光太郎に在室を知らせるばかりでなく、 もっと深い意味がある。 「風は 立原にとって重要なキーワード」
「週末を過ごすための ふつうの住居になぜ旗を掲げるのでしょう。
かれは風信をおくるつもりだった… 旗は風にひるがえり 彼のレーベン(命 ・人生)を送るかのよう」
・テキスタイルや照明やカトラリー、 景観までデザインしてしまうライト、 その気持よく分かりますね。 境界はない、 すべてを自分の絵にしたい…
・詩人のレーベンはうつくしい音楽になって はてしなく流れてゆく。 のこる命を知っていた詩人を思うと 胸が苦しくなります。
みなさま ありがとうございました。